6話
「はい、お疲れ様でした。では今回の護衛の報酬になります。」と目の前の受付嬢は淡々と仕事をこなす。「あ~そういえば、どこかいい宿無いかな?こっちに来るの初めてだからよく分からないんだよね、オススメあるなら教えてくれればありがたいかな」報酬を受け取りつつ受付嬢に聞く
「ぁ~それでしたら・・・っと ここがオススメですよ食事も美味しいですし、宿の評判も冒険者としては中々でこちらに始めてきたのならオススメですね」と地図を指差しながら教えてくれた。
お礼にチップを渡し、オススメされた宿へ向かう、宿の対応はセバスに任せた。
部屋に入ると早速セバスが「失礼します」といいながら服を脱がしてくる。まぁ・・慣れたしセバスの言い分も分かるからいいけどね・・・しばらくして、腰が抜けた俺が宿に付属のベッドに伏せっていましたとさ。
翌日着替えて宿の食堂に行き料金を払って食事をしていると、食堂の入り口付近が騒がしくなる。
何だ?と思ってそっちに顔を向けると冒険者風の男と、冒険者には見えない綺麗なお姉さんが言い争っていた。男の人はお姉さんがいなくなっても荒れていたが食堂のおばちゃんに怒鳴られ大人しくなった。
朝食を済ませサーズベルトの冒険者ギルドへ向かった、クエストを見てると背後から声をかけられた。
「ちょっといいかしら?お嬢さん」少し威圧気味に声をかけられた俺は少しだけビックリしてしまったが「っ!・・はい・・何でしょうか?」と少し詰まりながら声をかけられた方を見た。
そこにいたのは冒険者ギルドの制服を着たエルフ族の綺麗な人だった。
「あぁ~驚かせてしまったみたいね・・ごめんなさいね?」
「いえ、大丈夫です・・で用は何でしょうか?」と何故か威圧的に答えてしまった。
「最近貴方のことが噂になっててね見かけたから声かけたのよ警戒しなくても大丈夫よ・・そうね少し場所を変えましょうか。」とエルフのお姉さんは着いてくるように言った。
{うわさってもしかして魔法のことかな?それとも吸血鬼のこと?だとすれば商人のファズさんが怪しいがどうなることやら}と内心でそんなことを思いながら着いた部屋に入り座ると予想外の事だった。
まず、エルフのお姉さんはミーナ・カタストロフ、元貴族らしいが自分で自分の道を生きたいといって家を出たらしい。この世界では人族のヒューマンが一番偉いとかは無くほぼすべての種族が和解しあって良い関係を築き上げてるそうだ東西南北の都市はそれぞれ当地してる種族が違うらしいがソレは置いておいて。
ミーナさんの話を要約すると『小さい子供が冒険者になるには危険だ』とか『従者付の冒険者は嫉まれて絡まれる』とか当たり障りの無い注意だった。
「で?そこの執事君は戦闘向きには見えないけど?今までホックスウエルゼンから護衛で来たって言ってたけど、魔物や盗賊には会わなかったのかしら?」と言ってきた。
「ぁ~出ましたよ2回ほど全部全滅させましたけど・・捕らえた方がよかったですかね?」と盗賊とは言え人を殺したという事実は消えはしない、平和な場所からいきなりサバイバルになって今まで余裕が無かったのかもしれない、気がつくと俺は自分の肩を抱きながら震えていた・・
「嫌なこと聞いちゃったみたいね・・ごめんなさい・・」とミーナさんは謝ってきたが
「いえ!そんな・・ことは・・」ミーナさんが誤る必要は無いと言いたかったが途中で切れてしまった。「マスター・・余りご無理をしては・・」セバスも俺を支えるために色々尽くしてくれてる。そんな俺が弱気でどうする。その後は軽くしゃべり簡単なクエストを紹介してくれると言う事でお言葉に甘えてそのクエストを受けることにした。
「はい、紹介するクエストはこれね、登録したばかりだとは聞いてたけど既に中位冒険者並に活躍してるのよね」とミーナさんは困ったような顔をしてクエストの紙を渡しきた。クエストの内容はゴブリン討伐、確認部位は一匹につき右耳を切り落とすこと
何匹倒したかで報酬が変動するタイプのクエストだった。
確かに初心者向けで実力をつけるにはいいクエストだけど俺達には低すぎる難易度だ、まぁ折角紹介してくれたのだから受けないわけには行かない、魔法やスキルを完璧に操れるって程じゃないから逆に有り難かった。「これで大丈夫ですよ、まだまだ余裕があるわけではないので、セバスがいなかったら、危なかった場面も多々ありましたし」と適当に理由をつけてクエストを受ける。
「そう、無理はしないでね。ゴブリン以外のモンスターも狩っても良いけど自分の力量に合わなさそうだったら逃げなさいね?」と行く前に釘を刺された。
で、ゴブリンが出る平原に着たが今までセバスの攻撃方法が分からなかった。
「なぁセバス、少し狩ってくれるか?お前の技量も見ておきたいし」
「マスターの指示とあらば、このセバス全力を持ってマスターに私の力をお見せしましょう」
何だか張り切っているセバスをほって置いてゴブリンをさがすが見つからない。
「・・・セバス・・この近くにいるか?」と俺よりも感知能力に優れてるセバスに聞く。
「マスターここから500mほどの所にある洞窟に数匹確認しました。」と清清しいまでのドヤ顔で言ってきた。うぜぇ・・ 「そっかじゃそこから誘き寄せてお前の技量見るとするか」
「分かりました。それでは行ってまいります」といい終わるとセバスは洞窟へ向けて走っていった。
MMORPGでこの狩りの事は釣り狩りと呼ばれる。危険地帯にいるモンスターを安全地帯まで誘導し狩る、めんどくさいが、背後から襲われたりすることも無いためこの様な狩り方が一番安全と思われる。例外もあるが・・・自分の力量以上に釣り過ぎると処理出来ずに、HPがなくなるかPTが全滅することもある。でセバスなんだが、きちんと2~3匹ずつ釣ってきて難なく撃退している。この執事有能である。で見てて思ったがセバスの戦闘方法は基本的にカウンターの受身だ、自分からは攻撃せず、体術による受け流しからのカウンター、これは人サイズのモンスターなら通用するがそれ以上となれば、まったく歯がたたないといっていい、セバスに何か教えないと
ダメか、 そんなこんなで途中で交代して狩り始めてから3時間くらい経ってから『ゴブリンソルジャー』が出てきたが、ヒートソードで真っ二つにして報告部位が分からなかったから生首にしてアイテムボックスへ汚れるのが嫌だったので汚い布を重ねて縛っておいた。
その後に集団で来たのでラピットファイヤで一網打尽で倒してから気がついた。報告部位ごと消滅したことを。