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5話

無事にホックスウェルゼンを出発してからは特に何事も無く3日が過ぎた。

「今日はここで休みましょう。今から食事を準備しますのでお待ちください」

と今日も今日とて何事も無く夕食にありつけたが・・少し体の調子が悪い・・予兆は少し前からだがあった・・あの時はすぐに収まったがコレは・・調子が悪いのを気がついたのかセバスが近寄ってくる。「マスター、もしや吸血衝動ですか?」と・・・吸血衝動その名の通り吸血したいと言う衝動だ

確かにゲームのユキは『吸血鬼』だ、この体も吸血鬼なのだろうか、だが一つ疑問に思うことが出る。【吸血鬼は日の光が弱点ではないのか?】そもそも吸血鬼自体、俺達は良く知らない神話的、童話的存在としか認知していなかった。「まさか、吸血しないといけないのか?」と少し胸が苦しいがセバスに問う。「マスターは『吸血鬼の真祖』であります。こちらの世界でも吸血鬼としての本能が残っているのかもしれません。・・我慢は・・出来なさそうですね、目が変わっております・・」

セバスは優しくも心配した顔でこちらを見つめてくる。

それに目が変わってる・・まずいな・・ユキの吸血鬼の詳細情報の一つに興奮すると目が紅色に

変化するというのがある。戦闘などの興奮状態を表す一種の状態異常だ、特にメリット、デメリットは無いが今はまずい、護衛中に吸血衝動によって護衛を吸ったなどこれからの生活にも悪影響しか及ばなさそうだ、どうしたものか。

考えてる間にもファズは夕食の準備を着々と進めていてもうすぐ終わりそうだ。セバスは俺を看病しながら周囲の警戒をしているが攻撃手段は持って無い。今襲われたら俺はこの衝動を抑えられるだろうか、自信が無い・・今こうしているだけでも吸血したいと本能が暴れて俺の精神を蝕む。

「っ!マスター襲撃のようです!」セバスが叫ぶと同時に全方向から声が聞こえてきた。

「っく!いつの間にか囲まれてた様ですな、お二人とも!よろしくお願いしますぞ!」

ファズがそういいながらに馬車の方へ向かった。

「セバス何とかできそうか?」俺は俯きながらセバスに問う。

「すみませんマスター・・私一人ではとてもこの集団から荷物、依頼者、マスターを護りながらと言うのは・・」 「・・だよな・・だったら俺が行く・・セバス命令だ依頼主及び荷物に近づくものを蹴散らせ」 「マスターのご命令とあらば」と言い残しセバスは馬車の方へ向かう。

「あぁ・・喉が渇いた・・この渇きを潤すには吸血鬼としての本能に従うしかないが・・まずは・・」

俺は立ち上がりユキの最高装備たちを装備していく淡い光に包まれゲーム時代に俺と一緒に戦ってきた最高の装備たち。

《ステータス》

キャラクター名 『ユキ』

吸血鬼『真祖』レベル???HP3400、MP4500 

物理攻撃230 魔法攻撃300→450 防御90→200+300 MP回復量 秒/10→10+2倍

《装備》頭『なし』上半身『真祖の服』下半身『真祖の服』靴『少女のヒール』

《武器》大賢者の杖(MP30%UP 課金)紅の魔剣(物理攻撃ブースト20%UP)

《アクセサリー》回復の指輪(MP回復量2倍 課金)大魔法使いの首飾り(魔法攻撃ブースト10%UP)護りのイヤリング(防御300UP 課金アイテム)

『ベッドの加護』『???神の加護』『精霊神の溺愛』

『ベッドの加護』防御を10%UP 服の早着替え 着心地のいい服への変換

『???神の加護』全ステータス20%UP 神へのチャット

『精霊神の溺愛』MP10%UP 魔法攻撃耐性20%UP 精神攻撃レジスト

魔法攻撃10%UP MP消費50%減


俺は自分のステータスを確認する

「はは・・本当にチート染みてるな・・」俺は少し目を通すだけにし、ステータス画面を消す。

「じゃぁ行きますか。」今の俺はどんな顔をしているだろう、吸血したい本能と、この襲撃に対するイラつきと、このどうしようもない喉の渇き、あぁ俺はどうなるんだろうな・・・


気がつけば回りは血の海、魔法の着弾跡だろうか所々地面がえぐれている、馬車付近は無事のようだ。俺の周りには血らしきものが花火のように散っていた。

「ぁあ喉が乾いた・・・」か細い声が静まり返った荒れた大地に響く。

「マスター、ご無事で何よりです。お怪我はありませんか?」

「セバスか・・あぁフル装備だったからな、覚えては無いが・・ファズはどうした?」

「はい、余りの惨状に気絶しております。それと一つ・・」

セバスが歯切れ悪く言葉を切る。「どうした?」と言うもセバスは言わない。

周りを見渡すと、俺がやったのが丸分かりの状況の中で一箇所だけ不自然に無事な所があった。

「あれか?」 俺はその不自然な場所に向かう木が一本だけ生えた場所、よく見ると人の足だろうか。木の陰で見えないが細く綺麗な足だった。

「ん?生き残りか?セバス!」と言うのと同時に、セバスは木の陰からソレを引っ張り出す。

「少女のようです・・どうなされますか?」

その少女は不自然に無事な木の陰から出てきた。俺は無意識のうちにこの少女を助けたのか?

でも何のために?と考えるが・・「ック!なんだ・・この感覚は・・」俺は無意識の内に少女に近寄り優しく抱いていた。白く細い首が妙に魅力的だ・・このままかぶりつきたい・・・

「マスター我慢しないで下さい・・・お体に触ります・・」セバスが低い声を更に低くして言う。

「・・・あぁ分かった・・・しかたないんだよな・・・」最後の理性で自分に言い聞かせる。

「ごめんな・・」と一言、少女の細く白い首に自分の牙を突き刺す。

すぐに甘く芳醇ほうじゅんな香りと共に赤い血が少女の首から滴る、俺はソレを吸いながら、

牙で傷をえぐる{もっと欲しい・・この渇きを潤す血が・・もっと・・}どこか壊れたように血をすする音

「ん。っく・・・はぁ・・・んく・・ん・・・はぁ」少しずつ冷たくなる少女を感じ俺は口を放す。

「・・・セバス・・・どうにかできないか?」おれはまだ熱が残る少女を抱きかかえながらセバスに問う

「・・・申し訳ありません・・・ここまで衰弱した状態ですと秘薬級のアイテムか上位回復魔法が必要です。私が持っている魔法ではどうしようも・・申し訳ありません。」セバスは少女の見開いた目に手を当て閉じてあげた。「そうか・・・せめてとむらってやろう。自分でやっておいて弔うとは何か変だがな、土葬・・・じゃダメか・・・セバス悪いが集めて貰えるか?」

俺の意図が分かったのかすぐに移動して馬車からかなり離れた所に残った死体を集めていく。

最後に少女に清潔化の魔法をかけ火の初級魔法で焼いてやる・・・俺の謝罪の言葉と共に。


「なぁセバス・・吸血鬼ってこんなにも大変なんだな・・・今まで知識として少しは知っていたが、

吸血衝動がこんなにも酷いなんて思わなかったよ・・・」セバスは何も言わない。俺はただ燃え盛る炎を見てるだけしか出来なかった。


その後、気がついたファズがここから少しでも離れたいと言ったので夜通しの移動となった。

一度あることは二度ある・・・なんか違うか・・まぁ要するに・・・

また盗賊である。前の襲撃から5日は過ぎたかな、何事も無く順調にってのは中々ないらしいから仕方ないが、まぁ今回のは、数も少ないし夜の奇襲でもないからすぐに片付いたがまたもや所々

ボッコボコである・・結構抑えているんだがまぁ仕方ないか、ファズはまた気絶してるらしいし、

ついでとはいかないが腰を抜かしてる少女もいた・・・吸血衝動はまだ大丈夫だが今吸っておけば

サーズベルトに着いてもそこそこ持つだろう、軽くその辺を吹っ飛ばして少女を気絶させる。

少女を抱きかかえ細い首に牙を立てる、前よりは香りは落ちるがまぁいい方か、

少し飲んで傷をセバスに治させ少女を逃がすように指示した後に少しの違和感があった。

自分の意識の中に『誰かの意識』が少し混ざっているって感じか、何かが引っかかる気がしてステータスを見ると『眷属補数』が追加されその隣に+1と書いていた。

「・・・なぁ・・セバス分かんないかもしれないが聞いてくれるか・・・?」

おれは今一番信用できる相手、セバスに話す。ステータス覧に『眷属補数』が追加され+1が書かれてることに付いて。

「恐らくですがよろしいですか?」セバスの言葉に無言で頷く。

「吸血鬼については私の知識もマスターとほぼ同じです。吸血鬼が吸血するのは3つの意味があること、一つは、吸血鬼の生存に関わる吸血、一つは、子を作るための吸血、そしてもう一つが、

『眷属』を作ることを目的にした吸血。」

「そっかやっぱりそう考えた方が自然か・・こればっかりは、嫌だな・・セバス悪いが今からやる事は目を瞑っててくれないか?お前には見せたくない、お願いだ。」消えていきそうな自分の声、セバスはその声に、「はい、マスターのご命令とあらば。」と、ただそれだけなのに俺はその子に向けて【ヒートファンネル】を一発放ち燃え尽きるまで謝罪を述べる。


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