1話
俺は今、困惑している・・・朝起きたら女になってどこか知らないところに居ました。
平崎 健治26歳独身大学受験に失敗した元エリートだったモノだ。
無駄に勉強できた俺は一番倍率が高い大学の受験をした、そこまでは良かったんだ。
まさか、バスは事故で遅れるわ、電車は吹雪で一時間遅れるわ、タクシーは他の学生の待ちでいっぱいだわ、災厄に災厄が重なって、ギリギリの時間に会場について、息つく暇もなく
試験が始まり精神状態がボロボロの中での試験・・・結果は散々、焦って名前は忘れるわ、途中で答えの枠一つずれるわ、帰りに財布落とすわ、家に帰るまでに4回転ぶわ、で散々だった。
・・・何か取り付いているんじゃないかって思うくらい酷い一日だった。
文字通り受験失敗、3年浪人したがもうやる気も起きなくて、燃え尽きたんだろうな・・・
自分の部屋にこもる生活が続いた。親には悪いと思っているさ、部屋にこもった時は、
親も心配してくれたし、何より俺ががんばっていることを知っていたし、だから3年浪人やっていたし、まぁ最終的に26まで引きニート、引きこもりになってから始めたパソコン、最初は気晴らしだった。何が悲しくて画面の中のチャットで友好的に語り合って楽しいのか・・最初は疑問だった。だけど何個かのオンラインゲームをやって俺はすっかりパソコンの住人になっていた、戻れない、戻りたくない、青春を勉強につぎ込んだ反動なのか。
チャットして仲間とレベル上げして、夜中まで起きていて、昼に解散してまた夜に集まる。
そんな生活が7年・・・楽しい時間はあっという間で俺は26になって引きニート
魔法使い予備軍に入っていた。まぁ友達も彼女もいない俺だからなぁ・・
俺がはまっていたオンラインゲームの一つ『フリーゲームズオンライン』
昔に流行った1m×1mのブロックを積み上げて様々な物を作るというゲームがあった。
その自由度の高さからドット絵からMODを使った現実では出来ないような科学、魔術、魔法、錬金術、など様々
そんな自由に遊べるゲームをMMORPGにしたら?と、誰かが思いついた。
基本的には良くある古参のMMORPGだ、キャラ作成して、モンスターやクエストをやってレベルを上げて、モンスターの素材を使って武器や防具を作る。
『フリーゲームズオンライン』の醍醐味はここから枝分かれする。
キャラ作成、基本的な種族を選んでスタートするのが普通だったが、
課金でオリジナル種族を作ることが可能だった。
駆け合わせれる種族は3種まで、だが種族が新しく増えることによって更に掛け合わせることが出来る種族が公式で増えていく、最初は12種族だったのが今では数千種類を越えると噂されている。オリジナルの利点と言うと、
自分が作った新たな種族は公式から『真祖』の称号を与えられる。
他の人がその種族を選んだ場合『真祖』のステータス合計値より8割ほどのステータスにしかならない。要するに強いのだ。そのおかげで種族はどんどん増えていった。
武器や防具は鍛冶師の職業を持つ『職人』と呼ばれる人たちに依頼することで自分好みの武器や防具が出来上がる。終いには自分で建築する『建築士』や国を立てる『リーダーの器』など様々なスキルや職業なども運営に許可されると、どんどん増えていく、自分の理想のキャラを作ることも可能なゲームだ。
そんな俺が昼に解散して、仮眠を取った時、変な夢を見た。
真っ白な空間、何も無い部屋、上下左右の感覚すらない、不思議な場所。目の前にはこれまた、真っ白な服を着た爺さんがいた。じいさんが何を言っているのかは分からなかった、結局何も分からずに目が覚めると、そこは白銀の世界が目の前に広がっていた。
「ここは・・?」俺はたしか・・・いや確実に!自分の部屋で寝ていたはずだ!
こんな真っ白な所、見覚えも無い!・・・・そうか!夢か・・いや~寝ているのに
夢の中でこんなに自由に思考できるとはな!にしても見ているだけで寒い・・・
とりあえずベッドがあるみたいだしもう一度寝なおそう、そうしよう。
俺はとりあえず寝なおすことにした、寝ようと思って布団に手をかけると何だか自分の手が小さく見えた、まぁ気にしないで置こう・・夢何だし、で布団を直すために一度立って布団を綺麗に直した。その時に見えたのは黒く長い髪、そして布団がかなり重い・・・
「・・・は?」俺は二度目の困惑にはまった。
長い髪、小さな手、重い布団、それを感じた俺はいやな予感がした、背筋に冷や汗が流れる、自分の体を見下ろしてみる・・・
着ていた服はパジャマだ・・それはいい寝るために着替えたんだから、だがズボンがない・・・
よく見るとズボンは布団の間に挟まれていた。更によく見ると細く白い足が少し見えた
上着はぶかぶかで裾は余りまくっていた。
俺は全体的に小さくなっていた。そしてもう一つの違和感を感じた、股間がスースーする・・
まさかと思って股間に手を当てると・・・何も無いペッタンコになっていた。
「へ?」自分でも間抜けな声だぁと思ったが。
「は!?え?ちょ!声が!」そう声が少女のような可愛らしい声になっていた。
{えーと、朝起きたら女になってどこか知らないところに居ました。}
「・・・・なんじゃこりゃぁ~!!」 恐らく俺は涙目になっているだろう・・・
「どうなってるんだよぉ~・・・はぁ・・・」
現状、俺が処理できる問題ではないことが分かった。
「一眠りするか・・・」俺は、一度寝ることにした、だってそうだろ?問題が今、消化できなくても後で何か変わるかもしれない、まぁただ単に現実逃避をしたいだけなんだが・・・
と言うわけでもう一度布団をきれいにし、寝ようとしたところ一つ変化があった。
「マスター寝るにはまだ明るいです、それにこんな野ざらしの所で寝なくとも・・獣に襲われても知りませんよ?」低く男らしい声が聞こえた。
「あ?いいよ、一度寝たいんだ。はぁ~幻聴まで聞こえてきやがった。本格的にやばいかもな、はは笑えない」
「マスター、幻聴ではありませんよ。」と俺が流していた声が再び聞こえた。
「ぇ・・・」と俺はその場で少し固まる事しか出来なかった。
「マスターいつまでもその格好でいるのはどうかと思います。一度私の中で暖まってください。」と何だか卑猥な発言が飛んできたが今は、それどころではない!
「えっと一つ確認いいか?」と俺は声の主に問いかける。
「Yesマイロード」変な答えが聞こえたが今は質問したいことに集中する、
「お前は・・・何者だ・・・?」と恐る恐るだが今一番気になっていることを聞く。
「はい、私は貴方のベッドであり、貴方に仕える従者であり、貴方の剣であり、貴方を守る盾であります。平崎 建治様」
と、現状もっとも聞きたかった事と共に、俺は現実を突きつけられ俺の脳はその負荷に対し
防衛反応を起こした。
「・・・ぁ」俺はその場で気を失った。
ーーーーーーーー
「・・・オヤオヤ気絶してしまったか、まぁいいか、コレ、ベッドの化身よ聞こえておるじゃろ?今からスキルを渡すからそれで主人を守るといい・・・え?ワシが誰かって?
そりゃ人の願望を叶える『神』とだけ言っておくかの・・・ほっほほ何心配しなくても、
お主の主人の願いは叶えた、願いの中身は教えられんがの、んーその姿のままだとお主、移動すら出きんのではないのか?仕方ない、お主専用のスキルを与えるでの、『擬人化』と『保護』じゃコレで移動と主人の守りは大丈夫じゃろ・・・主人のスキルじゃが、別に本人が持ってなくともいいんじゃよ・・・お主は主人に負担をかけたくないんじゃろ?だったらお主が主人の代わりにスキルを持っておってもいいんじゃ、ただ単にこの世界で生きていく上で必要なスキルだけじゃからな、さてそろそろ時間じゃわい、ベッドの化身よ・・・主人を守り通すのじゃよ・・・必ず・・・・」