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おちこちの神様  作者: 猫手のローランサン
第1章 明晰夢の中で
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008 幕引き

 ん?


 目が覚めると、すでに昼が過ぎているみたいだ。

 いや、夢の中で目覚めたのを、目が覚めたという表現はおかしいか?


 正確には、あの後山頂に居た皆で村に戻ると明け方で、疲れていたのでノイスの家で寝た。

 眠ったと同時に現世で目を覚まし、1日活動して寝る。

 現世で眠ったと同時に、こっちで目を覚ますという仕組みの様だ。


 今のところ理由は分からないが、この夢を安定して見ることが出来ている。

 今回でお待ちかねのハッピーエンドがあって、終わりかもしれないが。


 夢の中での非現実世界とはいえ、これだけ記憶がはっきりしていると自分の中での時間の概念はおかしくなりそうな気がする。

 今までの常識とか払拭しないとやってられないし。

 割り切った夢との付き合い方が必要なようだと思う。


 しかし、精神、肉体共に疲労感は無いし、両方で過ごした記憶も明確に残るので、1日を倍生きているお得な感じはする。


 まずは顔を洗いに家の庭先にある井戸へ向かった。

 改めて、夢の中でも顔を洗いたいと思うもんだな。と思った。

 目の前の井戸からは、湧水が溢れている。井戸じゃないなこれ。


 それを鏡代わりに覗くと、やっぱりそこには金髪のイケメンが写ってる。

 俺だ。


 井戸の近くに洗濯物として干してあった白い手拭いを1つ手に取る。

 濡らした手拭いで顔を洗った後、服を脱ぎ全身を拭く。

 風呂に入りたいが風呂は見当たらないし、とりあえずこれで我慢しておく。


 丁度体を拭き終わり、服を着たところで

 「おはようございます」

 と、声を掛けられた。


 見ると、白い着物ではない普段着らしき服を着たアエカが居る。

 ああ、もう昼だがおはよう。

 と返事したら笑顔になった。


 「モリオトー様。約束を守ってくれて、ありがとうございます」

 と、頭を下げてきた。

 おそらく俺が寝てる間に助かった経緯を聞いたのであろう。


 「ああ、約束だったからな。まぁ、俺も助けられた様だし、お互い様だな」

 「それより、腹減った」


 矢継ぎ早にそう言うと、また笑顔になって

 「私の家でなら簡単な食事も出せるので、よろしければ来てください」

 そう言ってくれたので、もちろんお邪魔することにした。


 この流れは早速ゴールがあるかもしれない。

 と、ドキドキしてたが、特に何もなく普通の野菜中心の料理が並んだテーブルを前にしている。

 野菜は全てここで採れたもので、お茶の葉なども採れるらしい。


 2人で食事を共に取りながら、アエカが気を失う前に聞いたというグレムスの話をしてくれた。

 対峙した際のイメージとは違ったが、おそらく事実なんだろう。

 ということは、あれがそういうことか。


 一通り話終わった後

 「それと、前神様のグラーニア様が目が覚めたら会いたいとおっしゃってました」

 「俺が運んできた小さい奴?」

 「そうです」


 うん、いいよ。と漬け物をボリボリ食べながら返事をする。

 俺も色々聞きたいことがあるし。

 そして、この漬け物は美味いな。

 褒めると、たくさん作っておいてくれると約束してくれた。

 この夢がもうすぐ終わりだと思うと寂しいな。


 「じゃあグラーニア様呼んできましょうか?」

 「今どこに居るんだ?」

 「えっと、たぶん今は神之湖にある島の家に居るはずです。グラーニア様はそこで暮らしていましたから」


 ああ、あそこか。

 「あそこなら行ってみたいな」

 「そうですか。それじゃあ、案内します」

 ということで、早速向かうことにした。


 村長の家に戻しておいた小支も一緒に行きたそうなので、手に取り連れていく。

 共に仇をとった小支は俺が持つと嬉しそうな顔を見せた。

 そういや、グレムスを斬ってすげぇ満足してたよなコイツ。


 島へはアエカが船頭になった小さな手漕ぎの船で向かうのだが、船の操作がやたら上手いし早い。

 櫂を上手に扱っている。

 剣神のスキルを発動させた俺は、その動きを一通り見て覚えることが出来た。

 

 5分ほど流れるように進み、小島の船着き場に着いた。

 この先に見える和風っぽいの木の家から、結晶から出てきた時と同じ小さな戦利品の気配がする。

 他にもノイスら数人が居る様だ。ただその中でも1人だけ異様な気配がする。

 俺が向かっているのを察知しかなり警戒してるな。何だろうこの感じ。


 「グラーニア様、モリオトー様をお連れしました」

 と、アエカが入口の扉をノックした後少し開けて言うと、中から

 「ああ、悪いな。中に入ってもらってくれ」

 と、返事があった。


 そのまま2人で中に入る。刀は右手で持つ。

 入口の土間から見える居間に、集落の長達と共に巨大な男が座ってこっちを見ていた。

 グレムスよりデカいから、まず目立つ。

 こいつか、さっきから俺に対して異様な気配を出してたのは。


 そして、俺の顔を見た後あからさまにギョッっという顔をした。

 絵に描いたような驚愕した顔だ。

 その後一瞬で、俺一点に凄まじい殺気を放ってくる。

 今にも襲い掛かってきそうな気配なので、思わず俺は刀を持ち替え臨戦態勢になる。

 ただ、すぐ理解できたが勝てる気がしないな。


 その直後

 「オディナ、別人よ」

 という落ち着いた声が響き、殺気が収まる。


 殺気を放ってきたオディナと呼ばれた大男は俺が持つ小支を見ている。

 この反応、小支の持ち主は奴だな。だからここへ連れて行ってほしかったんだな。

 小支を見た後のヤツは警戒を解き、スーっと気配を消した。

 その大男の手前に、小さなグラーニアが居た。


 何だこの流れは?よく分からんな。


 「あなたのことや話は伺いました。私たちを解放してくれてありがとうございました」

 グラーニアが頭を下げながら言った。


 「偶然解放できただけだから、別に礼なんて必要ない」

 そう言いながら、後ろのオディナに小支を差し出す。

 「これ、お前のだろ?」

 「どう考えても普通の人間が使うスケールの刀じゃないし」


 大男は無言で頷いて、小支を受け取った。

 やっぱり奴専用に作られた刀だな。

 受け取った刀を右隣に置いたが、ぴったりと寄り添う様に収まってる。


 「その小支と共にグレムスを斬り倒した」

 「俺には大きすぎるがいい刀だ。大事にしろよ」

 と言うと、また無言で頷く。


 そして、改めて皆の輪の中に加わり座る。


 「自己紹介がまだだったわね。聞いてるかと思うけど私の名前はグラーニア」

 「あなたが倒したグレムスの前にこの一帯を治めていた神で、昨日あなたに封印を解いて助けられたわ」


 「後ろに居る大きな体したのが私の式神のオディナ」

 「反応見ると気が付いてるとは思うけど、あなたと同じ剣神のスキルを持った式神よ」

 「無口だけど結構強いのよ」


 そんなの気が付かなかったが、ふむふむ、と頷く。


 「他の者は、昨日会ってるから見知ってるわよね?」

 と聞かれ見渡すと、湖隣村の村長ノイスを始め昨日見た顔が並んでいる。

 ああ、知ってる、と言い頷く。


 「え?、あなた・・・昨日生まれたばかりなのね」

 不思議そうな困惑した顔をしている。

 「俺は昨日生まれたつもりは無いけど、そうらしい」

 「生まれたばかりなのに自我があるし、生まれた日に私たちの封印を解いてグレムスを倒すって・・・何者なの?」


 簡単に自己紹介をする。

 ごまかす必要もないので、これは自分の夢の中の世界だと説明した。


 なるほど。と言いながらも困惑している。

 「やっぱり不思議。説明がつかないことが多すぎるわね」

 そう言いながらグラーニア専用の小さな湯呑を手に取り、お茶をすすっている。


 「それと、もう1つ。重要なことなんだけど、あなたのその顔、姿。心当たりある?」

 「いや、言ってる意味が分からない」

 「私たちも1度しか見たこと無いけど、あなたのその顔と全く同じ顔をした有名人が居るのよ」

 「ここに入ってきた時、顔を見て勘違いしたグレムスが警戒して殺気を放ったって訳」


 「他人の空似でしょ?」

 「ええ、おそらくは。まず口調や雰囲気が全然違うからね。

 それに、モリオトーは昨日生まれたばかりの神様だから別なのは確定なんだけど」


 「それよりも、俺からも色々聞きたいことがるんだが」

 「いいわよ、何でも聞いて。その前にヘレネ!居るんでしょ、返事しなさい」


 上を向き、そう言いながらグラーニアが立ち上がる。少しの沈黙の後

 「はい、グラーニア様。お久しぶりです」

 とヘレネが返事をした。


 ヘレネの声は、神である俺とグラーニアの両名にしか聞こえないらしい。

 周囲の者達は、誰だ?誰だ?とキョロキョロしている。

 グラーニアが抑えるような仕草を取ると、皆大人しく座りなおした。


 「モリオトー。ヘレネをオフにする方法知ってる?」

 「ヘレネをオフ?」

 「ええ、そう。今のままだと、頭の中で考えていることや言動が全て筒抜けになってるからね」

 「ステータステーブルって知ってる?出せる?」

 「ああ、出せるぞ」


 ブォンと目の前に出す。


 「この画面の右上に人の顔をしたマークがあるでしょ。それが白くなってる間はヘレネと会話が出来る状態なの」

 見ると、シンプルなにっこりマークがある。

 「話をしたいときは白にして、それ以外の時は切っておく方がいいわ」


 なるほど。じゃあとりあえずオフにしておくか。


 (モリオトー様、少々お待ちください)

 ヘレネが慌てて話しだした。

 「ん?何?」


 (昨日、モリオトー様は警戒レベル4だと説明したのを覚えていますか?)

 「ああ、覚えている」

 (昨日から今朝までの言動、それらの希少さから、警戒レベル5に変更になりました)

 「へぇ、そうなんだ?」

 そう言ってはみたが、意味は分かっていない。


 (折を見て、私の主が挨拶に参りますので、その際はよろしくお願いします)

 ああ、分かった。と返事してオフにする。

 グラーニアが何か言いたそうにしながら、少しビビってるが気にしないでおく。 


 ふう、と軽く息を整えてから懐にしまってあった水晶を2個取り出す。

 「これ、分かる?」

 と言うと、場に居た皆が水晶を囲む様に覗き込んだ。


 半透明の水晶の中にはグレムス、もう1つには女性が眠っている。

 いや、何となく分かるが彼女は生きてない。


 「こっちはグレムスで、こっちは分からない」

 とグラーニアが言った。皆も同じ反応だ。

 おそらく、話で聞いたグレムスの結婚相手の亡骸だと思うと言った。

 そして、この中から複数の魂の存在も感じることも伝えた。

 グラーニアが小声でなるほど、と言った。色々分かったようだ。


 それと、俺がグレムスを封印したことを説明する。

 じゃあ封印解くのは可能?

 と聞いてきたので、可能だ。と答えた。


 皆ざわめいたが、グラーニアの瞳は真っ直ぐ水晶を見つめていた。


 ノイスを始め、場に居る者達は封印したままにして置いた方が良い。

 という意見が多数だった。


 だが、グラーニアが話を聞きたいと言うので結晶解除することになった。

 彼女の意見は誰よりも強かった。

 まぁ、暴れたとしても俺とオディナが居れば問題無いだろう。


 グレムスの結晶を床に投げ置き、結晶封印を解除する。

 半透明の結晶が消滅した後、横たわるグレムスの巨体が現れた。

 相変わらずデカいし全身毛むくじゃらだな。


 「あれ?」

 思わず声が出た。

 なぜか俺が斬ったはずの両腕が生えてる。


 「切断したはずの両腕が生えてるぞ」

 皆にそう伝えると

 「両方斬りやがるから繋げるのに苦労したぞ」

 と倒れて目を閉じたままのグレムスが返事した。


 まだしっかり繋がってないからな。

 と言いながら腕に負担が無いように上半身を起こし、あぐらを組んで座る。

 結構ふてぶてしい態度だな。ずっとか。


 「久しぶりね、グレムス。私たちを封印して、好き勝手やってくれた様で」

 グラーニアが怒気をはらませて言う。


 「ああ、好き勝手やらせてもらった」

 「変な奴が邪魔したせいで、あと一歩のところで失敗したけどな」

 俺に視線を飛ばしながら、やはり完全に開き直っている。


 「どう責任取ってもらおうかしら」

 「責任?何の責任だ?」

 「人身御供として何人の命を奪った?」

 「10人程かな」

 「11人。若い11人分は重いわよ」


 そう言った後、この場に残っていた結晶を手に取った。


 「この中に11人の魂が入ってるわ。それとあなたが生き返らせようとしてた女性の亡骸も」

 「ああ、そうだ」

 「結晶を解いて、全て解放してもらうわよ」

 「・・・ああ、分かった」


 結構素直に従うんだな。


 「それと、こんな馬鹿げた方法じゃ誰も生き返ったりしないわよ」

 え?ひょっとして、こんな方法で生き返らせようとしてたのか?


 「ああ、薄々感じてた」

 「じゃあ何故」

 「俺は出来ると聞いたからやってたんだ」

 「納める魂をもう少し増やせばと思って増やし続けていた」

 「ひょっとしたら今回の分で可能だったかもしれないしな」


 えらい盲目的に動いてたんだな。


 「もう1度はっきり言うけど無理よ」

 「・・・ああ。分かってたが止められなかった」


 答えた声が結構悲痛だったので会話が止まり、場が静まりかえる。

 外から鳥のさえずりが聞こえる。


 「今回の件どう落とし前つける気なの?」

 「落とし前?それなら俺を殺せばいい」


 だから開き直ってるのか。

 公開処刑でもするのか?ちょっと怖いぞ。


 「どうするかは、新しいここの神に決めてもらいます」

 と言い、俺の方を見る。


 え?俺?

 全員が俺を見てる。


 「ちょ、ちょっと待ってくれ」

 「グラーニア、何がどうなってるのか説明してくれ」

 彼女に答えを求めた。


 「グレムスは卑怯な手だけど私たちに勝って、ここの神になってたのよ」

 「そのグレムスに勝ったのはあなたよ、モリオトー」

 皆頷いている。


 「ってことは、今は俺がここの神様で、グレムスをどうするかの決定権は俺にあるってことか?」

 「ええ、そうよ」

 「じゃあ、その権利を全て辞退する。グラーニアに譲る」

 「駄目よ」


 これは困った。


 「正直に言うけど、ここの世界の常識や価値観も今一つ理解してないし俺には判断できない」

 「ええ、分かってるわ」

 「今のモリオトーの価値観で決めればいい」

 「それが必要だし、ここでの正しい判断になるわ」


 うーん。更に困った。

 ちらっとアエカの方を見る。

 彼女も困惑してる感じだな。


 しばらく考えたが答えが出ず、いきなり決めろと言われても無理だった。

 なのでとりあえず、そこに封印されてる魂を解放しよう。と提案。

 皆了承してくれた。


 ということで、皆で山に登っている。

 魂と亡骸が詰まった結晶を解放するには山だと皆が言うのでこうなった。

 こっちに来て、山を登ったり下りたりばっかりしてる気がするなぁ。

 非常に面倒くさい。

 

 道中、なぜかグレムスが俺が使えるようになった結晶封印のスキルの詳細を説明してくれた。

 すげぇ便利なのは分かった。

 ただ、コイツあの時半分の強さだったのか。

 遠回しにそれを言いたかったのか?

 それが事実なら、もし本気出されたら俺負けてたんじゃね?とは思った。


 グレムスの処罰について結論が出ない問題を考えさせられてると、あっという間に山頂に着いた。

 ここからは、俺、グラーニア、オディナ、グレムスで火口に降りる。

 中は相変わらずの熱気で、グレムスを斬った下まで降りるとマグマが赤く煮えたぎっているのが見える。


 オディナが持っていた結晶を無言でグレムスに渡す。

 グレムスは寂しくて泣きそうな顔をしていた。

 案外正直者なんだな。


 「さあ、解放して」

 オディナの肩に乗ったグラーニアが急かす。


 グレムスは両目を閉じ、ごめんな、と小さくつぶやいた後、水晶をマグマの中に投げた。

 水晶が跡形も無く飲み込まれた後、グレムスが封印解除をした。


 マグマの中央付近からゴボッっという空気と共に11人の魂が飛び出してきた。

 白くて丸い魂は、場に居る俺やグラーニア、オディナ、そしてグレムスの周りをせわしなく動いている。

 どうすればいいのか困っているようだった。


 「・・・お前ら悪かったな。もういいから成仏してくれ」

 グレムスがそう言うと、魂は1つに重なり上へ昇っていった。


 悲しい幕引きだった。

 唯一の救いは、あの魂達は水晶の中に封印されていたので痛みや疲労も無く、体感時間は一瞬だったということくらいか。

 それ以外の事実は何も救われてない気がする。


 グレムスを見ると、ただただ、時間が全てを薄く伸ばして誤魔化しているだけの虚しさが残った様に見える。

 ヤツの赤毛の大きな後ろ姿が小さく見えた。

 帰りは皆無言だった。


 グレムスの処遇に関しては何も決められなかったので後日言い渡すことになった。

 そもそも、俺は成り行き上勝ったが、ここの神様になること自体了承したわけじゃないし。


 その辺りも含めグラーニアに詰め寄ったが、神としてこれだけ関わってしまった以上俺に拒否権は無いらしい。

 そんな夢ある?

 せっかく主人公補正で勝ったのに、まだハッピーエンドの展開にならないし。


 ただ、今後もグラーニア達が色々アドバイスしてくれたり、手伝ってはくれる様だが。

 とりあえず、グレムスには住んでいたこの山で謹慎しておくように伝えた。

 やはり、あせらずに進めるしかない。

 このまま終わって別の夢に行ってもいいが、別の夢を見る方法も分からないし。



 その後、グラーニア達とゆっくり食事しながら聞いたが、俺の姿はとにかく危険らしい。

 主人公補正で強くなった後は、マイナス設定が続くようだ。


 グラーニアが言うには、ここ湖隣村があるブルギュラー公国の隣にはベルナ首長国という国がある。

 その国の若王。ベルナヴォ・ヴィスコンティの顔と俺の顔が同じらしい。


 それの何が危険かというと、彼は若くして国王になったが、別名が残虐王、冷酷王と呼ばれていたという。

 それ故、国内外から敵が多く相当嫌われているらしい。

 彼を知る者が俺の顔を見ると驚愕し、敵意を見せるだろうということだ。

 実際、オディナがそうなったな。

 そのことを教えてくれたグラーニアでさえ、別人だと分かりつつも最初はかなり警戒してたらしいし。


 ただ、湖隣村辺りの人達は知らないだろうから問題は無いとのことだった。

 せっかくイケメンの姿になったと思ったのに、自分の顔に注意が必要になるとは思わなかったわ。


 そしてこの後、神様としてやらないといけないことが多いらしい。

 夢の中でさえ雑務に追われるとか、意味分からんなぁ。

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