8/8
公園
ロジーナは都の外れにある公園にいた。
展望台からは都が一望できる。
ロジーナは展望台の柵に手をかけ、景色を眺める。
広大な宮城のすぐ近くに高くそびえる白亜の塔は魔術師協会本部だ。
ロジーナはゆっくりと視線を動かす。
協会本部の奥にクレメンスの館が見える。
しばらくの間、ロジーナはそこから視線を動かすことができなかった。
「師匠……」
苦しそうに胸を押さえながら息を吐く。
「お世話になりました」
瞳を潤ませ、つぶやくようにそう言うと、深々と頭を下げる。
顔をあげると思いきるように大きく深呼吸し、術を練る。
ロジーナは最後にもう一度クレメンスの館を見ると、その場から姿を消した。