認定式終了
認定式が終了した。
ロジーナは免状をクルクルと丸めはじめる。
「ロジーナ」
聞き覚えのある大声で呼ばれた。
ロジーナは軽く目をつぶり、ため息をついた。
「師範魔術師、おめでとう」
カルロスがロジーナの正面に立ちはだかるように言った。
「ありがとうございます」
ロジーナは座ったまま抑揚のない声でそういうと、免状を筒の中に入れる。
「おい。祝ってやってんのに、なんだよその顔は」
カルロスは仁王立ちになってロジーナの顔を見下ろす。
「すみません。こんな顔で」
ロジーナは取り澄ました様子で筒の蓋をはめる。
「ったく」
カルロスは舌打ちをした。
ロジーナは気にする気配もなく、そのままカバンを腕にかけ、筒を持った。
「おい。懇親会には出るんだよな?」
「はぁ? 私、懇親会に出席するなんて、一言も言ってませんが?」
ロジーナは覗き込んだカルロスをナナメ45度でチラリと見あげてから立ち上がる。
カルロスは思わず一歩退いた。
「では、失礼いたします」
ロジーナは軽く会釈をすると、足早に出口へと去って行った。
カルロスは肩をすくめる。
「今日はやけにツンケンしてやがる」
そうつぶやくと、弟子の元へと向かった。