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認定式  作者: 岸野果絵
1/8

自宅

<登場人物>

ロジーナ・・・師範魔術師。世界でも1,2を争う魔力の持ち主。

クレメンス・・・師範魔術師。魔術師協会の会長。ロジーナの師匠。

フランク・・・師範魔術師。魔術師協会幹部。クレメンスの部下。

ニコラス・・・師範魔術師。魔術師協会幹部。クレメンスと並ぶ使い手。

ディミトリアス・・・師範魔術師。魔術師協会の最長老。魔術師協会幹部。

カルロス・・・師範魔術師。クレメンスの弟子。

タチアナ・・・上級魔術師。魔術師協会事務局のお局様。

コーネリア・・・上級魔術師。魔術師協会事務局勤務。ロジーナの友人。

 身支度を整えたロジーナは鏡台の前に座った。

いつもは、後ろでひっつめにしているか、無造作におろしている髪を、今日は綺麗に結い上げていた。

手鏡を持ち、合わせ鏡のようにして、髪が崩れていないか確認し、撫でつける。


朝から悪戦苦闘した甲斐があって、なかなかの出来栄えだった。


ロジーナは満足して微笑むと、手鏡を置き、もう一度正面を見た。

鏡の中には、薄化粧を施し、髪をきっちりと結いあげ、師範魔術師の正装に身を包んだ、いつもと違う自分がいる。

ちょっぴりお洒落した自分は、少しばかり大人びて見えた。


クレメンスは綺麗だと思ってくれるだろうか。

ロジーナはふとそう思ったが、慌てて首を横にブンブンと振る。


一体何を考えているのだろうか。

今日は認定式だ。

そんな浮ついたことを考えている場合じゃない。

こんなことを考えていたと知られたら、きっと軽蔑されてしまうに違いない。

情けない。

ロジーナは鏡の中の自分を睨みつけた。


不意に髪型が気になった。

そもそも髪を結い上げる必要があったのだろうか。

いつもと同じ髪型でもかまわないのだ。

自分は何に期待して、こんな凝った髪型にしたのだろうか。

認定式にわざわざこんな髪型で行く必要などないはずなのに……。


ロジーナは急にはずかしくなった。

右手を頭の後ろに回し、髪の中のコームを一気に引き抜く。

豊かな黒髪がパサリと肩にかかった。

ロジーナは鏡台の上にあったブラシをとると、うつむきながら乱暴に髪の毛をとかし、いつものように後ろで一つに束ねる。

そして、肩を軽く払いながら時計に目をやる。

予定の時刻を過ぎていた。

慌てて立ち上がり、バッグに手を伸ばしたが、ふと動きを止めた。

「そうよ。何も早く行く事はないのよ」

ロジーナはそうつぶやくと、再び腰を下ろした。


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