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EVOLUTION 毒と家族
『救世主の起こした奇跡は、とてもこの本に書ききれるような数では無い。 彼は愛した。 この世界をも、この星をも、偽神をも、残酷な運命をも愛した。 ……。 彼の奇跡の残滓は、まだ、各地に残っている。 例えばある所に一人の女がいたとしよう。 救世主は彼女の望みを叶えた。 彼女の死んだ娘にどうかよみがえって欲しいと言う願いを叶えた。 そのよみがえった娘は、長じた後は、遠い所へ行ってしまったので詳細こそ分からないが、恐らくは救世主の奇跡の一つであるから、今も生きているであろう……』
――偽典バルク書――




