カーテンに包まれて
「早く、出てきなよ」
柔らかい風がカーテンを靡かせる。ふわりと舞い上がったカーテンは空君の足元を覗かせた。この二人しかいない教室。カーテンに包まる君。胸の高鳴りは止むことを知らない。
「僕は男なんだよみぃちゃん。ましてや、もう中学生なんだよ?」
頬を赤らめる空君の姿がとても可愛らしくて愛おしかった。
「何言ってんの、だからこそでしょ? セーラー服なんてこの先着たら変態扱いよ?」
「今もそおだよお……」
「今はいいの! 空君可愛いんだから私は許す」
「うぅ……」
未だ空君はカーテンから出てこようとしない。ぷくと頬を膨らませた空君。可愛くて風に攫われてしまいそうだけど、私も負けてはいられない。
「もういいもん! 空君なんか嫌いっ。男の子なら、男気見せなさいよお!」
私はそう言って、教室を出ようと駆けた。もちろん空君を出すための作戦。
「待ってみぃちゃん!」
呼ばれて振り返ると、セーラー服姿の空君が姿を現していた。ふわりと靡く紺色のスカート。雪のように真白な肌。窓の外から射し込む暖かい夕日が、空君を輝かしていた。
「……ごめん。嫌いにならないで」
少し潤んだ瞳で空君は私を見つめた。反則。そんなのルール違反だよ。
「嫌いになるわけ……ないじゃん」
(可愛い)ショタは正義。