7錠目 薬要らずの癒し
ちょっと短め、一休み一休み(^◇^)
最近、まともに心休まる日がありません。暇さえあれば私のもとに訪れアタックをけしかけてこられる隊長様もそうなのですが………。
あの副隊長、モブリット・アルファロッドのクソ野郎のせいで既に心身ともにボロボロにございます。
しかし、そんな私にも神は微笑んでくださいました…!なんと、隊長様は先程魔王様の御命令により4日間の長期任務に行かれました!
そう!それはつまり!
(4日、胃の安全が約束されたも同然!)
グッバイ、胃薬!
いらっしゃい平穏!!
4日間だけだけど!
ああ、嬉しさのあまりに涙が目に溜まります。正直に言いますと、私は男性とお付き合いをしたことがこれっぽっちもないのです。
なので隊長様の好意をどう受け入れていいのか分かりませんし、あの押せ押せな隊長様の対処にも内心いろんな意味でバクバクしてます。
吐血すれば血を舐めるんですから吐きたくても我慢しなければなりません。
そしてあのモブリット・アルファロッドああもうメンドクサイあんな奴モブで上等だ。
あのモブ、会うたび会うたび嫌みを言ってくるのですよ。
例えを上げるならば―――
先日、セクシー先輩に頼まれ魔王城の城内を掃除していたところ
「おい、アンタ」
「はい、なんでございましょうかアルファロッド様」
あのモブがどこからともなく現れ、窓枠に指を滑らしたかと思えば
「ハッ、アンタ掃除もまともに出来ないわけ?」
フゥと指先に息を吹き掛けば舞う埃。
ドヤ顔のモブ。
………お前は私の姑か!!
とまあ、モブの姑みたいな嫌みに行動が続くわ続くわ。
こんなことが日常になりかけていたその毎日に舞い込んできたこの4日の時間。
私は誠心誠意、仕事に集中し、ゆっくりとまったりと過ごすんだ!
隊長様とモブを含めた隊がいない今、魔王城は癒しの空間です。
なんの偶然か、主治医も2日ほど魔王城を離れるらしく、もう楽園です。
「後輩ちゃーん、お茶入ったわよー」
「はい、セクシー先輩」
現在メイド一同は、と言っても私とセクシー先輩とメイド長の3人ですが、絶賛休憩中です。
「メイド長がね、旦那さんと一緒に旅行行ったときのお土産ですって」
「…おおっ、これは美味しいですね」
あ、今さらですがメイド長はご結婚なさっています。お子さんは女子7人男子2人の計9人いるらしく全員成人していると聞きました。
旦那さんはここで執事長をしている方なんですって。因みに同じ淫魔族、男の場合は淫魔で意気投合したのが切っ掛けとか。
職場恋愛、素直にいいなと思えない私はなんだろう。
余談ですが、セクシー先輩にも婚約者がいるらしいです。しかもスコーピオン。なんか喧嘩したら怖い。
「そうそうメイド長達、最近家が寂しくなったから10人目を目指してるんですって、淫魔は何歳になっても元気ねぇ」
「………えっ、メイド長、何歳なんですか」
「………さあ、何歳なのかしら」
これは魔王城の七不思議になりそうです。