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3錠目 悲鳴を上げるのは胃


早速新キャラ登場!

……あーれー、ヤバイなーいろんな意味で新キャラのキャラが濃いぞ。





 ……うぅ、なぜこうなったのか数日前の自分に問いただしたい。



「ダイジョーブ?顔が真っ青だねー。ちびちゃん」

「…主治医(せんせい)、私はもうちびちゃんと呼ばれるほど子供ではありませんよ。それより、いぐ、はやく胃薬ください……!」

「はいはい、ちびちゃん待っててねー」



 医務室の隣には傷薬に私愛用の胃薬などを調合したり、その予備の薬や調合する為の材料を保管したりする調合兼保管室があったりするんです。

 本来ならば医務室に薬を貰わなければいけないのですが私はとある2つの理由によりこの調合兼保管室、通称デスルームで貰っています。




 なぜデスルームと呼ばれているかと言いますと…



「しっかしねー、ちびちゃんも変わらないよねー。胃が極度に弱いとことか昔から変わらないしー、僕以外の薬が効かないとことかも、ねっ?」

「……本当に、マッドサイエンティストと誉れ高い主治医(せんせい)の薬しか受け付けないとか…」

「えーっ、マッドサイエンティストとか酷いなーちびちゃん」


 アハハー、と間延びした喋り方で返す主治医(せんせい)

 主治医(せんせい)は私が幼い頃からの付き合いで、昔馴染みという部類に分けられます。と、言いますか…この主治医(せんせい)、当時幼かった私の昔からの係り付け医なんですよね。


 まあ、まずそれがデスルームに来る1つ目の理由です。


 私がこの魔王城に就職すると一緒に、1年前この主治医(せんせい)までどうやってかは知りませんが魔王城の医師なったんですよね。



「はい、いつもの僕特製の胃薬だよー」

「……いつもありがとうございます」

「いやいやー、ちびちゃんの為だけに作った薬だしー?」


 そう、何やら怪しげな色をした液体が入った小瓶をチャポンッと揺らしながら主治医(せんせい)は言う。


 主治医(せんせい)はハニーホワイトの癖っ毛に琥珀色の瞳をし、額に長い角を生やした一角獣(ユニコーン)です。

 一角獣は身体の有りとあらゆる部位が薬になると昔から言われる稀有な存在の神獣です。

 自分自身が薬になるからかこの人、凄く薬やそういう類いの物に詳しいんですよ。


 ならなぜその神獣がこの魔王城、悪魔と共に魔界に住んでいるかと言うと、


「え、だって神界ってつまんないし、人間界は人間界で僕のこと只の薬の材料としてしか見ないしー。あっそれか見世物とかー?」


 ヘラーとヘビーなことを言った主治医(せんせい)ですが、私はこの主治医(せんせい)の存在自体が危険(デンジャー)だと思うんですよね。



 だってこの人、神獣の癖に普通に悪魔より人を殺しちゃいますし、何より薬の材料になる本人が人間を薬にしちゃってるとか実験体にするとかどんだけ人間に私怨あるんですか!?

 仮にも神獣ですよね?護るべきの人間を殺しちゃいとかなんスか!?



 そんな主治医(せんせい)がこの魔王城に就いてから次々と部隊の隊員様とか医師仲間に怪しげな実験薬を飲ませては楽しむという、悪魔より悪魔な諸行をするものだから、主治医(せんせい)が拠点とするこの部屋がデスルームと呼ばれるようになったんですよね。


 ……昔は私が主治医(せんせい)の実験体でしたなぁ。あー、もしかしたら胃が精神的にも物理的にも弱くなったのってコイツのせいじゃ……。



 ――ゾクッ、



「ん?ちびちゃんなぁに?」

「いいい、いえなんでもありませんよ!?」

「そぉ?んー、じゃあそういうことにしとこーか」




 こ、コエー!主治医(せんせい)コエーよぉお!!

 可愛い顔してヤること成すこと怖いぃい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい失礼なこと考えてごめんなさい。だからその明らかに人間の指がはみ出た紫黒いフラスコを私の顔面に押し付けないでください!!



「ほらほらー、これ新作の薬なんだー。飲んで感想聞かせてよー」

「いぃいえ、結構です!私さっき胃薬飲みましたから!」



 もうこの主治医(せんせい)イヤダ。私が何のために医務室に行かないと思ってんだバカヤロォオ!


「あ、そーいえばさっきねー、あのタイチョー君が医務室にやって来たよー。君が居ないかどーかって」

「ぅぐふっ、」

「あ、血吐いた。胃に穴でも開いちゃった?全くちびちゃんはメンタル弱々だねー」



 あの医務室吐血祭り(私命名)以来、押せ押せな隊長様が毎日のように城門や庭先に訪れ、それがストレスになっていまして胃がヤバイんです。


 しかも何やら暇を見ては医務室に薬を受け取りに来た私がいないのか聞きに来るようになったんです。元から医務室ではなくデスルームで薬を貰ってるので鉢会ったりしませんが、私はますます医務室に寄り付かなくなりましたよ。


 間隣の部屋ですけど。



「ちびちゃんも見合い話が来る歳になったのかー」

「いきなりなんですか、私ももう241歳〔※人間でいう24歳らへん〕ですよ、縁談の1つや2つきま」

「初めてのお見合い相手がまさかのタイチョー君とかねー、玉の輿じゃーん」

「……なんでそんなことを知ってるんですか」


 確かに私は主治医(せんせい)に縁談を断ったと話をしましたよ?確かにあの縁談が初縁談の話でしたよ。でもなんでその断ったお相手が隊長様とか知ってるんですか。



「まあ、ちびちゃんより22も下の彼がどーしてちびちゃんに惚れたんだろうねー?」

「たしか……えっ、隊長様が年下!?」

「あれ知らなかったの?タイチョー君は今年で219歳〔※21歳らへん〕だよ」

「四捨五入して20も年下!?お、同い年かと思ってた…!」


 まさかの隊長様が年下という事実を知ってしまいました。……え、ということは私は年下に翻弄されたんですか?

 え、そ、それって年上としてどう、どうなんだろう?



「年下に胃をヤられるとかどうなのー?」

「…っグ、そ、いう主治医(せんせい)は、未だに独身じゃな、いですか!」

「胃を抑えながら睨まれてもなー。そもそも僕は好きで独身やってるんだから訳が違うよー」


 主治医(せんせい)は3年前に1500歳を越えるとか言ってたな……うわぁ、オジサマだ。天使みたいに可愛い顔した少年が中身1500も越えるオジサマとか泣ける。いろんな意味で泣けてきます。



「それに、僕がお嫁さん貰うとしてもちびちゃんみたいな面白い子じゃないとヤダなー」

「なら結婚します?」

「え、いいの?こー見えて僕はけっこー束縛激しいよ?まずね結婚したら君を誰の目にも入らない場所に監禁してー、それから僕以外を見ないよーに、僕がいないと死んじゃうーってくらいに外も中も薬とか僕自身で犯…調教するんだ。それからそれから逃げ出さないよーにたっーくさん子供を孕ませて逃げ道とか全部潰してー」


「あ、やっぱさっきの話は無かったことで。」

「ちぇー、まっもしちびちゃんが僕と結婚したらっていうもしもの話だしねー」

「もしもの話だとしても断固遠慮させていただきます」

「うわ、酷いなーちびちゃん」



 酷いのはアンタの思考だよ。

 しかも調教の前になにやら不吉な単語が聞こえませんでした?え、ああ気のせい、気のせいね。

 さらりとヤンデレっちゃうってどうなんです?アナタふざけたくらいにマッドサイエンティストな上にヤンデレ属性とかどうなんです?


 濃っ!キャラ濃いな!!



「ちびちゃん、タイチョー君が嫌になったら僕のとこに来なよ?」

「断固拒否させていただきましょう」




 胃を癒やすために胃薬を貰いに来た筈なのに胃が悲鳴を上げているのはなぜなんでしょう。



「ちびちゃん大丈夫?顔色悪いけど」

「アンタのせいだわっ!!」

「……ふーん、あっそ」

「…え、ちょっ、せんせっまっ!?」





 このあと、あの指がはみ出た紫黒い液体を口に突っ込まれ、怨念混じりなそれのせいで私はガチで生死の境目を漂うことになりました。

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