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風と共に。  作者: フラップ
第一章 飛行隊構築
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ミーティング

 ネイチャーを極力視界に入れないためにミィに視線を向ける。逃げではなく、防衛本能。つまり、生き残るために自然淘汰されて残った人類の安全装置といえる。そんなことはどうでもいい。


 ミィはセクハラ発言から無表情と言うか、感情を切っている。ミーヤ・モラレス三等曹から軍人パイロットAになった。そういう切り替えも防衛本能かも。


 「ミィ?」


 ……だめだ。これは入隊式の時の長話の時の状態に似ている。案山子。


 仕方ない。ミィの頭を小突く。


 「…………あれ?」


 あ、再起動した。いや、これは変に聞こえるかもしれないが、稀にこういう人がいるのだ。説教が終わってから、『あれ?俺何で怒られてたんだっけか』と言う驚異の記憶力と集中力を持つ人間が。教委(教育委員会)が泣くぞ。


 「戻った?」


 「うん……まあ」


 さてと、決して後ろは向かずに作業を開始する。両主脚に牽引棒を掛け、ウィンチで牽引する。


 ハンガーにしまって、チョークもつけて、さあ、今日の仕事は終わり。いやー、働いたなあ。


 直後、肩に何らかの感触。


 「なッ!?」


 まさか?探査スキルにも掛からずに背後を取っただと?


 「サアテ、オハナシシヨウカ」


 少しずつ肩に手が食い込んでいく。体はちっとも動かない。一時期、冒険者としてドラゴンと対峙した事があった。それよりも怖い。これは、人間が姿が分かるドラゴンよりも姿が分からないネイチャーを恐れている証拠だ。もしかしたら今ネイチャーは鋭い牙を持つ魔獣に姿を変えているかもしれない。


 もう片方の肩も掴まれてしまった。少しずつネイチャーが前に進んでいるのがわかる。目だけ、目だけは辛うじて動かせる。そして横目で見たものとは_____∴Щ#Π‡"&ё%Ω$*?;。


 ________このことについて、湊は何も語らなかった。死ぬまで、誰にも。


 少なくともこのあと四時間以上湊とネイチャーが姿を消したこと、湊はネイチャーを避けるようになったこと、湊はその夜何も食べなかったこと、翌日には元に戻っていたことなどが判明している。




 「……で、如何だった?」


 ミーナに意見を求める。菊染についてだ。翌日にミーティングがずれ込んでしまった。


 「全体的にいい。でも引き込み脚は分かりずらかったし、効果が分からないわ」


 「今回は低速から中速だったからな。高速と加速時に効果が出る」


 今回、【豚】にできるだけ目を付けられないように、「大した事ないな」と思わせるような飛行にした。そうでもしないと自分の手柄にしようと躍起になるだろう。


 「フラップは凄かった」


 「スプリット・フラップがいけないと思うけどな。効率が悪い」


 スプリット・フラップはどちらかと言うと着陸用だ。零戦に搭載されているのもその意味合いが強い。着艦用だ。ブレーキが強く、構造も簡単だったからだろう。


 「ロール系はちょっと鈍っていた」


 「ああ、それは脚とフラップで重心が外側にずれてたからだろうな」


 でも、最小旋回半径と旋回効率は上がった。巴戦でも楽勝かも。


 「あとはいいんじゃないの?でも高起こしになっちゃった。慣れが必要ね」


 「ああ、地面対効果があるからな。主翼幅の二分の一になったら揚力が増す。気持ち10メートル手前に落として掬い上げるように着陸、がベストだな。今まで何やってたんだ?」


 「…………今までの飛行機は貴方には如何見えていたの?」


 「紙飛行機」


 「うわあ……」


 多少誇張は含まれているが事実だ。今やっとゴム動力飛行機になった感じかも。


 「で、これからどうするの?」


 「煮詰めだな。実戦でも試したい。小競り合いに出てみるか?」


 「勘弁ね。折角ファンタスが来るのに」


 新型戦闘機、ファンタス。ハッキリ言って何を見たのか分からないがペロハチP-38に似ている。勿論、ターボ・チャージャーは無い。


 「ああ、此処にはファンタスは来ないぞ?」


 「……え?」


 「此処は実戦部隊じゃないからな。それなのに出動命令が出るわけだ。配備機は明日来るスクリプト合わせて二機、パイロットは俺とミィ、早速だが一週間後くらいにチョッかいに行く可能性がある。それまでに改造しないとな」


 「えぇぇぇぇぇ??」


 「はっきり言ってファンタスはあまり良くないぞ?パワーはいいがどっちかと言うと攻撃機だしな。迎撃向きだがあれなら格闘戦に持ち込んだらスクリプトでも落とせる」


 「……今時格闘戦なんてしないわよ。魔導弾で追尾してどーん」


 「チャフ撒いたら避けられるじゃねえか」


 「…………チャフって?」


 「………魔導弾の術式読んだか?前方四十五度円錐の中の最前物を狙う。紙くずでもばら撒いたらそれに向かってくぞ?」


 「……………………」


 この沈黙のミィの表情の変化はまず疑問、思考、驚愕、期待だ。此処までシンプルなのも珍しい。


 「それって!」


 「それって?」


 「………いいんじゃない?」


 「………いいと思ったから作るんだけどな」


 ミサイル万能時代バンザーイなことになっているがまあ大丈夫だろう。

わあい、なんて珍しい、こめでぃたっちでセウ。

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