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風と共に。  作者: フラップ
第三章 試験管な飛行隊
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講師の悩み

 講義室だった講義の場所が講堂になった。2-3、2-3と忘れないように口ずさむ。ほぼ効果はない。


 講義室の広さは入る前の扉の大きさからはあまり測れない。システマチックというやつだ。


 まだ航空機がこの世界で発明されてからまだ20年。持ち込んだデイビットが暗殺されてから8年。8年前から余り進んでいない。この大学だって創立15年だ。それも、大統領命令で至急作られた大学だ。同じ部品が大量に使われたため、どこも同じ印象を受ける。申し訳程度に色を変えた壁の帯が何とも(わび)しい。


 よって、湊はドアを押し開けるまで中がどれくらい広いのかがわからなかった。例によって全く同じ規格の水色の扉のノブを回し、押し開けると────


 視線のはるか下の奥、広いはずのステージが小さい。湊はそれを見て固まる。


 無論、ステージが小さいのではない。遠近感で小さく見えるのだ。


 「いや、いやいや待てよちょっと……え?」


 もう一度ステージに目を向ける。マイクスタンドが寂しい……ではなく。


 「間違ってないよな……」


 左右を見渡す。軽く横幅50mはあるんじゃないか?昨日の人数だと3分の1も埋まらない。教授陣のいじめじゃよな…………。


 声を張って叫んでみる。こだまが、こだまが聞こえるよ……。馬鹿なことをしていると気が落ち着いたらしい。なんというかまあ、異世界人開発のオーバー・ヘッド・プロジェクターとスクリーンだけで相当値が張りそうなぐらいだ。


 ステージのほうまで行ってみる。演台は端っこに寄っていて金属製の黒いスタンドの上にマイクがあるだけ。ずらりと並んだ全く同じ色、同じ形の椅子が圧巻と言えば圧巻である。


 演台におかれた出席簿を見て嫌な感じがする。1ページ50名入る出席表。それが厚く見えるほどに重なっている。手に持ってみると重い。


 少なくとも60枚はある。300人オーバーかぁ。昨日は30名ほどだったはず……あれ?


 航空学科の一期分の学生は確か30名。4年制だから120名。院生・研究生含めて200名足らずな筈だが……明らかに数がおかしい。


 手元の出席簿をめくっていく。最初のうちは【備考】欄が空白だったが……出るわ出るわ、兵器製造会社プロジェクトリーダーに航空会社テストパイロット、空軍幹部……って上司か。


 最後のページで手が止まる。頬を汗が伝う。


 『国家航空宇宙開発局局員』。市井の紙飛行機大会にNASAが乱入したというレベルである。何でこんなのが……。


 再び嫌な汗が。


 一つ、ここに声高に宣言したい。


 俺、まだ学生年齢にさえなってないんだが……。

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