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風と共に。  作者: フラップ
第三章 試験管な飛行隊
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軍事機密とドーナツ

 「難しいな」


 ネイチャーは湊の……『魔導弾発射体の製造方法を教えてほしい』という願いを切って捨てた。


 「一つ、多分フェインダースが情報を公開していない」


 ネイチャーは指を折って数える。


 「二つ目は、そもそも軍事機密であること、三つ目は、特許だ」


 「あぁ」


 確かに、難点が多すぎる。


 「できるとしたら、プロジェクト・リーダーと仲良くなって製造レーンの話を出してもらうことだな」


 「誰か知ってるか?」


 「ちょっと待て……」


 ネイチャーは電話型魔導通信機をとってどこかにかける。ダイヤル式なのがこれを作った異世界人がいつの時代を生きていたのかを示している。


 「……わかった。有難う」


 ネイチャーは電話を切った。チーンという音が部屋に響き渡る。


 「何処に掛けてたんだ?」


 「知らない方がお前のためだ」


 「…………」


 知ってしまったら『お前は知りすぎた』とか言って暗殺者が来るのだろうか。畳の上で死にたい湊は追及をあきらめる。


 「で、誰だったんだ?」


 「ああ……。チャフ・カイリエフだ」


 「………………え?」


 チャフ・カイリエフ。


 カイリエフ子爵家の三男。フェインダース兵器製造の、航空部門プロジェクト・リーダー。


 そして、湊の元受講者。


 時は一年前。スクリプトを導入する前。


 湊は異世界人だからというよくわからない理由で講演をすることになった。150分3コマの予定が、一週間5コマ、1コマ3時間という超ハードスケジュールとなった、悪魔の講演。


 『軍事機密』が飛び交い、トチ狂ったとしか思えないような理論(大学教授視点)と化石な理論(湊視点)がぶつかる。


 学生たちを蔑ろにし、遂にはVIP待遇で国家特別開発局のエンジニアまで巻き込んだ大論争。


 学生向けのはずが、彼ら以外の航空関係者に大きな益をもたらした講義。


 学生たちはそれを、中心が欠けている、という意味で『ドーナツ』と呼んだ─────。


 その中で、追随する事が出来た学生が3人いた。『ドーナツ』の噂を聞いた湊がガラス製のドーナツを贈った学生たち。


 渡されたときに、『このドーナツにはどのような力学的特徴がありましたか?』と聞いた学生。


 それが、チャフ・カイリエフだった。

因みに湊は『空力中心と重心が一致している』と返したそうな。

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