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風と共に。  作者: フラップ
第二章 田舎的森林
22/50

おまけ ゲーテ飛行行商隊

10000PV突破記念!

 今回はかの大馬鹿野郎、ゲーテにスポットライトを当てました!

 ……前回のおまけとのギャップに唖然……。


皆さん、ありがとうございます。では。

 ドワーフの大洞窟の中……。


 「譲ちゃん、また来な!」


 「おうよ!ありがとな、おっちゃん!」


 ゲーテは手押し車に細長い木箱を幾つか載せ、それを仲間たちに押し付けて話した後だった。飛行艇のハッチを回して開け、入る。軍の払い下げだから特殊な構造になっている。中には既に三人の仲間が乗り込んでいた。


 ゲーテは茶髪の青年に声を掛けた。気の弱そうな外見。


 「カイト、コーキニンの爺さんは如何だった?」


 「ダメだ。堅物爺ちゃんの信頼はまだ得られてない」


 「えー?あの珍酒でもダメだった?」


 「ああ」


 今度は白髪の中年男性が答えた。ガイだ。彼ら二人で送り出した。大分手ごわいメンバーだったはずだが、頭に【超】が付きそうな堅物ドワーフのコーキニンは未だに武器を売ってくれなかったらしい。これで6回目のアプローチ失敗だ。もう3年ほどになる。


 残念ながらドワーフの第一法則として堅物であれば堅物であるほど腕が良い、と言うものがある。少なくとも開けっぴろげでフレンドリーな職人はドワーフとしては余り腕が良くない。腕がいい職人にコネクトできるのは限られた人間だけだ。帝国の帝王でさえそれを従えることは出来ない。


 今のところ先ほどのドワーフ……の親方と、あともう一人しか腕のいい職人から武器を買えない。


 失敗作を集める倉庫から買い取ると言うことも出来るが、ゲーテは絶対にそれをしない。失敗と言うからには何かしら欠陥があるのだ。それを【ドワーフ作】と売るのは感心しない。


 「じゃあ俺はライト被っとくな」


 「了解」


 ライトとは一切の光をさえぎり、眼に一定の光を当てることが出来る魔道具だ。暗いドワーフの洞窟から出るときに必要で、出た瞬間に操縦をそれをつけていた副操縦士に代わるためのものだ。


 これが無いとドワーフの大洞窟を飛べない。幾ら飛行機が飛べるスペースがあると言っても光はどうしようもない。洞窟から出た瞬間眼が光で見えなくなる。しばらくたてば見えるようになるが、そのしばらくの前に飛行機が墜落する。そのために一人眼を光に慣れさせておくのだ。


 スロットルを1センチ出す。燃料が多すぎたらホット・スタートになる可能性がある。ほんの少しだけで良い。


 まずは右エンジンから。すぐに左エンジンも始動させる。


 ドワーフ手製の滑走路。両端に赤、天井に青色のライト。正三角形になっている。これが飛べる限界。これを外れると壁に激突する。それが延々と続いている。


 通称、【ドワーフの空母】。空母並みの技量を求められる、と言うわけだ。下手をすると空母よりも難しい。


 それに、滑走路距離が180mしかない。スクリプトなら確実に激突する。STOL性能のある飛行艇だからある程度の重量のものを載せられる。他の商隊は今はいない。だが殆どはこの機種ではなくシンバルと言う中型機を使っている。その分、奥深くの種族との交易は出来ないが、燃費が良くなる。一長一短だ。


 「離陸!舌噛むなよ!」


 叫んでスロットルをハイに。双発機だからトルクを余り気にしない。


 機種上げ。重い。誰かお土産を買いすぎたのか?


 離陸。機種に取り付けた基準棒と赤いライトを平行に。


 ドワーフもエルフみたいに楽だったらいいのに。ツテがあれば優しく風の精霊術で降ろしてもらえるからなぁ。


 出口付近で洞窟は上昇旋回するように捩れている。地殻変動の所為らしい。


 ここからは僅かに見える黒い壁を頼りに墜落しないようにするしかない。


 ライトは当てにならない。


 僅かに向こうがグレィになる。あそこが壁だ!


 「カイト、ライトを外しな!」


 40度バンク。アドバンス・ヨーを避けるためにラダー・ペダルを右に踏む。


 操縦輪を引く。フラップは後ろのガイが操作してくれた。


 もう洞窟から出るまで数秒。


 グレィの壁は後方にすっ飛んで消える。


 直後、視界は真っ白に染まる。


 「カイト!」


 「おうよ」


 カイトが操縦を引き継いだ。機体は水平に。そのまま上昇。ドワーフの峡谷から飛び出していく。


 エンジン音が収まる。視界はまだ白い。ぼんやりとだが少しずつ見えてきた。


 水平じゃない、少し傾いている。旋回。


 飛行艇はダウンフォレストに向け飛行を続けた。

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