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異説鬼退治③

 お婆さんは動物虐待の罪で大江戸警察に連行されていきました。まあ、三日もあれば脱獄してくるので心配ないでしょう。

 桃太郎はお婆さんが警察署までドライブするために外に出た後、金属バットでしこたましばかれた影を見ました。

「大丈夫?」

 優しい桃太郎は影に問いかけます。

「うき」

 サル語で答えが返ってきました。

「もしかして、サルをしばいてたの? お婆さんは」

 そのようです。

 サルは偉そうに腕組みして、手を桃太郎に出しました。何か寄越せ、というわけですね。

「ごめんね。確かに無関係のサルに対して、殴りかかっちゃったわけだもんね。何かあげられるものは……」

 桃太郎が冷蔵庫を見ると、特製のみたらし団子がなくなっています。それは桃太郎が大切に大切にとっておき、お婆さんがいないときにこっそり味わおうとしていた物でした。

 そして、サルの口もとにはみたらし団子のタレがついていました。はい、犯人確定。

「…………」

 桃太郎の額に青筋が浮かびます。

「キッキッキ」

 さっさと寄越せとサルが催促します。

「き……」

 桃太郎は刀を抜きました。

「キキキ!」

 サルはなおも傲岸不遜な顔で寄越せと言っています。

「貴様にはこれで充分じゃあ!!!! 刀のサビにしてくれる!!!」

 桃太郎がブチギレました。

「わんわん!」

 犬の静止も聞きません。

「ウキキキ?!」

 サルは桃太郎の形相に驚き、台所を逃げ回ります。

「なんじゃあ、桃太郎か?」

 お爺さんが起きてきたようです。手には何かを持っていました。

「桃太郎や、せっかくのワシのみたらし団子がまずくなるでな、騒ぐでない」

「お爺さん、コイツは名神高速道路を時速300キロで逆送しつつ引きずり回した後に、ギロチンにかけてもまだ恨みは晴れないんだ!!」

「まあ、落ち着くのじゃ」

 お爺さんは年長者らしく、いきり立つ桃太郎をなだめます。

「サルや、お主もこれまでの行いを反省し……」

「ウキッ!」

 サルは高速でお爺さんが持っていたみたらし団子を奪います。そして、それを大きな口を開けて、口の中に放り込みました。

「…………」

 今度はお爺さんの様子がおかしくなります。小刻みに震えています。

「貴様……よもや、生きて帰れるとは思うていまいな?」

 ブチギレています、お爺さん。桃太郎の比ではありません。

「貴様は市中引き回し、打ち首獄門じゃあ!!!!」

 どこの四次元ポケットから取り出したのか、核ミサイルを持っています。お爺さんの七不思議のひとつです。

 それに間違いなく、市中引き回しの前にサルは木っ端微塵になっていると思います。

「お爺さん、落ち着いて! それじゃあ、街ごと爆破しちゃうよ」

 桃太郎が慌ててお爺さんを止めにかかります。さっきまでの怒りは危機でどっかにすっとんでいってます。

「末代まで祟りまくってやるぞ!!! このエテ公めがぁ!」

 駄目です。トランス状態です。

 ここで桃太郎必殺の一言。

「ギャルが泣いちゃうよ」

 ぴたりとお爺さんは止まりました。そして、顔には不気味なくらいにこやかな笑顔があります。

「……菩薩の心を忘れておった。サルよ、行くがよい」

 サルが呆然としています。

 犬も茫然自失です。

 桃太郎だけが胸をなでおろしていました。

 お爺さんが去って一段落すると桃太郎はサルに向かって言いました。

「じゃあ、この罪は君が僕と一緒に鬼退治することで償ってもらうとしよう。いいね?」

 桃太郎は優しく言いました。

 サルは思いっきり面倒くさそうな顔をしています。

「いいね?」

 刀を突きつけながら笑顔で再度言いました。

 サルは冷や汗を流しながら、こくこくと頷きます。

「良かった。それから、脱走なんてしたら……分かってるよね? 打ち首獄門……ロケットで太陽に向かって発射して細胞一つも残らない状態にするからね」

 笑顔で桃太郎は言います。ヤンデレよりもきついです。

 こうして、無事に(?)騒動は解決しました。

 翌朝、桃太郎は犬とサルを伴って出かけました。

「そういえば、名前付けないとね。えっと……」

 しばし、桃太郎は頭をひねります。

「犬はダイゴロウ、サルはホームズでどうかな?」

 犬は嬉しそうに吠えました。

 サルは何か寄越せと片手を出しています。

「これで決定! じゃ、行こうか。ダイゴロウ、ホームズ」

 桃太郎の冒険はまだ続きます。

こんばんは、Jokerです。


これはほぼ修正なしで再投稿します。


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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