表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

異説鬼退治①

 むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。

 今日もいつものようにお爺さんはハードバルカンを片手に大江戸銀行へ、お婆さんは日本刀を持って川へ洗濯に行きました。

 お婆さんが川で洗濯をしていると大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと逆流してくるではありませんか。

 さすがにお婆さんは顔が引きつります。

 しかもお婆さんの手元まできて、桃はひとりでにぱかりと割れました。中から出てきたのは一糸纏わぬマッチョなヒゲオヤジです。悪夢です。トラウマものです。

「……!」

 お婆さんは声にならない声をあげます。

「おお、お婆さんがワシの命の恩人か。ワシはドドリゲス=エルハイマン14世。ローマ法王の命により日米相互連携条約の締結に参った」

 ローマ法王はイタリアにいるんですがと突っ込んではいけません。何で変態がこんなところで条約締結とかのたまっているのかとか突っ込んではいけません。そういう小説なのですから。

 お婆さんは数秒して気持ちを落ち着かせると無言で刀を振り上げてオヤジを斬りました。

「またつまらぬものを斬ってしまった……」

 本当につまらないものを斬ってしまったかのようにつぶやきます。

 しばらくすると、大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと川上から流れてきました。

 今度はまともだと思ったのか、中に配慮してお婆さんは桃を優しく斬りました。

 中から出てきたのは可愛い赤ん坊です。

「おお、めんこいのう! よし、お持ち帰りしちゃる!」

 それを一般的に拉致というのですが、お婆さんにそんな概念はありません。

 お婆さんが家に戻るとお爺さんは警察に逮捕されていました。大江戸警察の逮捕状には軽犯罪法違反と書かれています。

「この間抜けが! 自分で脱獄してきんさい!」

 お婆さんの広島弁がエクセレントですね。とりあえず、お爺さんとお婆さんの日常はこんなものらしいです。

「うむ、待っておれ! ワシが帰ってきた暁には鬼が島㈱を打ち倒しにいくぞい!」

 ここでの鬼が島というのは株式会社鬼が島のことを意味します。お爺さんはそこに何か因縁があるようですね。何の因縁かは後のお楽しみ。

 こうしてお爺さんは警察に連行されていきました。

 お婆さんはそれを見送った後、桃太郎を家にいれて食事の準備をします。今日の昼食はザッハトルテと伊勢海老のクリーム煮地中海風ブイヤベースソースにすることにしました。

 お婆さんはそれらをあっさりと平らげると桃太郎にイノシシ肉の香味焼きを出します。赤ん坊なので食えるわけないのですが、そこら辺は根性で何とでもなるとお婆さんは思っていました。

「さっさと食うべさ! 3年くらいで大人になって鬼が島㈱を占領するんじゃ!」

 もうどこから突っ込んでいいのか分かりません。

 そんなこんなで3年ほど経ちました。赤ん坊は素直な子どもに育っていきました。

 しかし、あれこれと騒ぎがあったのでまだ赤ん坊に名前をつけていません。お爺さんも脱獄してきたので、夫婦揃って名前を考えようということになりました。

「そうさのう。デラックスでイカした名前にせねばならんのう」

 お爺さんは頭をひねります。

「世界中の女を虜にするようなクールな名前が良いのう」

 お婆さんも知恵を絞ります。

「そうじゃ、『グゲゴロス』はどうじゃ?」

 これはお爺さんの発案。

「うんにゃ、センスがない! 『ポコポーン』で決まりじゃ!」

 お婆さんはお爺さんの案に反対します。

 当の本人は目を丸くして、このアホな名付け合戦を見ています。

「ワン太郎!」

「ヒゲ次郎!」

「ゴン三郎!」

「狂四郎!」

「熊五郎!」

「トリケラトプス!」

 そろそろ両人とも疲れてきたようです。既に恐竜の名前が出てきている時点でアウトです。

「そろそろ決めねばのう……」

 お爺さんは肩で息をしています。

「うむ……」

 お婆さんは何やら考え込んでいます。

「そうじゃ、世紀末覇王の名をとってマルクス=アウレリウス=アントニヌス4世でどうじゃ?」

 これはお爺さんの発案。多分アニメ以外に世紀末覇王なるものは存在しません、しないはずです多分。

「うんにゃ、桃から生まれたんじゃ。ザ=ピーチ=ロドリゲスがいい」

 名づけられる本人からすれば悪質な嫌がらせ以外の何者でもありません。

「……いや、いかん。美的センスがない。和の心をもって、桃太郎と名づけよう」

 意外と常識的な名前を出しました、お爺さん。

「……よかろうて」

 大人しくお婆さんが従います。これはメテオが地球に降り注ぐ予兆なのか?

「うむ、これで万事解決」

 お爺さんが満足そうに頷きました。

 これから波乱万丈な人生が待ち受けていようとは誰もわからないのでした。それは、当の桃太郎が一番分かっていませんでした。

 そして、桃太郎はすくすくと成長していき、15歳になりました。

「桃太郎や、鬼が島㈱を倒すのじゃ」

 お爺さんとお婆さんから指令が下ります。

 こうして、鬼が島㈱での鬼退治が始まりました。

こんばんは、Jokerです。


こちらも一部見直しての再投稿です。

お気に入り登録してくださった方、申し訳ありませんでした。


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ