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この作品には 〔ガールズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

どんなに歪んだ愛でも私は貴方を愛しています

作者: 椎名雪華

私の悪い癖


他者の事を自分の事のように考えること。

辛そうな素振りを見せない人の心を勝手に考え踏み込みすぎてしまうところ。

私にとっての愛とは

私が経験した無惨な経験をして欲しくないと思う事。

家族に愛されて欲しいと願う事。

苦しいことなんてこれ以上何も経験して欲しくないと思う事。


幸せになって欲しいと、願う事。




私にとっての愛とはそういう事なのだ。



私の名前は星野茉冬

私には愛する人がいました。

大学の同じサークルの方です。

私には勿体無い程に、素敵な方でした。

私は女です。そして愛する人も女性です。

最初は戸惑いました。

同性同士の恋愛が異常とされる世の中で

私は同性の方を好きになりました。

世間のこと

親のこと

考え出すと、何故私は女性を好きになってしまったのか

悩んで、悩んで。

そんな毎日を過ごして居ました。


とある日


大学から帰る道で、男性と歩く彼女を見つけました。

腕を組み、そのままホテルへと消えていきました。

その姿を見て、私はその場で嘔吐しました

綺麗な彼女がこんなことする訳ない

そんなの許されない

許されない


____許せない


ただ、その行為が気持ち悪いから、だから許せない訳ではありません。



私も、同じだったから



過去に1度、2人の男性から被害を受けました。

小学五年生の時です

まだまだ性教育等行われていない時期

純粋で明るく元気な性格でした。


その男性は大人ではありません。同級生でした。

クラスメイトの2人に騙され、家に入りました。

そこからは思い出したくもありません。

殴られ、押し倒された時

私は死んでしまうのではないかと錯覚しました。

否、死んでしまいたい。と思ったのです。


その後、私は震えながら家を出ました。

頭は回らず何が起きたかすら理解出来ていませんでした。

そんな私を加害者のひとりが追いかけてきて、一言言いました


「好きだったのに、助けられなくてごめん」


その言葉で私は壊れました。

男なんて

男なんて

信用出来ない。

世の中の男性全員がそうでは無いなんて事は分かりきっていたけれど。

男性が信用出来なくなるには充分な事でした


そんな事もあって、彼女の様に援助交際をする女性が許せませんでした

なんでそんな汚いことをするのか

私には到底理解できなくて


ああ、過去にも居ました。

中学生で父親と同じ年齢の男性に初めてを捧げた人が。

理解なんて

出来ませんでした。

今でも理解する事など不可能です


ただ今回だけは

彼女を助けたいと思ったのです




「……桃羽さん」



「え?……あ、茉冬さん。どうしましたか?」



「少し、お時間よろしいでしょうか」



そう言い、大学から少し離れたカフェへ来ました

そこでは本当にただただ普通の会話をしました

レポートが大変だとか

そんな、世間話です

話し始めてから1時間ほど経ったでしょうか。

私は行動に移りました。



「桃羽さん。少し行きたいところがあるんです。来てくれますか?」


彼女は少し迷った後、顔を上げてふわりと微笑んだ


「ええ、勿論」





1歩、また1歩と足を進めると桃羽さんの顔が青く染って行きました。

そんな事に気が付かないフリをして

私と彼女は

先日、彼女が男性と入って行ったホテルに着きました


「茉冬、さん……?ここ……は……?」


「一緒に入ってください」


「…なんでですか?私達、そんな親密な関係ではありませんし、そもそも女同士……」


「そんな親密な関係では無い人に、貴方は抱かれたんですよね。」


私は震える手で撮ったブレブレの写真を彼女に見せつけた。

彼女はその写真を見て諦めたかのように


「分かりました、中でお話しましょう」


と言った。




中に入れば彼女は慣れた手つきで電気を付け、ベットに座った

そして私が隣に座るように指示をした。



「何が目的ですか?大学での名誉を傷つけようって事でしょうか?それなら別に勝手にしてください。大学なんて、別に辞めてもいいんです」



「……が……う」



「……は?」



「違う……ちがう"ッ……!!!」




私は彼女をベットに押し倒し、首に手を当てた



「なんで貴方がそんな事をするのか理解できないッ……理解したい、あなたの事はぜんぶ、ぜんぶ理解したいのにッ!!!なんで汚いことするの、なんで自分から穢れに行くの、どうして、どうして!!!!」




彼女は微笑み、掠れた声でこう言った



「別に、私の意思だから貴方には関係ない話です……。もう、帰ります。関わらないでください」




彼女がそう言った瞬間、私は彼女の首を絞め叫んだ





「私はッ……綺麗な貴方が好きだった!!サークルでも人気者で、そんな貴方に恋をしたのにッ……そんな貴方が穢れているのなんて見たくない汚れているのなんて信じたくない!!!!貴方に苦しんで欲しくない"ッ……!!!!」





「はっ……く……るしんで……なんて"……ない……"」





「嘘ばっかり!!!!嘘吐き嘘吐き嘘吐き!!!私の愛してる貴方はッ……穢れてなんてないのにッ……理解できないッ……!!」





「ッ……あんたになんて"ッ……!!理解されなくていい"……ッ!!」






「ッ……!!!!」








私は、自分の全体重を彼女の首に押し付けた

彼女の顔が歪んでいく中、ただひたすら力を込め続けた

彼女の口がはくはくと動いているのにも

意識が無くなったことにも

全てを無視して

力を込め続けた

許せない

その一心で



私は綺麗な貴方が好きだった

私みたいに穢れて欲しくなかった

これ以上、穢れないで欲しかった

貴方を、愛していたから


私にとっての愛とは

私が経験した無惨な経験をして欲しくないと思う事。

家族に愛されて欲しいと願う事。

苦しいことなんてこれ以上何も経験して欲しくないと思う事。


私の手で、貴方を穢れから解放すること。



私はただ、現実から逃げたかった。

顔と身体だけで男の人から判断される世の中が嫌だった

だからこそそれを利用しようと思った

知らない人からの愛で心を埋めたかった

埋まることの無い穴の空いた心を埋めて欲しかった

ずっと、ずっと埋まらなかったのに


目の前が掠れていく中

目の前の貴方が本気で涙を流しているのを見て

少し、ほんの少しだけ


心の穴が埋まった気がした



けど、もうおそいね



いきができないよ




ほんきであいしてくれていたんだね



しらなかったよ




ありがとう

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