15話
セシルと恋人になってから、一ヶ月が過ぎた。
やっと、学園にも慣れてきたが。もう、一学期も後二ヶ月を切っていた。中間試験が終わり、現在は期末試験に向けて周りは動き出している。私も言わずもがなだが。今日も姉やロバート、レヴィ、リチャード、マーべルの五人の勉強会に参加させてもらっていた。ちなみに、セシルは急用があるとかでいない。
勉強会は私や姉の実家であるセーレイン公爵家のシティハウスにて行われていた。今は数学の課題を教えてもらっている。
「ルーちゃん、ここの公式はね。この参考書にあるのを基に解いてみたらいいわ」
「わかりました、レヴィ先輩」
「数学が終わったら、次は国語ね。頑張りましょう」
レヴィはにっこりと笑いながら、参考書を渡してくれた。意外と彼女は教え上手だ。スパルタながらも、根気強く丁寧に教えてくれている。レヴィは文官科の中では上位の成績らしく、姉とは良きライバル関係にあるとロバートがこっそり教えてくれた。
「ルイゼちゃん、僕も教えるよ」
「……その必要はないわ、ね。ルーちゃん!」
「そうですね」
私は苦笑いしながら、ロバートの申し出を断った。仮にも実の姉の婚約者だ。教えてもらえるのはいいのだが。姉への手前、断った方がベターだろう。そう思って言った。
「……ちぇっ、お近づきになれる良い機会だったのに」
「あんたには、リーゼがいるじゃないの。何だったら教えてあげなさいよ」
「わかったよ」
ロバートは口を尖らせながらも姉の方に行った。そして、また二人はイチャイチャし出す。スルーしながらもレヴィにまた、教えてもらうのだった。
数学の課題が終わったのは、夕方になってからだ。一旦、休憩時間を取る事にした。皆、帰る支度を始め出す。国語は姉に教えてもらう事にする。
「……じゃあね、リーゼ」
「気をつけて帰ってね、バート」
「ああ、リーゼも気をつけて」
ロバートはそう言って、姉の頬に軽くキスをした。レヴィが目を開いて、ジッと見つめている。
「ん、どうした。レヴィ?」
「……ねえ、リック。私にもしてくれる?」
「何を?」
「さっきのを見ていなかったの、もういいわ!」
「え、レヴィ?!」
リチャードにレヴィはそっぽを向いてしまう。リチャードはあからさまに困り顔になってしまった。
「……あーあ、あっちは熱々だし。こっちは痴話喧嘩をし出すし。やってらんないよ」
「……そうですね、マーベル先輩」
「こういうのを市井では、「リア充爆発しろ!」とか言うらしいけど」
マーベルはニヒルに笑った。私は苦笑いするしかない。あーあ、この場にセシルがいたらなあ。そう思いながら、遠い目をした。
日が暮れる前には、ロバート達は帰って行く。姉と私だけが残った。期末試験が終わるまでは、セーレイン公爵邸に滞在する予定だ。約二ヶ月半くらいは別邸には帰れない。
「それはそうと、ルイゼ。課題がまだ残っていたわよね?」
「そうですけど」
「なら、今日は徹夜を覚悟しておいてね」
私は口元が引きつるのがわかった。マジですか、姉上!
泣きたくなりながらも、姉の部屋に行ったのだった。
その後、姉からもスパルタレッスンを受けた。レヴィ以上だったとだけは、言っておく。ヨレヨレになりながらも課題を済ませた時には、もう夜中の一時を過ぎていた。まあ、おかげで国語と数学は一日で終わったが。ツェリがお夜食にと軽食を持って来てくれる。それを食べてから、手早く入浴も済ませた。
寝間着のネグリジェを着たら、ベッドに入った。すぐに眠気はやってくる。
(はあ、疲れたわ)
内心でため息をつく。瞼を閉じたら、トロトロと深い眠りについた。
翌朝、六時頃に目を覚ます。やはり、まだまだ眠い。けど、今日も学園に通わないといけないし。もそもそと起き上がると既にツェリ達が来ていた。
「おはようございます、お嬢様」
「……おはよう」
「急いでください、リーゼロッテ様はもう起きていらっしゃいますよ」
私はそれを聞いて、一気に目が覚めた。急いで身支度を始めたのだった。




