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1話

 私は洋風ファンタジー小説である「静寂の向こう側」に酷似した世界に転生していた。


 それに気がついたのは、私が4歳の頃だ。鏡に映った自分を見てふと違和感を覚える。ふわふわした青銀の髪は背中までの長さまで伸ばしてあるし。ぱっちりとしたアーモンド型の二重に美しい翠《みどり》の瞳。眉や鼻筋もすっきりとしていて、顔の輪郭は丸っこいけど、可愛いとは言えるか。子供ながらに超がつく美少女だと断言できた。

 私はこの超美少女に見覚えがあることに気がつく。そう、私が荒谷瑠華あらたにるかとして生きていた時に愛読していた小説の中、青銀の髪にエメラルドの瞳の美女が登場していた事にだ。 

 彼女は物語の中で悪役令嬢として君臨していた。名前は確か、ルイゼ・セーレインだったか。

 ストーリーとしては、平民出身のヒロインのセイラが聖女として覚醒する所から始まるのだが。彼女はある日に重病を患った母を聖女が持つという神力で救う。強い願いと自身の生命力を引き換えにだが。

 無事に完治した母は、セイラにこう告げた。


『お前は本当は王家の姫。先代の国王陛下のご落胤なのよ』


 それから、彼女を取り巻く環境は一変する。セイラは現国王陛下からの迎えの馬車に乗り、一人で王宮に向かう。陛下と謁見した後、王立フローレンス学園に編入した。

 現国王陛下には息子しかいないので、他国との婚姻による同盟は難しい。だから、セイラに王女教育を施して隣国の皇太子とでも婚姻させたいという思惑があった。

 それをセイラは気づく由もなかったが。彼女は学園に入ると瞬く間に、生徒達から敵視される。中でもルイゼはセイラを毛嫌いして、いじめ抜く。

 そんなセイラを見兼ねて助けたのがフローレンス王国王太子でルイゼの婚約者であるライカ・フローレンス殿下だ。ちなみにルイゼは公爵令嬢である。しかも、父親は臣籍降下した王弟殿下であり、ライカ殿下にとってはいとこに当たるのだが。まあ、そんなこんなでセイラはライカ殿下と少しずつ惹かれ合っていくのだ。

 私はそこまでを思い出して血の気が引く思いがした。な、何でよりにもよってルイゼなの!悪役令嬢だなんて、嫌われキャラもいいところじゃない。

 ……いや、待てよ。ルイゼは将来、超がつく美女に成長する。しかも優秀な才女。背だって高くて、スタイル抜群なのよ?

 だったら、このハイスペックスキルを駆使して頑張ってやろうじゃない!まずは勉強に魔術の鍛錬に。武芸の鍛錬もやるわ!

 もう、脳筋令嬢とか言われても構わなくってよ。私は決意すると鏡の前から離れた。


 あれから、私は心を入れ替えた。我儘放題で傲慢だった私は引っ込み、真面目で勤勉な令嬢に生まれ変われた。まあ、最初は両親や姉からは「頭を打ったのか、もしくは熱でも出たか?」とかなり疑われたが。

 それでも、私は家族にこう言った。 


『父様、母様。姉様も。私は反省しました。そして、決めたのです。これからは真面目にしようって』


 そう言ったら、両親や姉は大層驚いていた。けれど、私は諦めなかった。

 勉学や魔術は勿論、武芸も学びたいと父に頼み込んだ。当初は渋っていたけど。

 私は辛抱強く説得する。半年程して、父は条件付きで承諾してくれた。


『……わかった、ルイゼに武芸の師を付けよう。確か、義父上もとい、母方のお祖父様は元は騎士団長を務めていた。そのお祖父様に武芸を習いなさい。いいか、お祖父様のしごきに一切文句を言うな。それさえ守れたら、後は自由にしたら良い』


 私は両手をあげて、喜んだ。あのお祖父様が師匠になってくれたら、少しは強くなれる。実は「静寂の向こう側」のルイゼは、ライカ殿下と婚約破棄をした後に暗殺されてしまう。

 その悲惨な最期を変えたいのもあった。私は数日後に母の実家であるソアレ侯爵領に預けられたのだった。

 

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