花を焦がす
女の怪物は、花を大切にしていた。
なぜならその女は、人間と触れ合う事ができないから。
友達は花だけだから。
怪物はその世界では、一人ぼっちだった。
他の怪物はいなくて、周りにいるのは人間ばかり。
だから怪物は、花をとても大切にするしかなかった。
傍にいても、遠ざけられないのは花しかなかったから。
人間は違うものを受け入れないから。
動物は、本能で怪物からどおざかってしまうからだめだった。
そんなばけものは、ある日家を留守にした。
狩猟と採取で食べ物を確保するためだ。
怪物はとても強かった。
だから道具がなくても、それらをたった一人で行える点は便利だった。
一週間分のたべものを確保して怪物は帰った。
しかし、家は燃えていた。
誰が燃やしたのかは分からない。
中に怪物がいると思ってなのか、いないと分かっていて嫌がらせなのか。
それも分からない。
ただ、怪物は花の事だけを考えて飛び込んだ。
そして、開いていた窓から花を外に出した。
花は焦げていたが無事だった。
花の命が尽きなかった事に安堵していた。
その時、怪物は「自分には花しかないから、花といたのではなく。花が好きだから花といたのだと気が付いた」
自分は終わってしまうけれど、花の無事を喜べた。その事に怪物は安堵して、燃え尽きていった。
花を焦がした者達は、遠くからその様をみて呟いた。
花なんてものを守るために、燃え盛る家に飛び込むとは理解できない行動だ。
やっぱりあれは怪物だ。
と。