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第一話 入学式

初作品です。

生暖かい目でご覧ください

この物語はアニメに憧れた男子高校生達が自分達の高校生活をまるでアニメ世界かのように演出しながら過ごす話である。




春、それは新生活が始まり、何かと区切りが良い時期でもある。

そして出会いの季節である。


ー4月5日ー 入学式当日


もしこれがアニメなら遅刻遅刻と言いながらパンを咥えた少女とぶつかるラブコメが始まり、HRなんかで「あ、今朝ぶつかった奴!」なんてその女の子が叫んだりするんだろうか。


そんなよくある妄想をしながら歩くのが俺こと田中秀一(しゅういち)16歳である。モノローグもナレーターも存在しないので心の中での自己紹介だ。現実に〇〇院だの財閥の息子だのそんな人間は滅多にいない。俺も至って普通の男の子である。


父親は会社員、母親はパートもしている主婦である。本職が別にあったり裏家業をしていたりそんなことは全くない。現実はとても残酷なまでに平凡だ。


入学式当日に遅刻遅刻となる事もない。普通の親なら当然である。きっちり集合時間30分前には通うことになる学校へ到着した。私立 山之上(やまのうえ)、男子校である。ラブもロマンスもへったくれもない環境だ。


入試の時に見たような記憶がある先生が講堂に行くように促している。配られたパンフレットを見ると2時間程度は拘束される様だ。現代人にスマホを2時間触るなというのは酷な話である。




『%&$’〜事を願っています』

何人目下の来賓の言葉が丁度終わったようだ。昨日の夜は早く寝ろと言われたにも関わらず寝落ちである。多分話す方もそんなに生徒が聞いていないのは薄々勘づいているはずだ。何しろ人前で話すときは聴衆をカボチャだと思えなんてコツもあるのだ。


時計を見ると10時45分。もう終わりが近い。連絡事項を誰かが伝えた後、式は終了した。もしかしたらさっきの来賓は校長だったのかもしれないと思いながら退出する。寝ていたせいか隣のやつと少し話して仲良くなるフラグをへし折ってしまったらしい。塊で教室に向かう集団の後ろになんとなくついていく。


『お前爆睡かましてたな?』

そんな言葉に気がついて振り返る。見ると中学の頃からの友人がそこにいた。彼の名前は林光太郎。どう考えてもモブどまりの名前だよなーと考えていたら自分の名前を思い出す。実にどんぐりの背比べで滑稽である。でもこいつがいれば完全ボッチはないので一安心である。


一応この私立 山之上高校は偏差値62の決して低くはないが飛び抜けて秀才とも言えない高校である。中学校は地元の所へ行っていたので玉石混交、クラスの大半が知ってはいる仲とはならない環境である。それでもクラスを覗けば2,3人くらいは知っている顔がある。そんな進学状況であった。


『橋本は2組らしいぜ、あいつ友達作れるのか?』

どうやら林は俺と同じ1組のようだ。彼の言葉からそう推測する。そもそも俺が寝ていることに気づいてる時点で林は近くに座っていないと成立しない。なら起こせよとは思った。


『なんとかなるんじゃない?まだ学生生活始まったばかりだし』

『でも3人揃えば楽しいじゃん、クラス離れると途端に話す機会減るからな』


そんな会話をしていると教室に到着する。席順は アイウエオ順だった。




『このクラスの担任になる岡本和浩だ。1年間よろしく頼む』

HRが始まった。当然のように次は自己紹介の時間が到来する。どっかのアニメみたいにいきなり奇天烈な募集をかけるような存在はいるのだろうか。いる訳ないわな。



『鈴木壱道です。山田中学から来ました。趣味はゲームとテレビを見ることです』

こいつからは同種の香りがする。テレビで見る物といえばスポーツやニュースなんかが存在するが、もし前者ならそのスポーツ自体を趣味に挙げるし、ニュースを見るのが好きな高校生はちょっと怖い。恐らくアニメ鑑賞と言いづらいのを誤魔化してるのだろう。機会があったら話しかけてみようと思う。


『田中秀一です。川野中学から来ました。趣味は散歩と観光地巡りとかです。よろしくお願いします』

無難に自己紹介を済ます。そんなに注目はされないとは言え多少は緊張するものだ。趣味は、物は言いようというわけだ。(アニメの聖地に)観光地巡りをし(大須を)散歩するだけである。

大須とは別名大須観音といい、愛知県にある秋葉原みたいな存在である。観音には参拝したことがない。


『林光太郎と言います。趣味はテニスで部活も硬式テニス部入ろうと思ってます。一年間よろしく』

コウ(あだ名)も自己紹介を無難に流す。奴は運動大好きマン兼オタクである。俺みたいなアニメ一辺倒というより、部活の休みの日に一緒に大須に行く仲である。

中学生の時、たまたま橋本(前出、2組にいる)と少しアダルティな漫画の話をしていたらこいつが釣れた。急に割り込んできて何事かと思ったらその漫画を全巻そろえていたらしい。そこから急速に仲良くなった。男子の友情は簡単である。


他のクラスメイトの自己紹介をぼんやり聞き流す。どうせ覚えられないし、女子も居ない。本気になれるワケがない。

クラスの役職を振り分ける時に先の鈴木がクラス委員に立候補していた。恐らく奴はニュース大好きな怖い人間なのだろう。



HRが終わると帰る時間まで時間あるとの事でフリータイムが設けられた。俺はコウのところ向かおうとしたが隣の席の誰かに話しかけられた。こいつは所謂コミュ強だなと思いながら会話に参加する。


『田中君だっけ。隣の席だから一応よろしくな』

『そうだよ。えっと、中川君だっけ』

『正解、中川幸人(ゆきと)


こいつは自称 中川幸人らしい。アニメの一話も怒涛の人物紹介で頭が混乱するものである。読んだことのあるライトノベル原作作品なら登場した瞬間推しキタコレってなるがこの作品はオリジナルな作品、もとい人生である。そんな都合よく顔の横に名札みたいなものは浮いてこない。


『俺さ、中学の知り合い高校にいないんだわ。馬鹿な中学出身だし。この高校も記念受験したらなんか受かったんだよね』

『すごいな、そういえばなんか部活とか入るのか?』

『特に考えてないかな、現状帰宅部の予定』


よくある自称コミュ障陰キャの偏見の中に言葉が出ないなんてものがあるがそれは嘘である。俺は無難に会話を回すことはできる。ただ共通項がないのにある程度会話が深くなってくると困るのが欠点である。


そもそも入学式でとりあえず仲良くなった奴とは3ヶ月もすれば挨拶だけになり、その後は気づかないフリにシフトしていく。そんな経験あるよね?こいつの場合は席が隣という事もあるしある程度仲を深めても損にはならない。ここは頑張るときだ。


『聞きそびれたんだけどさ、趣味とかなんかある?』

『まあ、音楽聴いたり、漫画読んだりかな』


ちらりと奴のスマホの画面を覗き見る。見たことがあるキャラがいる。こいつは、もしや同類か?


『俺も漫画とかたまに読むな。ナ○トとかワ○ピとか「まさき」とか』

『!!!』


見つかった(逃走中風)


先頭に正解は置かない。最後にポロッという。これがコツである。王道系を先に挙げ、マニアックなものは略してサラッと流す。

漫画には2種類存在する。世間で認知されている物、外で読むのがちょっと憚られる物、完全にアウトな物である()


相手がどのジャンルの作品を読んでるか探らずに例を挙げると火傷する恐れがある。王道ものに共感された時は自分の趣味に急停車をかける。そしてマニアックに引っかかる時は、


『俺もそれ読んでるわ!』

『だろうな、壁紙で察したわ』


はい友達完成!圧倒的イージー。オタクは絶対に聞き逃さない。アニメやラノベ鑑賞は一人の趣味だが語り合う友人は是非とも欲しい物である。


ちなみに「まさき」は魔界散策記録というな○う原作の(今考えた)作品の頭文字である。最近の作品のタイトルはこ○亀並に長いものも少なくない。そしてそのまま読むとあ、こいつラノベ好きだなとバレてしまう作品もある。バレたからなんだという話ではあるが、なんかバレたくない。そんな物である。


この「まさき」の中にはアダルティーな側面がある。例え読んでいてもこっそり自宅で嗜む作品である。このレベルの作品を列挙するときは高確率で相手が知っている時のみである。そうでない時はS○Oとかを挙げるのがベターである。大抵みんな一度は通る道である。ちなみに俺の彼女はア○ナに似て、ゲフンゲフン。


彼女はいません。いますが次元が違う。可愛さの次元も違うが存在の次元も違う。悲しい事件ですね。


『その子可愛いよな、嫁?』

『まあ一応、お前は誰が好きなの?』

『無難にヒロインかな』

『それでさ〜』


『よーし下校時刻になったから帰っていいぞ、気を付けて帰るように、寄り道はするなよー』


岡本?先生が無粋にもお話の腰を折る。寄り道はするなと言われれば、したくなる。親には仲良い奴ができたから話し込んで遅れたとでも言えばいい。きっと感激してよかったねーで終わりである。


『シュー、俺部活見学に行ってくるわ、また明日な』

『おう、頑張れー』


俺はシューとも呼ばれている。秀一だからシューである。俺も光太郎をコウと呼んでるので同レベである。争いは同じレベル相手でしか起こらないものです。


『今のは誰?』

『ああ、同じ中学の友達の林光太郎って奴。あいつもお仲間みたいな物だから心配しなくてもいいぞ』

『ほーん』

『もし暇ならこの後大須に行かん?』

『乗った!』



  高校生活も楽しく過ごせそうだ



              終
















============================================


『ここで青空写せばアニメみたいになるやろ』

『見たことしかないわwその光景』


これは少し後のアニメ同好会設立後の話である。もちろんアニメみたいに学校に申請したらなぜか教室を割り振られたり、空いてる先生が顧問になってくれたり、財閥の息子が自費で部室を立ててくれたりはしない。ただの友人グループの名前である。


メンバーは

・俺こと        田中秀一

・隣の席だった     中川幸人

・ツッコミ兼テニス部  林光太郎

・まだ名前しか出てない 橋本(のぞみ)

・ボケ兼未登場     佐藤信介


の5人である。彼らが集まってアニメ同好会を名乗り、自分達の高校生生活をまるでアニメかのように過ごしていくのはもう少し後の話である。





















失踪しないように頑張ります

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