あなたと仲良くなりたいから
「コーヒーでも飲んでいかない?」
お酒の飲めない僕が、誰かともうちょっとだけ一緒にいたい時の誘い文句。
「是非!」
「ちょっとだけなら。」
「どこのお店に行こうか?」
「ごめん、ちょっと用事が…。また今度。」
「ちょっと美味しいケーキのあるみせがあってね…。」
色んな人が、色んな反応を見せてくれる。
気の置けない仲間と楽しい会話に花が咲いたり、まだ関係がちゃんと出来ていない部下と気まずい雰囲気になったり、ちょっと気になるあの人と緊張ながらも浮ついた時間を過ごしたり…。
いつも、コーヒー様には色んな人を誘う口実としてお世話になっていたりする。
「いやぁ、本当に話せて楽しかったよ!」
「誘っていただいてありがとうございました。先輩の事、もっと怖い人かと思ってました。」
「あのケーキ美味しかったね!今度はタイ料理でもいこうか!」
「この後、どこか行きます?お時間ありますか?」
意外と自分から誘ってみると、良い反応だったり、その後の関係は良くなったりすることが多かった気がする。自分からは声は掛けられないけど、声を掛けられれば仲良くなりたいということは結構多い。
「あの人と仲良くなりたいけど、こっちから誘うのは勇気がいる。」
そう思っている人は、多いと思う。初めて会う人だって、仲良くなりたいって気持ちを出して、明るく誘って仲良くならなかった人はほとんど記憶にない。
僕自身、以前は積極的な人間ではなかった。
でも、後から僕と仲良くなりたかったという奇特な人もいたという話を聞いて、ああ、あの人とは僕も仲良くなりたかったなと後悔したことが何度かあった。
「相手が恥ずかしくて声を掛けられないのなら、その恥ずかしさを僕が頑張って乗り越えればいい。」
いつしかそう思えるようになった。
恥ずかしさを押し殺して、声を掛けてみる。顔は真っ赤で、口元は強張っている。
そんな恥ずかしい姿を見せても、断られた事は無かった。
今では誰でも思い切って声を掛けられるようになった。それでも、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。心臓はドキドキするし、手は震えるし、顎はがくがくするし、話はかみ合わなかったり。
でも、そんな一生懸命な姿を見せれば、この人と仲良くなりたいって思う人とは上手くいく。最近では、どこかに誘う前に、「もっと仲良くなりたいので」と馬鹿正直な言葉をつけたりもしている。
それもこれも、コーヒー様という強い味方があればこそ。そう、僕には一緒に珈琲を飲みに行くという大義名分があるんだ!下心も真心も全部入った赤心をもって相手にぶつかれば、良い関係が作れていく気がする。
「この後、一緒に珈琲でも飲みに行きませんか?」