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スペシャルティとコモディティ

休みの日の朝、僕は紅茶、家人はコーヒー。



お湯を沸かしながら、コーヒー支度をする。



今日飲みたいだろうコーヒー豆を選び、秤で重さを量る。ミルに豆を入れたら、サーバーにドリッパーを乗せ、ペーパーをセットしたら、器具を温めるためにお湯をかけ、ついでにカップもお湯で温める。お湯を捨てたら、挽いた粉をペーパーにセットして、秤の上に置いて重さをリセットする。タイマーを用意して、温度計で湯温を測る。



今日はエチオピアのナチュラル、浅煎り。酸味が嫌にならない豆で、フラワリーな香りを引き出したいのもあって、あまり苦みが出ないように、でもボディーもしっかり出したいなと思ったので、湯温は90度。まあ、それも思い付きみたいなものなので成功するかどうかはわからないけど。



湯温は丁度90度近辺になったので、ドリップ開始。



まず一投目。20gの豆に3倍の60gのお湯をかけ、それを5回繰り返す。一投目の蒸らし時間は30秒。いわゆる2016年ワールドブリュワーズカップ世界一の粕谷哲さんの「4:6メソッド」という抽出方法。詳しくはユーチューブなどで調べてみるとよくわかるし、粕谷さんの人柄も楽しいのでお勧め。ともかく、いろいろ試したものの、自分の中の基準となる方法が確立せず、抽出方法で迷いに迷っていたから、この粕谷さんの4:6メソッドはわかりやすくぶれないから、そのレシピを基本に豆やシチュエーションごとに少しアレンジすることで、ある程度の自分の納得いく抽出ができると感じる。



ぷっくりと膨らんだドーム状の豆の香りをかぐ。うん、エチオピアらしいとても愛らしい花の香りのような特徴的なアロマが感じられる。二投目、三投目と繰り返す。最後の五投目が落ち切るのが3分かからないくらいだったから、豆の挽き目も丁度良かったと思う。



抽出したコーヒーの色は適正。深い赤茶色で、薄くなりがちな浅煎りの色よりも少し濃いめに出せた。酸味もそれほど全面に出ず、ちょうどいいボディ感に華やかな香りが広がる。



「これは…、スペシャルティな香りがする…。」



そう言うと、普段銘柄にこだわらずガンガンコーヒーを飲む家人がおいしそうにコーヒーを飲んでいる。ちょっと残ったコーヒーを試飲してみたら、思い通りの味になったみたいだった。よしよし、美味しく出来たし、家人も喜んでいるし良かった良かった。そう思いながら、器具を片付ける。



もう一度お湯を沸かす。



マグにテトリーの丸いティーバックを放り込む。沸きたてのお湯をティーバックめがけて高い所からぶつけてやる。高級な紅茶と違って直ぐに真っ黒な紅茶のエキスが染み出してくる。濃い目の紅茶が入り始めたのを満足げに確認したら、フタをして3分蒸らす。キッチンタイマーが鳴ったら、色んなお上品な紅茶の淹れ方にあるように、



「軽く振って、渋くならないようにそっとティーバックを引き上げる」



というお作法を無視して、イギリス人の多くがするようにティースプーンでぎゅっと最後のエキスを一絞り。ちょっと飲んでみるといい濃さになっている。渋さが気にならない程度のミルクを入れれば出来上がり。香り?チョットするけどまあいいってことよ。甘さ?そういうんじゃないんだよ。渋み?がっつり出ているからミルクに合うんだよ。ってな感じでワイルドな庶民の味の出来上がり。



こうやってスペシャルティなコーヒーを繊細に淹れ、庶民的な紅茶を乱暴に淹れた。



コーヒーと紅茶のイメージは逆のようにも思えるけど、そんなところが面白い所でもある気がする。



自分の好きな飲み物を、自分の好きなように淹れて楽しむ。



もうちょっとだけ、そのおいしさを自分好みにするために、コーヒーや紅茶のことを知ってみたり、淹れ方を試してみたりするのも、楽しい時間だったり、気分をリセットする効果がある気がする。世界中のコーヒーの飲み方から、自分に合うものを見つけたり、紅茶をたくさん飲む英国人が普段通りの飲み方というものを教わって飲んでみたりするのは面白い。



おにぎりが一個500円じゃ毎日食べられない。円が安いから一概に言えないが、一斤800円もするパンを欧州の人が見たら呆れた顔で買わないよって言うと思う。



一杯100円ほどの豆のコーヒーは美味しいけど、毎日飲む味ではない気もする。一杯10円ほどの紅茶は、特別な素晴らしい味ではないけれど、毎日でも飽きずに飲める味なのだと思う。



色んなシチュエーションで、色んな味を楽しみたい。



値段の上下だけで味は決まらない。よくスーパーで売っているあのメーカーの茶葉は美味しくないなんて言う人もいるけれど、どこのスーパーでも売っているPGtipsやヨークシャーティーじゃなきゃダメだと言うイギリス人は多いだろう。逆に良い茶葉を変わった匂いがするという人もいる。



かぐわしい香りは時に疲れる。



僕もスペシャルティコーヒー疲れしたこともあったから。



色んなものを色んな方法で楽しむことが、幸せな時間を作り出すのではないかと感じる。

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