お菓子にのせる想い2
私には歳の離れた妹がいる。
生まれた日に病院で抱っこして以降、彼女が4歳になるまで一緒に過ごした。
両親が離婚し、幼い妹は母に、もうすぐ社会人になる私は父に引き取られた。
母は地方に引っ越して数年後に再婚したため、私は妹にもう何年も会っていない。
父の話によると小学3年生になった妹は兄弟が増えて、家事にも育児にも協力する頼もしい存在になっているようだ。
先日、父と妹の面会日があった。
コロナを理由になかなか会わせてもらえない父にとって久しぶりの面会だった。
私は父に、妹に渡すためのお菓子を持って行ってもらった。
何年も会っていないから好みが変わっているかもしれないと思いながら、妹が幼い頃好きだったこし餡たっぷりの和菓子を選んだ。
何にするか散々迷った結果、お菓子の種類は重要ではないと開き直ったのだ。
両親が離婚して少し経った頃、久しぶりに父に会った妹は何度も父に確認したらしい。
父方の祖父母や私が自分のことを忘れていないか、ちゃんと今でも覚えているか、と。
だから、ちゃんと今でも覚えていると妹に伝えたかったのだ。
もしかしたら今の家庭で寂しい思いをしている時もあるかもしれないけれど、遠くから想っている人間が一人でもいると伝えたかった。
私の想いをのせたお菓子は、父の手を介して妹に届けられた。
後日父に感想を聞いたら、妹はこう言っていたらしい。
「あんこじゃなくてチョコが良かったな」と。
作品のオチである彼女の感想について、もちろんこの部分も実話です。
私はこれを聞いた時に、ほっとしました。
父や私を気遣った感想ではなく、小学生らしい素直な反応だと思ったからです。
以前一緒に暮らしていた時、彼女は大人同士の間に不穏な空気が流れると、それを壊そうとワザとおちゃらけていました。
まだ喋ることもままならないほど幼い彼女が大人に忖度する姿を見る度、私は切なくなりました。
「チョコが良かった」と正直に言える彼女はきっと今、田舎でのびのびと暮らしているでしょう。




