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探偵達が適当に頑張る話

作者: ヤマネコ

男子高校生 アキラ

女子高生生 ユズハ


あなた達は、どこにでもいる高校生の2人です。趣味で探偵ごっこをしており、放課後には色々な噂話や事件のことを調べては、自分達の見解を述べて楽しんでいます。部活名は「探偵部」。言葉通り、探偵っぽいことをする部活です。普段の部活内容は、インターネットや新聞に書かれている記事に目を通したりして話をします。時々、何かを依頼してくる人達もいます。例えば、何かを落としたから探してほしいとか、誰かのことが気になるから調べてほしいとかそういう感じです。


探偵部は、学校では信頼されています。事件解決には色々あるのですが、なんやかんや依頼主たちを満足させているからか、よく2人は話しかけられます。そんな日常を過ごしていると、ある生徒から相談があると部室内に入ってきました。


相談してきた生徒の名は佐藤。男子だ。


相談内容は家出した妹の捜索をしてほしいという内容。妹は1つ年下のようだ。妹のお菓子を勝手に食べてしまい、それに激怒した妹と口論していたが、妹は「もういい!」と強く言い放ってから何やら荷物を持って家を出て行ったらしい。ちなみに、相談主の佐藤、佐藤妹、佐藤父、佐藤母の4人暮らしのようだ。父親は放っておけという姿勢を保っており、母親は早く帰ってこないかと心配しています。佐藤と妹は別の学校に通っているのだが、妹が家出してから学校に来ていないらしい。


妹が家を出てから3日経っており、その間家族に連絡をしていないが、SNSの妹のアカウントが活動をしているようなので、どこかに居候しているのではないかと佐藤は言う。


アキラとユズハは佐藤にスマホの画面を見せてもらう。妹のアカウントの活動を見ると、かなり活発に書き込みをしているようだ。何を食べた、どこに行った、その日こんなことがあったと書き込まれている。必ず一日に一度は何かを書き込んでいるようだ。


ユズハはあることに気付く


いちいち何があったかを書き込む人が、家出をした内容に関する書き込みがない。毎日一度は書き込むのだから、家出した内容に関連する書き込みがないのは変だなと思った。遡れば、父が、母が、兄についてどんなに小さな内容でも書き込みが沢山あるが、家出をしてから家族に関する書き込みがない。佐藤に聞くと、妹は友達が多く、自分の意見を積極的に言う性格らしいので、愚痴を書き込んでもおかしくないのに、それがない。


アキラとユズハは依頼を受けて、連絡先を交換して佐藤を部室から退出させた。妹の名前は玲奈というらしい。


アキラは、玲奈のアカウントを調べると、お勧めのアカウントが表示される。お勧めのアカウントから、玲奈に関する書き込みがないかを確認する間、ユズハは玲奈の通っている学校に聞き込みしに行くという流れになった。



アキラは、玲奈の周辺アカウントを調べると、ある書き込みに目が止まる


「新規様1名ご案内♪」


添付された画像には、玲奈の姿があった。笑顔で、背景には山や池が映っている。その背景をうまいこと絞って検索をかけると、旅館の名前が出てきた


旅館の名前は、極楽浄土


電車やバスを乗り継いだ山の奥にある小さな旅館のようだ。その旅館は日頃のストレスを解消することができる。具体的な方法は公開されていないが、評価はとても高いようだ。その旅館を調べると、何百年も前から存在している旅館で、細々と経営しているようだ。レビューは少ないが、全て★5となっている。1つも★5以外のものがない。ここにいるのではないかとアキラは思い、旅館に向かう準備を始めた







同時刻、ユズハは玲奈の通っている学校に到着。校門から出てくる生徒に片っ端から玲奈のことを聞きこむと、何人かにヒットした


曰く、とても優しい。宿題を忘れたときとか、積極的に助けてくれる

曰く、成績も運動も上の下で、交友関係は広く浅い方

曰く、家族のことを楽しそうに良く話す

曰く、時々とても眠そうにしている。立ったまま寝ていることもあるほど

曰く、いつも肌を隠している。本人は肌が弱いと言っていた

曰く、体育の授業は休みになりがち。特に水泳や走りが多いようなものを休んでいる

曰く、授業中指名されても気付かないことが多い。何度も大声で呼ばれてやっと気付く


ユズハは生徒達にお礼を言ってからアキラに連絡すると、どうやらアキラも何か情報を得たようだ。情報交換して、さっそく明日の朝から極楽旅館に行ってみようということになった。









朝早くから電車やバスを乗り継ぎ、昼の3時に旅館についた。こじんまりとしているが、雰囲気は落ち着いており、不思議とここにいたくなる。館内に入り、受付を済ませる。捜索ついでに旅館も楽しもうということで、泊る準備も済ませている。


部屋に案内される。ちなみに一部屋だ。アキラとユズハは恋愛関係はないし、お互い気にしていないので、問題はない。異性として興味は無いが、異性の気になることは経験することがある。そしていくつか濃密な物も経験しているが、それでも相手を異性としてではなく、相棒や友達としてお互いを見ている。


部屋は和室で、収納スペースには布団類が置かれている。部屋の中心には四角い机が置いてあり、その上には、和菓子と電子ポット、お茶の粉末が置いてある。外に目を向けると、大きな池がある。池には、鯉が何匹か泳いでおり、旅館の人が餌を水面に入れると、あちこちで泳いでいた鯉が一か所にやって来た。池の周りにいた人達は、鯉が餌を食べている姿を見て談笑している。


エンジン音や、人の騒がしさを全く感じず、とても静かだ。一息ついてから、部屋を出て、すれ違う人達に玲奈について聞きこむ。何人か身に覚えがあるようで話してくれた。家出をした日から来ている。しかも時間的に、家出してすぐに着いているようだ。ここに来るのに、アキラとユズハは10時間以上掛かったのに、1時間もしない内に着いている。自分達の掛かった時間と玲奈の掛かった時間が違うことに疑問を覚えた。よく似た別人のことを話しているのではないかと思い、もう一度玲奈の性格や容姿、写真を見せて説明する。しかし、同じ説明を受けた。


礼を言って違う人に聞きこむも、最初に聞いた人と同じように返事が返ってくる。聞き込みを続けると、玲奈を見つけた。玲奈は外で花壇の近くに腰を落として、花を見つめているようだ。沢山の花が咲いており、手入れもしっかりされている。奥には花が咲いていないところがある。花壇の半分以上が花が植えられていない。


2人は玲奈に近づき、声をかける


返事がない


聞こえていないのかと思い、もう一度声を掛けようとすると、突然肩をとても強い力で引っ張られる。2人が後ろを振り返ると、そこには大勢の人がいた。老若男女、ざっと数えるだけでも50人はいる。全員上空を見上げると、膝を地につけた。祈るように手を組んで、目を閉じて何かを呟いている。日本語ではない


その言葉は聞き慣れない。英語でもない、中国語でもない、フランス語でもない、ドイツ語でもない、スペイン語でもない、イタリア語でもない。何かを全員がブツブツと唱えると、祈りを終えたのか、全員が立ち上がり、アキラとユズハを見つめる。


あの子は今大事な所だから邪魔しないでくれ


全員が同時にそう言った


何か危ない空気を感じ取ったアキラとユズハはその場から離れる。花壇の近くには遮蔽物がないため、どこから出てきたのか気になるが、それよりも気味の悪さの方が大きかった。ここにいるのは分かったのだから、焦らず夜に話しかければいいかと考えた2人は、旅館を満喫する。食事は魚料理のようで、お刺身や焼き魚などが中心だった。魚だけでなく、汁物も美味しく、とても極楽であった。




この時間なら話しかけても平気かなと判断した2人は、玲奈を探す。探すが見つからない。ちなみに2人は玲奈を連れ戻そうとは考えていない。依頼主の佐藤から頼まれたのは、玲奈の所在地だ。連れ戻せとは言われていないので、無理に連れ戻す必要はない。


先程来た花壇に向かうと、そこは幻想的な光景が広がっていた。地面には土しかなかったのに、綺麗で大きな花が沢山咲いている。高さ3mはあるのではないだろうか。しかも、ここだけ、真っ暗ではなく、昼のように明るく、とてもいい香りがする。その香りをもっと嗅ぎたい、そう思った2人は花の中心に向かおうとするが、目の前に大きな葉っぱが広がり、進むことが出来ない。どうにかして先に行きたいと強く思う。


無理やり突破しようとすると、葉っぱが大きく振り上がり、ビンタされるように全身を叩きつけられる。友達で軽く突くようなものではなく、全速力のトラックに吹き飛ばされるように、2人の身体は宙に浮いた。地面に叩きつけられると思い、目を閉じて痛みに備えるが、痛みはやってこない。目を開けると、葉っぱが自分達の背中の下にあった。クッションの役目をしてくれたようだ。先程まで、何が何でも花の中心に向かおうと思っていたが、その気持ちが嘘のように沈んでいる。もう一度近づこうとすると、葉っぱがユラユラと目の前で動いている。


これは無理そうだ


2人は玲奈に声を掛けようとした。近づくのが無理なら、遠くから声を掛けよう。声をかけようとすると、葉っぱが先程と同じように、バッティングフォームをしていた。声をかけるのもNGらしい。溜息をついたアキラがこの場を離れて部屋に戻る。ユズハもアキラを追いかけた。


何が何だか分からない


これまでも不可思議な状況に遭遇してきた2人だが、あることを知っている。踏み込み過ぎると、自分達が壊れる。これだけは間違いないことを知っている。


打たれた場所が青く変色している。あれは温情だったのかもしれない。どうしたものかと思うと、ここの温泉は、とても気持ちいいらしいということを思い出した。2人は温泉を満喫すると、傷が癒えていた。そしてとても気持ちが高まっている。異常なほどに頭が沸騰している感じ、浴衣の擦れで肌が敏感になっているのに気が付く。


部屋に戻ると、布団が敷かれている。枕元にはティッシュ箱と何か小さな袋が置かれていた。数字が書いてある。しかもかなり薄い。


アキラとユズハは荒い息をしている。2人は顔を見合わせると、電気を消して、服をゆっくりと脱いでいった。







アキラは目を覚ます。ユズハの姿がない。机の上にはメモが置かれている。どうやら朝風呂に行ったようだ。自分も風呂場に行って、ベタベタしているところを、下半身を中心に洗う。水で洗い流すとき、敏感な所に当たると、とても気持ちよくなる。


昨日の夜のような気持ちにならないように、すぐに風呂場から出て、部屋に戻ると、ユズハがいた。昨日のようにならないように、すぐに荷物を整えて、旅館を出て行くことにした。佐藤に玲奈がいたことを報告する。返信がない。今日は学校がない日だし、まだ寝ているのだろう。


花壇を見ると、そこには誰もいない。しかし2人はあることに気付く


あんなところに花が咲いていたのか?


覚えている限りでは咲いていなかった所に、一本花が咲いているが見間違えだろうか?


まぁいいか


2人は旅館を後にした











学校に着いた。2人は佐藤に報告をしに行く。メールもしたのだが、返信が返ってこない。もしかしたらスマホが壊れて、連絡が届いていないかもしれないため、直接報告をすることにした。


なにやら騒がしい。あちこちで佐藤、家が、大変、どうするんだろうねと声が聞こえる


結局佐藤は来なかった



2人は部室で新聞紙を見ていると、ある記事に目が止まる。そこには依頼した佐藤の名前と写真があり、何者かに殺害されたというものだ。死因は出血死のようだ。事件が起きた日が、依頼した日よりも、もっと前であることに目が止まる。


アキラは部室のPCから玲奈の書き込みを確認する。1つ新しい書き込みがあった。そこにはこう書かれている


「とても素敵な場所でした。この世の何もかもがどうでも良いと思えるくらいに穏やかな時間を過ごすことが出来ました。もし機会があれば、家族全員で過ごしたいな」


今書き込まれたものだ。その書き込みの返信欄に1つ書き込みが表示される


「その願いを叶えましょう。おいでよオイデ♪」


書き込まれた時間は、アキラとユズハが旅館に向かう前の時間だ


今書かれた書き込みに過去から返信があった。ユズハは玲奈の学校に、アキラは超特急で旅館に向かってみる。




ユズハは玲奈の通っている学校に向かい、この前聞き込みをした生徒達に話しかける。しかし、誰も玲奈のことを覚えていない。玲奈の写真や、玲奈の書き込みに返信しているのを見せても、自分達が何故こんな書き込みをしたのか覚えていないようだ。その子達から、このアカウントを見つけるようにしてもらったが、見つからない。IDを何度も確認して検索しても、アカウントは見つからないと表示される。ユズハはすぐに生徒達に時間を取らせたことを謝り、その場から去った







アキラは旅館に向かう。バスを下りて、後は歩いて向かうだけだ。来た道をそのまま通る


しかし、着かない


歩き続けるが、旅館の姿が見えない。もしやと思い、ポケットティッシュを取り出し、定間隔で、置いてみると、あることに気付く


同じ道を歩き続けている


ずっと同じ道を歩き続けている


来た方向とは反対方向に歩くと、バス停のある所に戻れた


アキラはお手上げだという感じで両手を挙げて溜息をつく。バスに乗って家に帰った




































彼らは依頼に成功したと言えるのでしょうか?

今回は成功でいいんじゃないの?

まぁこれから時間があるんだし、様子をみれば良いのでは?

そうだね。じゃあ次の依頼を……

これとかどう?

あぁいいね

じゃあ依頼してきてね

行ってきまーす!


依頼を募集するぞ(^^♪

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