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第5話 悪い王妃と良い王妃


アーロンとエイベルが朝食を食べる為に部屋に入ると、テーブルには5人の人物がすでに席に付いていた。


「陛下遅いではないですか!私を待たせすぎではないのですか!」

「父上遅すぎます!早く席に付いてください。」


いきなり声をかけてきたのは第一王妃と皇子である。

王に対しての話し方とは思えない口振りでしかも席に座ったまま王の顔も見ていない。



第一王妃(ヒルダ)


アーロンの妻で貿易国家(ノルトライン)の王女、内陸部にあるアーロンの国エアフルトは豊な穀倉地帯で恵まれているが全く海に面していないので塩の入手が困難、人にとって塩は必要な資源である。

そこに目を付けたノルトラインが政略結婚の話を持ち掛けてきた。塩の安定供給を餌に正妻の座に。塩不足は国民の健康にも影響がでる問題のため受け入れる。

それ以来、第一王妃が城内を王のごとく振る舞っている。王子(ダーメン)もそんな王妃の影響でわがまま放題の馬鹿皇子に育ちアーロンを軽んじて馬鹿にしている。


「陛下、お体の調子でも崩されましたか?遅れて来られるのは珍しい事ですが。医務官でもお呼びいたしましょうか?」


昨夜の事を聞いて知っているのか、アーロンの事を気にかけて第二王妃も声をかけてきた。


「父上!ご病気なのですか?大丈夫ですか?」

「ちちうえ~だいじょうぶ~?あたちがなおします~!」


続けて二人の王女達もアーロンを心配して声をかけてくる。



第二王妃(フローラ)


国境を守っているビート領の領主で辺境伯(アドルフ)の娘。前王の頃からの忠臣でアーロンも信頼している。いつも、アーロンと国の事を心配してくれている。父アドルフとも定期的に連絡をとっているようで、第一王妃を警戒している。



二人の王女(フレイア&アンジー)


姉フレイアはとても賢い女の子である。母の立場を理解して行動する程で常に物事の先を読んで行動をしている。妹をいつも気にかけ守ってあげている。男に生まれていれば、次期国王になりえる資質を備えている。


妹アンジーはとても元気でお転婆で父アーロンの事が大好きだ。いつもアーロンが話して聞かせる英雄話に影響を受け冒険者になるのが夢である。後に二度目の転生をする父アーロンの冒険者仲間になりパーティーを組む事になるが、まだ先の話である。


アンジーがアーロンの病気を自分が治すと言ってアーロンの前まで歩いて来ようとしている、その手には何か握っているようだ。


「はい!ちちうえ~おくしゅりです。おくちをあけてください!」


アンジーの手には大好物のキャンディーが握られていた。自分の大好物をアーロンにあげて喜んでもらおうとしていた。その姿を見てアーロンはかわいくて仕方なかった。

その時、奥の席から怒鳴り声が聞こえてきた。


「席に座りなさい!無作法ですよ!第二王妃は子供の躾もできないのですか?まぁ、辺境の領主の娘ならその程度の教養しか身につけてないのかもしれませんわね。」

「山ざるの子は山ざるということですわね。アハハハハハ!」


物凄く嫌味なことを第一王妃が言う。

その後ろでは王子がニタニタ笑みを浮かべてこちらを見てきている。

ものすごく気持ちの悪い母子だ。


アーロンにとっては自分の嫁と息子だが一郎の人格が融合したことによって、既に他人のように思えてきているので余計に嫌悪感が強くなる。

その時点でアーロン格付は道端の石ころ並みになってしまった。


その声のせいで今まで元気だったアンジーが今にも泣きそうになっていた。

アーロンが第一王妃に文句を言おうとした時、姉のフレイアがアンジーを後ろから抱きしめ優しく慰め、そして少し落ち着いたアンジーを連れ席に戻っていった。その後ろ姿を見てアーロンが声をかける。


「アンジーちょっと待ってくれるかな?」


アーロンがアンジーの傍まで歩いて行き膝をついて目線を近づけてアンジーに微笑みかけて言った。


「アンジー心配してくれてありがとうね。アンジーは優しい子だね父はとても嬉しいぞ。父は元気だから心配しなくて大丈夫だよ。でも、念のためにアンジーのお薬を父にくれないかな?そうすれば英雄にだってなれそうだからね。」


落ち込んでいたアンジーだが、アーロン言葉と笑顔で元気を取り戻し元気いっぱいになって、その手に持っていたキャンディーをアーロンの口に放り込んだ。


「ちちうえ、どうぞです。 えいゆうさんです!」


娘、可愛すぎなんですけど!


アーロンの記憶の中でもフローラ達母娘を大事に思っていたが、アンジーの可愛さとフレイアの妹えの愛情やフローラのアーロンに対する心遣いが一郎にとても嬉しい事だったので幸せな気持ちになった。


その光景を見ていた二人の王妃は驚いて見ていた。、今までに見たことのない王の態度に一方は幸福と少しの不安を感じ、もう片方は怒りと嫉妬を感じながら。


その後はゆっくりと食事の時間が過ぎていった。


食事のメニューは流石というべきか現代知識チートの恩恵を受けたメニューが出てきた。

朝からハンバーグにフライドポテトそしてマヨネーズたっぷりのポテトサラダにシーザーサラダ、パンプキンスープ、最後にはアイスクリームやらプリンやらフレンチトーストまであった。

融合前のアーロンさん有能!まさに賢王ですね。


馬鹿王子ダーメンの食べ方が汚すぎてビックリしたアーロンは、益々二人に対しての格付けを下げることになる。

馬鹿王子ダーメンのテーブルは食べかすだらけで、ベタベタになっているし足元にも食べかすを落としている。一体どんな食べ方をすればああなるのか理解ができない。マジで謎?


しっかりと食事をとったアーロンはエイベル共に仕事を片付けるために執務室に向かっていった。

第一王妃や第二王妃達もそれぞれの私室に戻っていった。


第一王妃ヒルダはブツブツと何やらつぶやきながら廊下を歩いて、その後ろを馬鹿王子がついていく。















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