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第4話 魂の融合

 一郎【アーロン】が眠り込んでから数時間後のことだ。

暗かった部屋に朝陽が射し込み、小鳥の鳴き声が聞こえ始めた頃、一郎【アーロン】は目を覚ました。


「なんだ朝か?」


アーロン【一郎】は明るくなってハッキリと見えるようになった部屋の中を観察している。

アーロン【一郎】の寝室は王の寝室というほど豪華絢爛という感じには程遠い部屋であったが、白を基調とした上品でシックな家具などで奇麗に統一されている。

王の寝室といえば、高価な家具や飾り、高級絨毯など贅沢三昧のイメージだが違ったようだ。

この部屋を見てアーロン【一郎】は満足そうに笑みを浮かべている。


昨晩、アーロンと一郎の魂の融合とも言える記憶の上書きが起こり一つになることで前世の一郎と現世のアーロンに共通項が沢山ある事を知ったからである。

この部屋の雰囲気も一郎好みで落ち着くのだ。



アーロンは朝起きてかなりの知識が増えていることに気付く。


①この(エアフルト)の王子として転生していた事


②両親は既に亡くなっている事


③両親の死後王位を継ぎ並みならぬ努力の結果国民に賢王と称えられ信頼されている。


④アーロンは魔法が使えないし力も弱く異世界特典を貰えていないようだ。ただ、何故か現代日本の知識があったようで知識チートに近い事にはなっていた。蒸気機関や印刷技術・手押しポンプなど様々な物をつくりあげていた。もちろん、一郎の好物のマヨネーズも作っている。


⑤結婚はしているが不利な政略結婚で他国の王女(第一王妃)と結婚していて二人の間に皇子がいる事

(第一王妃は強欲で有利な立場を利用して女王のように振る舞っていて、その影響で皇子までも我儘し放題でアーロンを馬鹿にしている。)


⑥第二王妃もいる。第二王妃は辺境伯の娘で信頼できる存在なうえ物凄く美人である、もちろん二人の間にも子供がいて二人のお姫様だ。


まだまだあるがきりがない。頭の中を整理していると寝室のドアがのっくされた。


『コンコン!』


「陛下、起きておられますか?」

「失礼いたします!」


メイドが数名入ってきた。


「これから、朝の支度をさせていただきます。」


そう言った後、メイドたちに服を脱がされ体の隅々まできれいに整えられ服を着せられた。

現代人の記憶の有るアーロンには恥ずかしいばかりであったので記憶を抹消することにする。


「これ、慣れるのかな?」

「陛下何かおっしゃいましたか?」


アーロンのふいに出た言葉にメイドが反応した。


「いや、気にするな!」


記憶の融合のおかげか王らしいしゃべり方は何とかできるようだ。


アーロンの支度が整うのと同時に部屋をノックされたのでメイドがドアを開けると昨晩の男が入ってきてアーロンに挨拶をする。


「陛下、おはようございます。昨晩はゆっくりお休みいただけたでしょうか。」

「ありがとうエイベル!昨晩は迷惑をかけたな!」


アーロンはこの男の事をもう知っている。




国王補佐(エイベル)


王立学園時代からの親友である。

中級貴族(子爵の次男)であるが幼少期から才能に恵まれていて、政治・経済・兵法なんでもできた。

アーロンが王になる時に国王補佐として起用したが、当時中級貴族で、しかも次男の起用とあって大問題になったが、エイベルが才能を示す事で周りを納得させ黙らせた。

今では数多の功績をあげ侯爵にまでのしあがっている。

アーロンが素の顔を見せる事のできる数少ない人物の一人である。

階級的には宰相と同格であるがアーロンからの信頼度は群を抜いているので発言力は別格である。



「陛下お気になさる必要はありません。お元気そうで何よりです。」


エイベルが笑みを浮かべながらアーロンにそう答えた。


すると周りにいたメイドの数人から『ズキューン』と効果音が聞こえてきた気がした。

アーロンはメイドの顔を確認すると、数人のメイドの目がハートマークになってエイベルに釘付けであった。

どうやらあの効果音はメイド達から出た音のようだ。

この男、優秀でありながら超絶イケメンだ。


エイベルが昨晩、明日は朝から仕事だと言っていたので仕事を持ってきたのだろうとアーロンは思っている。

まぁ仕事については何時ものことなので問題は何もない。


「で、仕事を持ってきたのかエイベル!」

「はい!そうなのですが、まずは朝食にいたしましょうか陛下」

「そうだな、移動するぞエイベルついてまいれ!」


アーロンはエイベルを連れて朝食をとりに部屋を出て行った。














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