第34話 報告
エイベルが、アーロンの家に初めて来た日から3年が経ち4歳になったアーロンはシルフィーやドーラと魔法の練習を続けていた元々魔法操作が出来ていたアーロンはヘスティアから付与された4属性すべて問題なく使えるようになっていた。
「やっと4属性すべて操れるようになったな、結構大変だったけど何とかヘスティアから新しいスキルを貰う前に使えるようになってよかった。」
「そういえば次の5歳の誕生日だったわね!」
「死の女神が又地上に降りて来るのじゃな」
アーロンはこの3年間で4属性の魔法だけでなく魔力クローンの改良もしていた。
今までのクローンは、莫大な魔力を使い無理やり造り出していたのでとても危険な物だったが、4属性を使いこなすことで少量の魔力でクローンを造り出すことに成功していた。
今のクローンは暴走したり傷ついても爆発して世界の1/4を破壊することが無くなっていた。
このクローンが完成したことで、アーロンがずっと前から考えていた事を行動に移す時が来た。
「シルフィー!俺フローラ達様子を見に行こうと思っているんだけど」
この3年間フローラ達の状況はエイベル経由で聞いていたが安全なクローンを造る事が出来るようになったのでそのクローンを王都に残してビート領に行こうとかんがえていたのだ。
その計画をシルフィーに話した。
「別にいいけど、4歳のあんたが会いに行って大丈夫なの?エイベルに、フローラ達には内緒にするように言ってたわよね。」
「いや、正体を明かすつもりは無いんだよ!一度フローラや娘たちを見てみたくてね。・・・・」
アーロンは、自分が死んで転生した事を告げるつもりは無い。
エイベルは暗殺される危険性があったのと、フローラ達の情報を早く知りたかったので本性を明かしたが、それ以外の者には隠すつもりだ。
王で在ったアーロンは4年前に死んでいる。
その現実を無かった事にするつもりは無い。
アーロンはあくまでも陰からこの国とフローラ達を守っていこうとしていた。
だから王様や貴族などは、何かとしがらみが多く自由に動きづらいので平民で冒険者になるのが一番だと考えていた。
しかも前世では魔法も剣術も全く才能がなく英雄に憧れるだけだったのが今では魔法が使い放題になっているのでアーロンは楽しくて仕方なかった。
今回のビート領に行くのも、出来れば冒険者の様な旅をしながら行くつもりである。
「ふぅ~ん。解ったわ!行きましょう。」
「わらわも付いて行くのじゃ。」
「ありがと」
シルフィーとドーラに計画を話した日の夜、アーロンは執務室に来ていた。
今回はクローンではなく4歳児のアーロンで来ている。
部屋に入るといつものようにエイベルが1人仕事をしていた。
初めてここでエイベルにあった時と比べるとかなり元気そうに見える。
「エイベル!来たよ。」
「あぁアーロンですか。いらっしゃい!」
何時もと同じやり取りをしてアーロンが椅子の上に座る。
最近、執務室に子供用の椅子が置かれるようになった。
エイベルの側近達は疑問に思っているようだが王様であるエイベルに質問してくる者はひとりもいないようだ。
「明日から少しの間ビート領に行ってこようと思ってるんだ」
「そうですか。気を付けて行ってきてくださいね。」
エイベルは全く驚いていない。
「エイベル驚いてないの?」
「ハイ!聞いていましたからね。」
エイベルはアーロンがビート領に行くことを知っていたようだ。
「聞いたって誰にだよ。」
「精霊達にですよ。」
エイベルにアーロンがビート領に行こうとしている事を教えていたのは、シルフィーの眷属で風の精霊達だ。
今、エイベルには風の精霊が何人も護衛についている。
精霊はほとんどが上級精霊でかなり強い、この3年間でエイベルは5回程暗殺されそうになっているが風の上級精霊達が守っていた。
精霊眼を備えたエイベルは風の精霊達の庇護下にあるので命の危険が無くなっていた。
しかし、エイベルの王としての権力は弱くなり、ヒルダ達の財力やノルトラインからの圧力などが強くなてきているのでエイベルが王の座から追いやられる日も遠くないかもしれない。
「そうだ!昨日精霊達に聞いてから用意してたものがあるんです。これを持って行ってくださいね」
エイベルに渡されたものは身分証明書であった。
ビート領までにいくつもの街を通るので問題なく街に入れるように身分証明書を発行してくれていた。
「シルフィー様が要れば簡単に街の中には入れるでしょうが、いつもコソコソ街に入るのも大変ですから、これを使って門からちゃんと街に入ってくださいね。なるべく問題は起こさないでくださいよ!後、馬車も用意してますので帰るときにでも持って行ってくださいね。アーロンは、冒険者気分で旅をしようとしているでしょう!」
アーロンが密かに考えていた事をエイベルが言い当てた。
「それも精霊に聞いたのか?」
「いいえ!アーロンの考えている事は簡単に分かりますよ!せっかく魔法が使えるようになったのにあなたが大人しくしているはずがありませんからね。」
エイベルはアーロンの考えなどすべてお見通しのようだ。
「・・・・・・。そうだ!俺との連絡用に魔力クローンをエイベルに預けようと思うんだけど。」
「アーロンの姿をしたクローンなんて、連れて歩く事が出来ないので要らないですよ。」
「ふっ、俺は日々成長しているんだぞ!新しいクローンはどんな物でも大丈夫だぞ!凄いだろ!小鳥とかどうだ?」
アーロンが自分の魔法の成長をエイベルに自慢して、胸を張ってドヤ顔をしていみせる。
「凄いですね!じゃ~小鳥でお願いします。」
アーロンはエイベルの目の前で翡翠色の小鳥を造り出し、感覚共有をして問題が無いか確認するとエイベルに向かってその小鳥を飛ばした。
「これで俺との連絡が出来るようになったから、何かあったら連絡してくれよ。」
「・・・。まるで生命を創造してるみたいですね。」
「ただの魔法だよ!おおげさだな~」
知らない人が見れば目の前で4歳の少年が手から小鳥を創り上げたように見えるので。
まるで神様に見えるだろうなとエイベルは思っていた。
「気を付けて行ってきてくださいね。」
「ありがとう!行ってくるよ。」
アーロンはエイベルとの話を終えた後エイベルに用意して貰った馬車を受け取って家に帰っていく。




