第31話 親友との再会
アーロンが扉から顔をひょこっと出してエイベルの方を見る。
「・・・アーロン!?いやそんなはずない!」
エイベルが16歳ぐらいのアーロンを見てビックリして思わずアーロンの名前を口にする。
「エイベル、今から信じられないような話をするから聞いて貰ってもいいかな?いきなりでビックリしていると思うけど、最後まで聞いてくれ。」
アーロンはなるべくエイベルに警戒されないように優しく話しかける。
エイベルはまだ警戒が強いようだ。
今まで何度も命を狙われているから仕方ないと思う。
「変な事を言うけど、俺はアーロンなんだよ!転生して生き返ったんだ!」
「何を馬鹿な事を!アーロンは1年前に亡くなっている。アーロンが生きているわけがない!」
アーロンの言葉を全く信用しないエイベルが感情をぶつけるように否定してくる。
アーロンの姿で自分を騙そうとしているに違いないと思い更に警戒心が強くなる。
「アーロンの振りをして俺を騙そうとしても無理だ!アーロンは死んだんだ。親友の振りをした事を後悔させてやる。」
エイベルのが右手を前に突き出すと着けていた指輪から炎が出てアーロンに向かって飛んできた。しかし、シルフィーの障壁であっさりはじかれる。
「・・・・くそ!魔法障壁ですか。」
「エイベル話を聞いてくれ!本当にアーロンだ!」
「まだ、言うのですか!」
エイベルは話を聞こうとしない。
アーロンはどうすればエイベルが信じてくれるか考えて、そして自分が死ぬ直前の話をし出した。
「そうだ!1年前の俺が死ぬ直前、娘のアンジーとカミラの3人で調理場から特大バームクーヘンを盗み出したんだ。後からお前も合流したから覚えているだろ!お前が口止めしてくれたおかげでヒルダ達に知られずにすんで助かったよ。」
「・・・!それは・・」
エイベルが動かなくなった。
あの件に関わったすべての物に内密にするように厳命しているので今もヒルダ達は知らないし。
目の前の男が知っているはずがない情報である。
「まさか、・・いや、そんな事・・。」
続けざまにアーロンは学園時代の話や。
カミラでも知らないアーロンと二人だけの思い出を話して聞かせた。
その話を聞いたエイベルの瞳から涙が流れ落ちた。
「本当に、アーロンなのですね!最後の話は私とアーロンしか知らない事です。」
やっとアーロンの言っていることを信じた様で、エイベルはゆっくり近づいて来る。
アーロンも攻撃されないことを確認してエイベルのもとに駆け寄っていく。
アーロンの目の前まで来たエイベルが膝をついてかしづく。
「陛下!又お会いできて幸せです。・・・アーロン!お帰り。」
エイベルは家臣としての挨拶をした後、親友として軽い挨拶をした。
「心配させてすまぬ!余の代わりご苦労だった。・・・ただいま、ありがとうな!エイベル。」
アーロンも王としてそして親友としての挨拶をする。
その後、エイベルが怒涛の如く説明を求めてくる。
「アーロンどういう事だ、お前死んだよな?なぜ今ここに居るんだ!どうして若返ってるんだ。どう見ても学園時代のアーロンじゃないか!」
「あぁ、実はこの体は造り物で本当の身体は今別の場所にあるんだ。動かしてるのは俺だけどな!」
「造り物だと?じゃぁ今は何処に居るんだ?」
「門番のジルの家に居るぞ。王城で死んだ日の数時間後にジルの息子として生まれ変わったんだよ!生前の記憶を持ったままな。」
「そんな事が現実に起こるなんて!」
アーロンはエイベルに伝える。
元は別の世界の人間で女神のミスで殺され、一度目の転生で王であるアーロンに転生したが、記憶が戻るのに35年かかった事。
2回目の死も同じ女神のミス死んでしまい、それで条件を出して転生した事。
話を聞いたエイベルは涙を流しながらアーロンを元気づけてきた。
シルフィーやドーラと同じ反応だ。
「苦労していたんだな。だが、やっとしっくり来た感じがするよ、アーロンの考え出した手押しポンプや蒸気機関や食べ物の数々どれも不思議なものだったからな!別の世界の物だったんだな。」
エイベルが何度も頷きながら納得している。
「隠してたわけじゃないんだがな、なんせ記憶が戻って1月足らずで又女神に殺されたから打ち明ける暇が無かったんだ。」
「解った、理解してるつもりだ。・・俺を狙った黒装束の奴らを灰にしてた魔法はアーロンがやったのか?部屋が焼けていないのはどういう事なんだ?」
エイベルが黒装束たちに襲われた時の事を思い出して聞いて来る。
「奴らを葬ったのはわらわなのじゃ!」
「部屋とあんたを守ったのは私よ感謝しなさい!」
シルフィーとドーラのの声が聞こえて来てエイベルがビックリしている。
「なんだ?声がしたぞ、アーロン!」
「大丈夫!協力してくれた友達だから」
「アーロンのマブダチなのじゃ!」
「ドーラ、あんたは勝手についてきただけでしょ。マブダチは私よ!」
「ほら2人とも喧嘩しないで仲良くね。」
2人がまた小競り合いを始めてしまったのでアーロンが止めに入る。
二人の事が見えないと色々説明が面倒だと思ったアーロンがシルフィーにどうにか二人の姿を見えるようにしてくれないかと相談する。
人間に化けている時は皆に見えるが、その時だけというのは都合が悪い時もあるので常時見えるように出来ないかと言うと。少し悩んでいたが良い返事が返ってくる。
「出来ない事わないけど少し痛いわよ!それでも良いの?」
横でずっと話を聞いていたエイベルがシルフィーが話し終える前にお願いしてきた。
「どなたか分からないがお願いしたい。死ぬわけで無ければ痛いぐらい我慢できます。親友のアーロンがお世話になっていた方には直接お礼を言わせてほしい。頼みます。」
「あんた人を見る目がありそうね。アーロンの恩人の私にお礼が言いたいなんて良い心構えだわ。」
「解ったは、我慢しなさいよ!」
シルフィーがスッとエイベルの顔の前まで行ったと思うと右手をエイベルの左目に突っ込んで魔力を流し込み始めた。
エイベルはいきなり左目に激痛走り大声を上げる事になったが数秒後には何もなかったように自分の目の前で浮いてるシルフィーを見ていた。
「エイベル大丈夫か?シルフィー何をしたの?」
「この子の左目を精霊眼(精霊の眼)に変化させたのよ。かなりの魔力使うから疲れちゃうのよね、後で魔力貰うからね。」
「了解。とにかく成功なんだな?」
「バッチリよ大精霊シルフィーちゃんをなめないでね!」
アーロンとシルフィーのやり取りを聞きながらエイベルは不思議な光景を見ていた。
目の前には今まで見えていなかった妖精の少女と竜の羽が生えた1歳ぐらいの幼女が浮いている。
アーロン達の会話から妖精の少女が大精霊シルフィーだと理解して大声を上げる。
もう何度驚いたか分からない。
「大精霊だとーーー!まさか、本当かアーロン!」
「あぁ本当だよ。何を驚いてるんだ?」
「大精霊だぞ!精霊の中でも最上位の精霊で確か神に近い存在だったはずだぞ!」
「そうなのか?でも神ならもう一人いるぞ。その幼女は竜神だからな!間違いなく神様だな!」
目の前で浮かんでいる幼女が竜神だと言うアーロンの言葉を聞いてエイベルの脳が限界を越えてしまったようで意識を失ってしまった。
「エイベル!大丈夫か?起きてくれーー。」
何度声をかけても一向に起きる気配がないエイベルを見てアーロンは今日は帰ることにした。
エイベルを執務室の机に寝かせて手紙を残すことにする。
手紙には、フローラと娘たちやカミラの状況や今の王国の事について話がしたいからまた会いに来るという内容を書いて残した。
「シルフィー!ドーラ!今日はありがとう!さぁ帰ろうか。」




