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第29話 5千年ぶりのカフェ巡り

シルフィーとドーラは換金した金を持ってギルドの近くのカフェに来ていた。

ギルドを探すのと違いあっという間にカフェを見つけ出した二人は店内に立ち並ぶガラスケースの中の様々なお菓子を眺めていた。

2人ともよだれを滝のように流している。


「何じゃこの店は!わらわが見たことのないお菓子が沢山あるのじゃ。この5千年で何が起こったのじゃ。」


「凄いわね!人間なんて弱くて欲深い奴らだと思ってたけど、考えを改める必要がありそうね。」



食べ物の取り合いで街を滅ぼした事のあるシルフィーが勝手な事を言っている。



「でも、何を食べたらよいか数が多すぎてわからなくなるのじゃ。」

「何を悩んでるのよドーラ金ならタップリあるんだから一先ず全種類注文すれば良いじゃない!」

「おお!そうじゃな!それが良いのじゃ」


欲深い竜神と大精霊である。


カフェのテラス席に座ったシルフィーと金貨が沢山入った革袋を握りしめたドーラが店員を呼んで注文し始める。


「注文をしたいのじゃが良いか」

「はい!すぐに伺います」


店員がお水をもってすぐにやってきた。


「ご注文はいかがいたしますか?」


「この店にあるお菓子を全種類1個ずつ持ってくるのじゃ」

「私も同じものをお願いね」


「全部ですか?多いですが大丈夫でしょうか?」


店員が驚いて再確認してくる。


「もちろんじゃ!早くするのじゃ。お腹がすいて我慢できんのじゃ」


「かしこまりました。少々お待ちください。」


ドーラの勢いに負けて店員はガラスケースの方に走っていく。


少しして先程の店員がワゴンの上に大量のお菓子を乗せて戻ってきた。ケーキ・焼き菓子・アイス類・ゼリー類などいろいろな種類がたくさん乗っている。

よく見ると後ろから別の店員が同じようにワゴンに乗せたお菓子を持ってきていた。


「全種類だととても数が多いので何度かに分けてお持ちしますね。後お飲み物はいかがいたしますか?」


数が多すぎるので分けて持ってきてくれるようで、ワゴン一つがどうやら一人分らしい。


「ありがとうなのじゃ。飲み物は紅茶をたのむのじゃ。」

「私も同じもので良いわよ。ありがとう。」


店員はシルフィーとドーラの前にすべてのお菓子を並べると飲み物の準備をしに戻っていき、すぐに紅茶を持ってきて出してくれた。


「シルフィー!わらわはもう食べるぞ」


ドーラの余程我慢していたようで手にフォークを持つとショートケーキを一刺しにして丸ごと口の中に放り込む。

対照的にシルフィーはミルフィーユを少しづつ口に入れ紅茶と一緒に楽しんでいる。

ただし口に入れるスピードがとても速いので、テーブルにあるお菓子の減る速度はドーラと変わらない。


テラス席の美女二人がものすごい勢いで色々なお菓子を完食していく姿は異様で、街を歩いている人が見ている。中には完全に立ち止まって見ている者も出てきた。


「何だ?」

「何かの見世物か?」



立ち止まる人がどんどん増えていき今ではカフェのテラス席を囲むほどの観衆が出来上がっている。

その間も新しいワゴンが運ばれてくる。


「すげー!あの嬢ちゃんたち物凄い数食べてるぞ。」

「全然食べるスピードも落ちねえな」

「見てるこっちが胸焼けして来たぜ!」


観衆から応援する者まで出てき始めた。

その後もワゴンが次々出てき、二人のテーブルの周りには空になった皿が山のように積みあがっていた。

昔よくテレビで放送していたフードファイトのような状態になっている。



「頑張れよ!」

「あと少しだ。」

「二人とも頑張ってーーー!」



もう追加のワゴンは無いようで、残すはドーラが2皿とシルフィーが3皿でドーラの方が少し早いようだ。ドーラがラストスパートをかけて2皿同時に口の中に入れた。その時点でシルフィーの残りは1皿なのでドーラの方が早く食べ終わった。


「やった~目つきの鋭い方の姉ちゃんが勝ったぞ!」

「いやぁ~上品な嬢ちゃんも凄かったぜいい勝負を見せてもらったなぁ~~~」


観衆たちが二人の食べっぷりに感動している中ドーラがまたやってしまった。


5千年前の悪夢再びである、観客の応援でテンションの上がってしまったドーラが、最後に残っていたシルフィーの1皿を横取りして食べていたのだ。


その瞬間シルフィー表情が感情の無い冷たい感じになり、身体から大量の魔力がオーラのように放出された。


「ドーラあんたねぇー!」


シルフィーのその姿を見たドーラは、MAXテンションが急激に下がり冷静な判断を取り戻して対処行動に移った。


「ごめんなのじゃーー!ついうっかりなのじゃ!許してなのじゃー!絶交は嫌なのじゃーーーーーー!」


ドーラがジャンピング土下座をしてシルフィーに謝っている。


今まで声援を送っていた観衆もいきなり土下座をして謝りだした美女を見て目を逸らす。

何だか見てはいけないような気になり観衆達は徐々にその場から立ち去り最後には二人だけになった。


「仕様がないわね。アーロンにも喧嘩しないようにって言われてるし許してあげるわ!でも次やったら5千年間、また絶交だからね!」


「ありがとうなのじゃー!反省するのじゃーー。明日が楽しみじゃのーー。」


シルフィーのオーラが消え、冷たい表情からいつものシルフィーに戻る。

そして満足した二人はカフェの勘定を済ませてからアーロンの家に戻っていった。










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