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第25話 竜神ドーラ


巨大な影がアーロンとシルフィーの頭上まで近づいてきた。


「誰じゃ!わらわの森で馬鹿みたいな威力の魔法を放っているのは!・・・?」


鋭い眼球をギョロギョロ動かしながらアーロンの方を見ながら話しかけてきた。

アーロンは一瞬で理解した。

いま頭上から話かけているのが、竜神ドーラであることを。


「なんじゃ!人間の子供ではないか。こんな所に何故居るのじゃ?」


竜神は長い首をかしげてアーロンをジッと観察している。

竜神が自分の目に魔力を流しアーロンを鑑定した瞬間、表情を強張らせいきなりブレスをはなってきた。


『ゴオォォォォォォォォォォォォォ!』


金色の炎がアーロンに迫ってくる。

余りにもいきなりの事にアーロンは棒立ちになって反応できていない。


「?・・!やば!」


ドーラのブレスがアーロンに直撃する直前アーロンの前に風の障壁が現れドーラのブレスを防いだ。

その障壁を見たアーロンは安堵したが、ブレスを放ったドーラはある事に気が付いたようで再度アーロンの周りを見てシルフィーの存在に気付く。


「なんじゃ!お主の仕業かシルフィー!5千年前に絶交したではないか。早くも寂しくなって、わらわに謝りに来たのか?そなたの対応次第で許してやっても良いぞフフッ。」


「ドーラあんた馬鹿じゃないの!何で私が謝らないといけないのよ。そもそも、あんたが、私の楽しみにして残していたデザートを横取りしたのがいけないんでしょ!欲張り竜!」


「欲張り竜とは失礼じゃろ!そもそも身体が大きいから足りなかったのじゃ!ちびっ子のお主が譲るのが優しさであろう。」


シルフィーとドーラが言い合いを始めた。


要約すると


5千年前、二人で人間に成りすまして、人間の街の食べ物を食べに行くのが楽しみだったようだ。

そんなある日、街のカフェで食後のデザートを食べていた時ゆっくり食べていたシルフィーと違い、早く食べ終わったドーラが、我慢できずシルフィーのデザートに手を付けてしまった事で喧嘩になり絶交していたと行く事らしい。


どうでも良いくらい、くだらない喧嘩理由である。


しかも、その場で喧嘩を始めてしまったせいでその街は崩壊して、あたり一面焼け野原になったようだ。

その話を聞いていたアーロンは、学園時代に図書館で読んだ神話を思い出した。


それは、食の都と呼ばれていた伝説の街の物語だったはずだ。

確か美食の神同士がどちらがより美食家かを争って戦い、その戦いに巻き込まれた伝説の食の都が崩壊してしまったという話で、あの神々の争いが無ければ食の文化がもっと発展していて、飢える事のない世界になっていたかもしれないという物語だ。

詳しくは思い出せないが間違いない、目の前にその美食の神達がいる。

迷惑な神々である。


「あのシルフィー!ちょっと良いかな?」

「あっ ごめん。この欲張り竜のせいで忘れてたわ!」

「誰が、欲張り竜じゃ・・!そう、忘れておったわ。シルフィーその人間の子供はなんじゃ?わらわ達よりもはるかに多い魔力を保有しているではないか、化け物ではないか!」


神話に出てくるような竜に、化け物呼ばわりされるアーロンである。


「そのせいで思わず本気のブレスを放ってしまったのじゃ。」


神竜の本気のブレスを防いだシルフィー先生に感謝!

アーロンのシルフィーに対する評価がうなぎ上りである。


「何って言われてもね、私も出会ってから一年も経ってないからあまりよく分からないけど、たぶん死の女神の使徒じゃないかって思ってるのよ。」


シルフィーが勝手な事をいいだす。アーロンにとって許されざる勘違いである。


「なんと!死の女神の使徒じゃと。そんなヤバい奴を何故連れてきたのじゃ。死の女神は我儘で正確破綻した女神で、気分が悪いからという理由で今まで何度も迷惑な神罰をこの世界に落としてる女神じゃないか。そんな女神の使徒など・・・・。」


あの女神マジで許せん。

しかもそんな女神の使徒と間違われるのが納得いかないアーロンが、二人の会話に乱暴に入っていく。


「まてまて、シルフィーは適当な事を言うな!あんな駄女神の使徒なんてふざけるなよ!使徒なんてごめんだぞ。」


「あんた!駄女神って本気で言ってんの、昨日の夜会ってたじゃない!」

「!!!死の女神が下りてきておったのか?今回は何をするつもりなのじゃ?」


ドーラとシルフィーが勝手な事を言っているので、面倒だがアーロンはヘスティアとの事を、詳しく話して聞かせた。小一時間掛けて2度の死と2度の転生について話して聞かせ終わると二人が涙ながらアーロンを慰めはじめた。


「あんた苦労したのね!でも、もう安心しなさい。このシルフィーちゃんがあなたのパートナー(契約者)としてしっかり助けてあげるからさー。」


「わらわも、そなたを助けてあげるのじゃ。いきなり攻撃した詫びじゃ!しかも友であるシルフィーの契約者じゃからな、わらわの友といっても良いじゃろ!」


そう言ってドーラが大きな爪の先でアーロンの胸を指さした。

するとアーロンの胸に神竜の紋章が浮かび上がる。


「これで、わらわとの契約も完了じゃな!よろしく頼むのじゃ。アーロン。」


アーロンは神竜との契約を一方的にさせられた。


契約直後シルフィーの時と同様にアーロンの魔力がゴッソリ吸われると、神竜ドーラの巨体が光だし徐々に小さく圧縮していき、小さい竜の羽が背中に生えた眼光の鋭い幼女に変化し、空中にプカプカ浮いている。


「久しぶりに、こんなに濃密で莫大な魔力を吸収したのじゃ。シルフィーが契約した気持ちもわかるのじゃ。決めたのじゃ!わらわも付いて行く事にするのじゃ!この森は暇でしょうがなかったのじゃ。」


アーロンは巨大な竜が1歳ぐらいの幼女に変化した事にも驚いているが、付いて来ると言い出した事にもっと驚いている。


「ドーラ何勝手な事言ってるのよ!そんなの無理に決まってるじゃないのさー。1歳の子供があんたみたいな空飛ぶ幼女を家に連れて帰るっておかし過ぎるでしょーが。」


「問題など無いのじゃ。わらわも精霊と同じく精霊体にになれば人の目には見え無くなるのじゃ。人に見えなければ問題ないじゃろ。ちなみにわらわは光属性じゃ。」


「そうね!見られないなら問題ないわね!これで又一緒にお菓子食べに行けるわね。フフッ」

「そうじゃ!お菓子なのじゃ。フフッ」


シルフィーも人間に成りすます事が出来るみたいなので、アーロンの家以外ではドーラとシルフィーで人間に成りすましてカフェ巡りをする相談を始めてしまった。


どうやら一緒に付いて来る事は決定のようだ。


アーロンには、この二人の決定事項を覆すことが出来そうにないので諦める事にする。


アーロンはシルフィー達の話を聞きながら、お金はどうするのだろう?1歳の俺に頼まれても困るんだけどと考えながらドーラに改めてあいさつをした。


「じゃーよろしく頼むねドーラ!」

「こちらこそよろしく頼むのじゃ!」

「私からもお願いするわ!こう見えていい奴なんだからね。」


「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」


アーロンが1歳児に変化したドーラをジッと見ているとその視線に気づいたドーラがアーロンに話しかける。


「何じゃ!言いたい事があるなら言えば良いじゃろ!」

「・・・。何で1歳幼女なんだ?しかも赤ちゃんが着るようなローンパース着てるし。」

「よかろう。お主に容姿に近づけてやったのじゃ感謝するのじゃ!」


二人並んでいると姉弟のようである。


その後、ドーラの許可を貰い心置きなく魔法の練習をした後、神話の住人2人と共にアーロンは自分の家に戻ってきた。


外出中は魔力クローンのおかげで問題なく誤魔化せていたようだ。
















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