第24話 風の大精霊 シルフィー先生
シルフィーとアーロンは、とある森に来ていた。
シルフィーが近くの森と言っていたが、さすが風の大精霊シルフィーである。
王都からからかなり離れた樹海に来ていた。
「シルフィーここは何処なの?」
「そうね、王都からたった1万キロ位北にある竜神の樹海よ!」
「ここだったら的になるワイバーンも沢山いるから魔法の練習に良いと思ってね。へへへ。」
アーロンはこの樹海の事を知っていた。
カミラが昔、修行だと言って出かけていた樹海だ。
確か樹齢何千年という木々集まった樹海で、樹海の入り口付近にワイバーンなどの下級竜が居て、中間地点に属性竜である火竜・水竜・風竜・土竜などの上級竜がいる。
さらに深部には古竜と言われる万年単位で生きてると言われるさらに強い竜が居る樹海だ。
カミラも目撃したことがないが、最深部には竜神が居てすべての竜種を従えているらしい。
一度カミラが古竜と戦ってケガをして帰ってきたことがある。
「あの一瞬でこんな所まで来れるのって凄くないか!」
「風の大精霊シルフィーを舐めないでほしいは、これぐらい簡単よ!」
アーロンは少し気になっていた事を聞いてみた。
「ここって竜神とかいう強い竜がいるのは本当なのか?」
「居るはよドーラの事ね、あの子がどうしたの?あ!ワイバーンを的にする事が気になってるのね!ワイバーンなんて何匹殺したってあの子が怒ったりしないから安心しなさい。さすがに古竜を何匹も殺したりするとまずいと思うけど。私もいるから平気よ。」
「知り合いなのか?そのドーラってのと。」
「そうね~ 友達って奴よ!数万年前にちょっともめちゃってさぁー。」
又しても衝撃的な事を普通に話し出したシルフィーを見ながらアーロンは啞然とする。
シルフィーと契約して大丈夫だったのか今更不安になってきた。
しかし子供の様なシルフィーを見ていると扱い方さえ間違わなければ大丈夫かなと思い直した。
「そんな事より早く魔法の練習するわよ!」
シルフィーがアーロンを引っ張って樹海の中に入っていく。
竜神の樹海に入ったアーロンは目の前の光景にビックリした。
そこらじゅうにワイバーンんが居るのだ。
大きな岩の上や樹齢千年以上の大木の枝の上に止まっていて、まるでムクドリの群れのようである。
幸いまだ距離があるので、アーロン達には気付いていないようでワイバーン達は体を休めている。
「シルフィー!大丈夫なのか?めっちゃ居るんだけど。」
ワイバーンの数の多さに不安になったアーロンがシルフィーに聞く。
もし、今この光景を人が見れば、1歳の子供が一人でワイバーンの群れに迷い込んだように見える。アーロンはワイバーンの餌にしか見えないだろう。
精霊のシルフィーの姿は風の魔法属性保持者にしか見えないのだから。
「何?ビビっちゃったわけ!弱っちいわね大丈夫よ!こっちに来て見てなさいよ。私がお手本見せるからね。でもその前にそれ!」
『パチン!』
お手本を見せるといったシルフィーが指を鳴らすと、目の前の景色を4等分にするように風の壁で仕切りをあっという間に創りあげる。
ワイバーン達は自分たちが風の壁で分断された事に気付いていないようで今も休息中だ。
「これで、攻撃しても壁に仕切られた別のワイバーンは気付かないから逃げることないから安心して練習できるは!」
よく見ると、風の壁を作っただけでなく巨大な四角い箱状になっていて上空にも逃げ道がなく閉じ込めている。
どうやら風の結界のようだ。100メートル四方はある結界が4つ並んでいる。
「シルフィー。安心ってワイバーンを閉じ込めて皆殺しにするつもりなの?」
「そうね~あんたが問題なく魔法が使えるようになるまでは続けようかしら。」
「まずは、見てなさいよ。」
シルフィーがそう言って両手を前に向けて精霊魔法を使うと一つの結界の中央に竜巻が現れ、徐々にその竜巻が大きくなり結界内いっぱいに広がりすべてのワイバーンを巻き込むと切り刻みだした。
結界の中は竜巻とかまいたちの様な風の刃が暴れまわっているようだ。
10秒程暴れまわった竜巻が収まるとバラバラになった数十匹のワイバーンの身体がそこら中に散らばっていた。
「どう!凄いでしょー。こんな感じでやって見なさい。」
「どう!って、スプラッター過ぎて普段使える魔法の気がしないんだが?」
「いいの!とにかく最初は今見た魔法をイメージして使ってみなさい。話はそれからよ!」
「解ったよ。やってみる。」
アーロンはとにかく今見たシルフィーの魔法をイメージして使ってみる事にする。
なんやかんやでシルフィーの優秀さは見てきているので大丈夫だと信じる事にする。
たった今、見た魔法なのでイメージをする事は簡単だったので魔法はすぐに発動し、惨劇があった結界の横の結界の中央に小さい竜巻が現れる。その瞬間、竜巻が一瞬で結界内に広がったと思うと結界の天井をぶち抜いて空の雲を突き抜けるほどの竜巻に成長して消えた。その時間たったの2秒である。結界の中は何も残っていないワイバーンの血液すら残っていない。
「?・・なんで?」
「はぁ~~。想像はしてたけど、予想をはるかに超えていて正直ドン引きしているは・・・・。」
「これで、解ったでしょ!あんたの魔力量が普通じゃないって事が。」
それからシルフィー先生の説明がつづいた。
「とにかくあんたの魔力量は馬鹿みたいに多いの!だから使用する魔力量を抑える練習が必要なわけ!ちなみに!私が使った魔法は上級殲滅魔法と言って使える人間は数人しかいないは。普通は数人の魔法使いが一緒になって使うほどよ。」
「で、あんたが今使った魔法は神級魔法レベルなの!私が結界で魔法の威力を上空に逃げるようにしてたから平気だったけどそうじゃなかったら、この森は無くなってたし生きてるのは竜神のドーラ位だったわよ。」
「とにかく魔力を抑える練習をしなさい!さっきの魔力の100/1ぐらいで私の使った魔法レベルになると思うから頑張りなさい。初級魔法ぐらいなら1/10000よ!」
「・・・・・・・・・。」
魔法の威力をまじかで見たアーロンは改めて魔法に対しての考え方を修正した。
そして、魔力∞スキルの規格外過ぎる性能にこの後苦しむことになる。
「あんた、落ち込んでる時間なんてないんじゃないの!結界ならいくらでも張ってあげるから安心して練習しなさい。」
「そうだな!頑張るよ。」
やる気を取り戻したアーロンが残り2つの結界の方をみると、結界に閉ざされて周りの状況が分からないはずのワイバーン達がガクガク震えている。中には涙を流しているワイバーンもいる。
「シルフィーどうしようか?この状況で、魔法使うのはさすがに心が痛むんだけど。」
「そ、そうね。私も少しワイバーンが可愛そうに見えてきたわ。」
『パチン』
シルフィーが指を鳴らすと風の結界が消える。するとワイバーン達が我先に飛び立ち森の奥へ逃げていった。
その後姿を見ながらアーロンがいう。
「シルフィーなんかごめんね。結界無駄にしちゃって。」
「・・・・・・いいわよ。」
どうしようか?別の狩場に行ってみるか?などとアーロンとシルフィーが考えていると森の奥からとても巨大な影が飛来してくるのが見えて来ていた。
二人は話に夢中でその影にまだ気付いていないようだ。
影はドンドン近づいてきていた。




