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第17話 謁見の間


アーロンが死亡して数時間後、もう夜もだいぶ遅い時間である。



第一王妃と王太子が 宰相と財務大臣とともに謁見の間に来ていた。兵士たちも少なくない数その場に配置されている。

玉座には王太子であるダーメンが座りその横にヒルダが座っている。宰相と財務大臣は傍に立っていた。


ヒルダ達の前に椅子が一つ置かれている。とても質素な椅子である。


謁見の間に兵士に連れられたフローラが入ってきた。

フローラはいまだに人形のように魂のないような状態で連れて来られるがままのようだ。連れてきた兵士もとても辛そうにしている。


「フローラ様こちらにどうぞ。・・・すいません。」


兵士はフローラをその質素ないすに座らせる。今にも泣きだしそうな顔の兵士は小さくフローラに謝った。


「なぜ、様などつけるのですか?その者は王殺しの重罪人ですよ、そのような物に様を付けるなど言語道断です死をもって償いなさい!」


そういってその兵士は、ヒルダ側の兵士によってあっという間に首を切られて処刑されてしまった。ただ様を付けてフローラを呼んだというだけで。

ヒルダは少しでもアーロン側に良い感情を持っている者を断罪することで兵士達に恐怖を植え付けるつもりだった。

だから、あえてフローラ側の兵士の一人にわざわざフローラを連れてこさせたのだ。

その光景をみて兵士たちの顔が恐怖の色に染まっていくのを確認したヒルダはニヤリと笑っている。


ヒルダ達のあまりにも酷い所業を見たフローラの目に生気が蘇る。


このままでは夫であるアーロン王が大切にしてきた家臣やこの国の国民達がヒルダ達のせいで不幸になってしまう。

いつまでも弱音を吐き落ち込んでいてはアーロンに顔向けできないと思った。


「何をされているのですか!何も罪のない兵士を処刑するなどもってのほかです。」

「このような事アーロン王は決しておゆるしになりませんよ。」


フローラの様子の変容に一瞬驚いたヒルダ達であったが、ダーメンがフローラに言い返す。


「黙れ!重罪人のくせに、まだ第二王妃でいられると思っているのか?」

「今は、そなたの罪について話し合う場である。勝手に口を利くでない。」


ダーメンは玉座にふんぞり返り王のように振る舞っている。


「フローラよ!なぜ父、アーロン王を殺したのだ。」


フローラはダーメンの言葉に唖然としている。

確かにアーロンが亡くなった時部屋にいたのはフローラ達だったので疑われても仕方がないが、少し調べれば疑いは晴れるはずだ。

そうしないという事はフローラ達アーロン王寄りの者をすべて排除しようとする意図かみてとれた。


「何を言われているのか、私にはわかりません。しかも王が亡くなってすぐ、このような行動にでるあなた達の考えの方が不思議でなりません。まずは、アーロン王を丁重に弔うのが先だと思うのですが。」


「黙れ!生意気に我に物申しよって。お前がアーロン王を殺したことは解っておるのだ。」


フローラに反論されたダーメンはすごく怒っている。フローラを犯人だと言い切ってまでいる。


「何を証拠にそのような事を言っているかわ解りませんが、私は決してアーロン王を殺してなどいません。」


フローラがはっきりと、アーロン殺しを否定する。

すると今まで黙っていた宰相のドリルという男が口を開ける。



宰相(ドリル)


財務大臣(ダレル)の兄で権力欲の強い男である。第一王妃側に付きダーメンを王につけ今以上の権力を握ろうとしている。ダーメンの頭の悪さを知っているので後々ダーメンを押しのけ自分がこの国の王になることが最終目標である。弟ダレルと違い表立って行動をしない男でいままでアーロンと敵対した事がなかった。52歳背が高く・痩せている。


「しらじらしい女ですね。毒入りのお茶を貴方が用意した事は皆が目撃しているのですよ。しらをきるおつもりですか?」


「そうだ!罪を認めろ!この辺境の田舎娘が第二王妃だからといつも偉そうに進言ばかりしてきやがって、日ごろの恨みをここで晴らさせてもらうぞ。」


ドリルに続けとばかりに、ドリルの弟で財務大臣のダレルがフローラに罵声を浴びせる。



財務大臣(ダレル)


ヒルダの国ノルトラインとの政略結婚の発案者で秘密裏にノルトラインと繋がっている。ヒルダの国から多額の賄賂をもらいアーロンの国エアフルトを売り飛ばした売国奴。王国の資金も多く着服していてその資金で多くの貴族をしたがえている。派手なことが好きでいつも目立つポジションで行動する。50歳でデブ・禿・チビの三重苦である。



フローラは玉座の4人を睨みつけている。

いつかわ動き始めると思ってはいたがアーロンが死亡して数時間で行動に移すとはもう許せない。

ダーメンには半分アーロンの血が流れている。そのため、少しは解りあえるのではとフローラは思っていた。しかしいま玉座に座っているダーメンからは一かけらもアーロンの良いところが無いのを見て、スッパリ割り切ることを決めた。


その時謁見の間の扉が開いてエイベルとカミラが入ってきた。

メイドは指示通りフローラが連れていかれると同時にエイベルのもとに知らせに行っていたようだ。


「フローラ様!大丈夫ですか。」

「フローラ!」


エイベルとカミラがフローラの横に立ちヒルダ達と向かい合う。

エイベルは落ち着いた表情だが、カミラの顔は鬼のようになっていた。

親友で、しかも君主と認めた男の愛した家族が、目の前で侮辱されているのだ。

親友に守ると誓った彼女にとって許せる状況になかった。


一瞬で謁見の間はカミラの剣気で満たされ謁見の間が剣聖の間合いになる。

とてつもない剣気と殺気が謁見の間に渦巻いている。

恐怖のあまり一歩後ずさりしたダレルの頬が濃密な剣気によって切れて血がしたたっている。


「落ち着けカミラ!」


エイベルがカミラを一喝すると、謁見の間に濁流と化した剣気と殺気の渦が弱まる。


「すまん!つい。」

「謝る必要はありません。気持ちは私も同じですからね、ただ今は抑えてくださいね。」


エイベルがヒルダ達に向かって話し始める。


「ヒルダ様これはどういうことですか?」

「それに宰相と財務大臣のお二人が一緒とは何か重大な事でも起こりましたか?」


ドリルとダレルは何も言わない。


「それにダーメン様どこに座っておられるのですか?その玉座は国王だけが座る事を許されているはずです。ダーメン様に座る資格などないと思われますが?」


エイベルの顔が先程と違いとても怖い。拳を強く握りしめている。


「黙れ!我に資格がないだと。父である王が死んだのだ、我が次期国王で問題なかろう。お前こそ無礼であろう、少しばかり父上に気に入られていたからとずにのるな~!」


ダーメンがワナワナと震えながらエイベルにいいかえす。資格がないと言われて激怒したようだ。


「お前こそ黙れ!王が亡くなったからと言ってその地位を欲しがる王太子が何処にいる!まずは王の弔いをした後、正式に手順をふんで王になるのが筋でしょう。そうでなければただの泥棒と変わりません!その玉座は今も我が親友でこの国の賢王であるアーロン陛下のものです。資格のない者が座っていい場所ではありません。すぐに立ち上がってください。」


エイベルの主張に4人は何も言えなくなる。ダーメンは顔を真っ赤にしながら謁見の間から出て行ってしまった。皆の前で馬鹿にされてその場にいられなくなったようだ。


「くそぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


ダーメンを親友の玉座から降ろしたエイベルが続けてヒルダに問いかける。


「改めてお伺いします。ヒルダ様何をされているのですか?」



「そこの国王殺しに話を聞いていたところですよ。ねぇ、ダリル、ドリル。」

「そうだ!その者がアーロン王に毒を飲ませて殺したそうではないか!だから本人に直接聞いておるのだ。」


宰相のドリルが答えた。


「何を馬鹿なことを、フローラ様に王を殺す理由など何もないではないですか!」

「それに毒を盛ったと言っておいでですが医務官や薬剤官が調べた結果アーロン王の体からはおろか部屋のどこからも毒物など発見されておりません。」


エイベルは部下たちを総動員してあらゆることを調べつくしている。今後何を言われても問題ないように準備を整えてこの場に乗り込んできている。


財務大臣のダレルが無茶なことを言い出す。


「医務官や薬剤官の知らない毒を使用した疑いもあるであろう。」


「そのような事はありません!医務官の診断は心臓発作という事です。稀に心臓が急に機能しなくなってしまう病だという事です。ですので、フローラ様は無実です。」

「さぁ、フローラ様お立ちください。カミラがご一緒いたしますのでお部屋にお戻りください。」


カミラがフローラを支えるようにして椅子から立たせる。

ヒルダがこの場から立ち去ろうとするのを辞めさそうとたちあがった。


「重罪人を帰すわけにはいきません!待つのです。」


その言葉を遮るようにエイベルがもう一度指示を出す。


「大丈夫です。フローラ様をお部屋にお連れしてください。お連れした後、姫様達もフローラ様のお部屋にお呼びして一緒に待っていてくださいね。お願いしますねカミラ!」


カミラとメイドがフローラに付き添って謁見の間から出ていく。

ヒルダは自分の言葉をすべて無視して勝手に行動しているエイベルに腹を立てて大声を上げ始めた。


「何様ですか。王の腰ぎんちゃく風情が偉そうに第一王妃である私にはむかうのですか?」


エイベルが今一度ヒルダ達を一喝する。


「国王補佐として言わせていただきます。国王アーロン様より国の有事の際私に全権を委ねるとおおせつかっています。その事を書き記したものがこの書簡です。アーロン王の直筆で玉璽もいただいております。これは王が亡くなった場合でも同様であると書かれております。確認されますか?」


エイベルはとてつもない物を持っていた。

この書簡の存在で今この国のトップにはエイベルが立っているのだ。もう誰も文句が言えない。

すぐにヒルダはその書簡を確認した。その直後今までの勢いはなくなり下も向いて黙ってしまう。


「王の全権代理者として命じます。この件について二度と口を出さないようお願いします。ヒルダ様よろしいですね。ダーメン王子にもしっかり言い聞かせておいてください!では私はこれで失礼します。」

「すべての兵士に告げます。元の持ち場に戻り職務に当たりなさい。」


エイベルはヒルダ達を残し急いでフローラ様の私室に向かった。

取り残されたヒルダは大急ぎで起死回生の策を考えていた。






















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