第14話 お土産と門番の男
アーロンとカミラは城門の前まで帰ってきていた。
早朝と違って人の出入りがとても多く人目に付きやすい。
もちろん朝と同じようにアーロンは姿くらましのマントを付けているので誰にも見えていない。
あのジルという名の門番には直にお土産を渡したいと思っているアーロンが、カミラに伝えるとカミラが城門の方に歩いていきジルと一緒に戻ってきた。
「カミラ様おかえりなさい、陛下も近くにおられるのですか?」
「ああ、すぐそこにいるぞ」
近くにジルが来たのでアーロンはマントを外した。
「ジル、遅くなってすまんな。少々浮かれすぎてしまってな。約束していたお土産も買ってきたから奥さんと二人で食べるとよいぞ。」
アーロンは大きな紙袋をジルに手渡した。その袋を受け取ったジルの手が小刻みに震えている。
「これを、俺が頂いてもよろしいのですか?かなり沢山あるようですが。」
「遠慮するなよ!朝約束したからな。王が約束を破るわけにはいかないからな。」
「陛下ありがとうございます。早速今晩、嫁と美味しくいただきますね。」
ジルは何度も頭を下げてお礼を言っている。
アーロンがジルにお土産を渡し終えたのを確認したカミラがジルに話しかける。
「ジル、頼みがある。陛下のお姿を隠すことは問題ないのだが、このマントはあくまでも姿を他人に見えなくするだけなので今朝のように触れることはできるのだ。」
「今の城門のように人があふれていると間をすり抜ける事が出来そうにないのだが、どうにかできないかな?」
少し考えたジルが少し待ってほしいと言って城門に戻っていった。
数分後ジルは馬を引っ張って連れてきた。
「この馬に二人でお乗りになって城門までお越しください。」
「カミラ様でしたらフリーパスで門をくぐれますし、馬上の陛下にぶつかる人間などいませんからね。」
「あと、馬は王宮近くで乗り捨ててもらってだいじょうぶです。自分で厩舎まで戻ってくるようにしつけしていますので。」
二人は馬に乗り後ろでカミラに捕まっているアーロンはマントを付けた。
「ジル世話になったな。」
「別に大したことなどしていません。少しでも陛下のお役に立てたのであれば嬉しい限りです。お気をつけて。」
二人はそのまま城門をすり抜け王宮まで無事帰る事が出来た。
しかしこの件で少し問題も発生していた。
それは、カミラが城門にジルを連れに行ったときその光景を多くの兵士や文官たちに見られていたのが原因だった。
二人の仲が怪しい、新婚のジルが浮気をしているのではと。
その相手が剣聖カミラ様だという噂が王城内に広がっていたのだ。
ジルを連れたカミラ様が茂みの方に二人で入っていったとか、カミラ様から何やら大きな紙袋をもらってきたとか、その袋から甘い匂いがしていたのでカミラ様の手作りお菓子だのとお祭り騒ぎだ。
ジルは王の事を内緒にしなければならない約束なので嫁に上手く説明できず、危うく離婚の危機を迎えていたらしい。
カミラは、周囲からの追及に誤解だと説明していたようだが、必死に否定すればするほど怪しまれてしまうので最後は無視することにしたようだ。
王宮に戻ったアーロンは少し前カミラと別れて自室に戻ってきていた。
カミラはエイベルに報告してくるといって執務室の方に駆けていった。
自室のアーロンはソファーでくつろぎながら、フローラ達のプレゼントをいつ渡そうか考えている。
「食事の時だと第一王妃がいるからまずいよな・・。どうしよう?」
アーロンは、第一王妃が何かにつけて邪魔だなぁーと頭を抱えて悩みこむのであった。




