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第12話 城下街①

「ワイワイ、ガヤガヤ、ワイワイ、ガヤガヤ」


日が昇ったばかりだったが、街は物凄く人手が多く賑わっていた。

アーロンはとても驚いていた、ここまで人が多いとは正直思っていなかったのだ。


目の前には多くの人が交差するように行きかっている。

エルフ・ドワーフ・獣人などが自由に商売をしているようだ。

もちろん人族の割合が7割ぐらいをしめているので他種族が多いわけではないが、それでも圧巻である。


現代日本の記憶を持っているアーロンは感激していた、大好きなアニメや異世界小説の町並みが目の前に広がっているのだから仕方ない。

上京したての田舎者のようにキョロキョロしっぱなしである。


「アーロン!見てください朝市よ。早く何か食べましょう。もう我慢の限界です。」


カミラは口元の涎を手で拭いながら、キョロキョロしっぱなしのアーロンの傍まで来ると手を引っ張って群衆の中をズンズン進んでいく。


『ジュージュー パチッパチパチ』


「焼きライス!おいしいよー、食べやすいうえに腹持ちもいいから朝飯にピッタリだよ。いかがですかー!」


醤油の焼ける香ばしい匂いにアーロンが気が付いて視線を向けるとそこには日本人だった頃、居酒屋に行くと必ず頼んでいた焼きおにぎりが屋台の網の上で焼かれていた。

アーロンは瞬間移動したのかと思うほどの速さで人ごみの中を進み、その焼きおにぎりを注文した。


「おやっさんその焼きライスを一つくれないか。」

「まいど!もう少しで焼けるからまってな、焼けてたのが全部売れちまったからな。」


焼きライスと看板に書いてある。

見た目はほとんど変わらないが、味が気になる。

焼けた香りも醤油の香りだが、塗って焼いている物が醤油とは限らないから早く食べたくてしょうがない。


「アーロン モグモグ・ゴクン それを選ぶとは パクリ・モグモグ・ゴクン気が合いますね。パクリ」


カミラが両手に焼きライスを持って食べながら話しかけてきた。いつの間に買っていたのかアーロンよりも早く焼きライスを食べていた。

王の護衛をエイベルに任されたことをちゃんと覚えているのか?アーロンが疑問に思ってカミラを見ていると屋台のおやじが声をかけてきた。


「お客さん、焼けたぜ!一つでよかったな!ほらよ。」


アーロンが焼きライスを受け取ると横のカミラがすかさず代金を支払う。

代金を受け取った屋台のおやじがカミラの顔を見て。


「ん!さっき焼きライス買い占めたエルフの嬢ちゃんじゃないか、知り合いだったのか?ありがとよ。」

「お前だったのかよ!」

「・・・?なんですかアーロン?」


カミラは何の事か分かっていないらしく変わらず笑顔で次の店を物色中である。

アーロンは買った焼きライスを一口食べてみる。


「パクリ・モグモグモグ・・!旨い、間違いない焼きおにぎりだ、醤油で間違いなかったか。」

「カミラこれは旨いな凄いぞ!」


アーロンは久しぶりに食べた米に大喜びしている。王宮では米料理は出てこなかったので、この世界には無いのかと諦めていたのだ。


「何言ってるんですか?アーロンが考えたじゃないですか!」

「え?」


カミラが不思議そうにアーロンを見ている。

カミラの一言にアーロンは一瞬変な声を出してしまった。


「もしかして寝ぼけてますか?この焼きライスもあっちにあるオーク汁やホットドックなんかも学園時代に自分で作って食べてたよね。変わった王子だなって思ってたもん。」

「特に焼きライスはエルフに人気ですよ。エルフは偏食なので穀物しか食べないですからね。オーク汁なんかは野菜がいっぱいなのでオーク肉抜きにすれば皆食べますし。」


味噌も醤油も元は大豆だからエルフに気に入ってもらえてるようだ。


どうやら融合前のアーロン仕業みたいだ。

二週間経ったがまだ、細かい記憶の融合はまだのようだ。

まだ、他にも戻ってない記憶があるかもしれないと思ったアーロンは、少し気を付けて発言しようと思う。

何にしても今は融合前のアーロンには感謝しよう。

カミラによると、王宮で米料理や醤油を使った料理が出ないのは第一王妃が気持ち悪がって拒否しているからだという。理由は粗末な料理は自分に似つかわしくないという事らしい。あの王妃は本当に邪魔しかしないなと再確認する。


その後、オーク汁を食べたが創造どおり豚汁であった。醤油に続き味噌まであるとはビックリである。

出来れば焼きライスと一緒に食べたかったなと少し悔しく思う。

しかし、生前の俺に醤油や味噌の製造知識など無かったはずだ、記憶を共有していたとしても自分で作ってしまうとは、前のアーロンて物凄くスペックの高い人物だったんだと改めて感心している所に。


「アーロン!ここに居ましたかモグモグ・・さがしましたよモグモグ。」

またしても口いっぱいに物を詰め込んだカミラが近づいてきている。その手には大きい紙袋を抱えていた。

考え事をしている間にまたしても買い物をして来ていたようだ。本当に自分の役目を理解しているのか疑わしくなってきた。


「何だそのデカい紙袋!何が入ってんだよ!」

「これは、私の大好物のホットドックです。」

「それ全部ホットドックなのか!・・・?」


アーロンの頭の中が????がいっぱいになる。


「なぁカミラ、さっきエルフ族は偏食で穀物しか食べないって言てったよな。」

「言いましたよ。」

「ホットドックって確かソーセージが入ってたと思うんだけど、カミラ食べられるの?」


カミラが胸を張って答える。何やら鼻息も荒くなっている。


「問題ありません!確かにエルフはお肉を食べませんが、食べられない訳じゃないんですよね。主に年配のエルフほとんどが食べませんね。ただ、私のように若くて美しいエルフなどはなんでも食べます。美味しいものは正義です。偏食などしていては、人生を無駄にしているといっても過言ではありません。中でもホットドックは最強です。アーロンと学園時代仲良くなれた要因の一つでもありますからね。」


熱意のこもった食いしん坊アピールの中に、カミラの爆弾発言が飛び出た。

がしかし、ホットドック一つで後の剣聖が親友になるとはホットドック恐るべし。現代食文化の凄さを垣間見た気がする。

カミラの話が終わるころ持っていた紙袋が空になっていた。


「カミラ、俺の分のホットドックはないの?」

「・・・・・・・・・。」


その後も、朝市を見て回りながらいろんな物を食べ歩きをしてから街の中央に向けて歩いていく。




















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