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半人の魔姫  作者: duce
序章「半魔の少女」
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プロローグ

見つけていただきありがとうございます…!

初投稿のため、拙い文章・表現等あるかと思われますが少しでも楽しんでいただけると幸いです!

すらすら読める文章にできるように尽力してまいります!

 "断裂層"と呼ばれる巨大な峡谷が世界を二つに分かつこの大陸では、西側の大陸には魔族、東側の大陸では人間が居住しており、互いの歴史を対立の関係で築いていた。

 コレット・ヘイデンスタムの住む村は大陸の中でも最西端に位置していた。付近で度々起こる魔族と人間の小競り合いに巻き込まれるため、村の規模こそ小さかったものの、大好きな姉、フローラと一緒に暮らすことができ、初めての友人だってできた。大きな街の生活と比べると不自由な生活であることには間違いなかったが、それでも半人半魔のコレットは「人間」として過ごせていることが幸せだったのだ。

 しかし、ようやく手にしたその日常も崩れ去ろうとしていた。


「ようやく追い詰めたぜ…!」

 下卑た笑みを含んだ声がコレット達に向けられる。

 眼前には武器を持った人間達が今にも襲い掛かってきそうな形相でこちらを睨んでいた。その数は十を超えている。姉妹の二人しかいないコレット達とは絶望的な戦力差だった。逃げようにも背後からは"断裂層"がこの身の転落を誘っているかのように待ち構えている。そもそも、長時間の逃走劇の果てにコレット達には逃げる力が残されていなかった、微々たる抵抗を続けていた姉も、魔力の酷使によって肩で息をしており、今にも倒れてしまいそうだった。

 自分が、隣にいる姉が何か悪いことでもしたのか。ただ静かに暮らしていたいだけなのに。

 そんなことを目の前の襲撃者に糾弾したところで意味はない。魔族であるというだけで排除の対象になる人間の社会において、どんな生活をしてきたか、どんな意思を持っていようがそれは取るに足らない要素でしかないのだ。コレットとフローラが半人半魔であるという理由で人間が刃を振るう理由になり得るのだから。

 長時間の逃走でろくに酸素が回らない頭で今更何を考え何を言ったところで人間の信じる「神」は助けてはくれないし、唐突に魔族の王が降臨し、慈悲を与えてくれることもない。絶体絶命とはこのことを言うのだなと諦めにも似た感想がコレットの頭に浮かんだ。

 「コレット…私が囮になるから…隙をついて逃げるのよ」

 それでも、フローラは愛する妹を守るために一歩前へ踏み出した。息は絶え絶えで、足取りもおぼつかない。疲弊しているのは誰の目からも明らかであったが、コレットによく似た空色の瞳からはまだ希望の色は褪せていなかった。

 しかし、満身創痍な二人に対して相対する人間達はもはや負ける要素はないと余裕の表情をしていた。人間達は各々戦闘後の報酬のことを想像し、にやけが漏れ出す者、思わず舌なめずりをする者など姉妹のことなど眼中にもないようだった。

 「嫌…姉さん…!」

 幼いころに両親を失っていたコレットにとってはフローラが母の代わりのような存在だった。そんな姉すらも自分を守るためにいなくなってしまうのか。そう考えただけで、コレットの手足は自分のものではないかのように震えだす。

 戦う力を持たないコレットは戦闘において姉を守ることはできない。姉が死へと歩んでいくことを見ていることしかできなかった。

 風に揺られる木々、一歩、また一歩と敵の包囲網へと歩を進めるフローラ、武器を振り上げてとびかかってくる人間達。その全てがスローモーションのように感じられた。

 

 ――何かあったらすぐにお母さんが助けてあげる


 コレットの脳裏にいつかの母の言葉が蘇る。母が生きていた頃に、よくまじないと一緒にかけてくれていた言葉。母の亡き今、どこからともなく母が駆けつけてきて子供達を救ってくれるということはあり得ないだろう。しかし、その言葉に背中を押されるように、コレットは力を振り絞り、フローラに抱き着くと、そのまま姉の唇に口付けをした。

 それこそ母がコレットにしていたまじないだった。

 「ん…コレット…!?」

 「姉さん…死んじゃダメ!」

 何か策があったわけではない。それは一種の神頼みであり、諦めでもあった。せめて死ぬのであれば自分も一緒に、幸せな記憶で最期を迎えよう。そんな淡い願いが込められた接吻だった。

 突然口を塞がれたフローラは何事かと目を見開いたが、その視界に飛び込んできたのはぎゅっと目を閉じ、涙をあふれさせるコレットの顔だった。フローラは妹の悲痛な表情を慰めるように背に手を回し、妹の温もりを受け入れた。

 襲い掛かってくる人間達はもう手を伸ばせば触れられるほどに接近していた。頭上に迫った刃が太陽の光を遮り、影を造り出す。コレットは最愛の姉の感触にしがみつき、その不幸であった人生の最期を待った。

 「ありがとう、コレット…少しの間『眠っていてね』」

 愛する姉の言葉に導かれるようにコレットは安らかな眠りにつくのだった。

物語のスタートラインでもある悪堕ちの始まりまで少しかかりますが、どうかお付き合いください!早めにたどり着けるように頑張ります!


もう少し文章力などがついたら改稿する予定ではあります…


よければ評価してやってください!筆者が飛んで喜びます!

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