104話 田中だけは許さない。田中だけは絶対に殺す。
104話 田中だけは許さない。田中だけは絶対に殺す。
(まだまだ全然殺す気で行くから、油断してぽっくり死んだりすなよ)
そう宣言してから飛翔する田中。
究極超神化3の時とはまったく別物の機動力。
明らかに、すべてが底上げされている。
それでも、まだまだ、全然本気ではなさそうに、センの目には見えた。
加速していく田中を見て、センは、
(いつもだ……いつも、お前は俺の100歩先を行く……俺が頑張って積み重ねてきたものを鼻で笑って、その横に、倍ぐらいデカいもんを秒で積み上げる……嫌いだ……本当に嫌いだ……)
心の底からの、田中に対する嫌悪感を心の燃料にして、
センも、加速していく。
――『モチベーション』という概念がある。
俗に『やる気』ともいわれるもの。
……そんなものなくても頑張れるヤツはいるが、
たいていの場合は、それがないと動き出すことが出来ない。
『モチベーションがなくとも努力できるヤツ』であっても、モチベーションがあるかないかで、加速度には大きな差が出る。
田中という存在は、ずっと、センエースにとっての起爆剤であり続けた。
どんな時でも、センが『高み』を『迷わずに目指し続けることができた理由』の『一つ』には、確実に、田中の存在があった。
別に、田中という存在が、センにとっての『目標の全部』というわけではない。
センのモチベーションを上げる要因は他にもある。
ただ、田中の存在が、とても大きなものであるのは事実。
ずっと、ずっと、
ある意味で、
センエースを支え続けてくれた器。
その『全体像』を、理解していないわけではないのだが、
しかし、センは、
「てめぇは、俺の邪魔しかしねぇえええ! てめぇの存在は、本当に迷惑ぅううう! 殺す、殺す、殺すぅうううううう! てめぇだけは、絶対に許さなぁあああああああい!」
純粋にしか見えない殺気と怒気を煮詰めて、
田中を圧殺しようと加速に加速を重ねていく。
理解はできている。
田中という存在が、センエースを磨くための研磨剤になってくれていること。
ここまでたどり着けた理由の中に、田中の存在が、間違いなくあるということ。
あえて、『田中のおかげでここまで来ることが出来た』と言い切っても、実のところ、過言ではない。
わかっている。
その辺のことは、ちゃんと、しっかりと、認識できている。
ちゃんと、わかっている。
わかっている……のだけれど、
「死ね、田中ぁああああ! お前は死ぬべき公害だぁあああ! ガイアが、お前を殺せと俺にささやくぅうううううう! これは、地球の意志! 命の総意! だから、お前は、俺の手によって、殺されるべきなんだぁあああああ!」
だいぶむちゃくちゃなことを叫びながら、
センは、田中に特攻を決め込む。
『真醒・究極超神化』と『天星神化』。
その二つの出力だけを比べた場合、
ギリギリのところで、真醒・究極超神化の方が上だった。
しかし、その差異は、『変身の出力だけを比べてみれば』の話であり、『総合力』という点で比べれば、普通に、現時点だと、田中の方が上だった。
その事実を、殺し合いの中で痛感したセンは、歯噛みしながら、
(真の覚醒って冠がついた変身をしてんのに、お前の『通常固有神化の初期能力』に負けてるって、どういうことぉおおおお?!)
(出力は、お前の方が上やけど……お前が真醒・究極超神化に『まだまだ慣れてへん』という弊害がモロに出とる感じやなぁ……お前って、ほんまに、才能系のアレはまったくないよな……)




