103話 田中さんも壁を越えていく。
103話 田中さんも壁を越えていく。
今のセンなら、田中にとどめを刺して、38人の究極超神を殲滅するぐらいならわけはない。
――だが、そこまでの差を感じさせてしまうと、『殺される』のが難しくなるので、咄嗟に、センは、自分のオーラが漏れ出ている風を装った。
(まだ五年残っている こいつらを殺さず、俺も死なずに、ひたすら戦い続ける。今の俺なら、そんなに難しいことじゃない)
★
――そこからセンは、配下の面々と戦い続けた。
真醒に届いたセンにとって、普通の究極超神化×38は、大した壁でもなかった。
……時間をかけてじっくりと戦っている途中で、田中が目を覚ます。
一度、気絶しているので、オートマタは解除されている。
明瞭な意識をもって、センの姿を見た田中は、
一度、満足げに微笑んでから、
「みっともなく気絶して悪かったな! お前ら、もう一回、ワシに力を貸してくれ! センのやつ、なんか妙に大きくなっとるけど、ワシら全員でぶちかませば、処理できるはず!」
そう叫んでから、
戦線に復帰した。
そこからは、『究極超神化3田中』と、『真醒・究極超神化セン』の殺し合いが始まった。
殺し合いをしている途中で、田中が、
(なんとか開いたようやけど、まだ足りんなぁ。『オーラが漏れとる演技』をしとるっぽいけど、そんな演技せんでも、普通に変身できる時間は、持って数日やろ。それが尽きたら終わりやで。どうするつもりや?)
(お前に3000回殺されている間、ずっと、寝てたわけじゃねぇ。お前と同じことはまだできないが、少なくとも、今よりはマシなことができる)
心の中でそう言ってから、
センは意識を集中させて、
「超虹気」
変身時間極振りの虹気で自分を包み込む。
(このエネルギー消耗率なら、数ヶ月ぐらいは変身できる その間に、お前と戦い続け、虹気の練度を上げる。自転車操業になりそうだが、どうにか、この局面、乗り越えてみせる)
(ええやないか。さすが、命の王)
ニっと笑ってから、田中は、
(ここからは、ワシの方も鍛錬させてもらおうか。置いてかれても悲しいからなぁ)
そう言ってから、
全身のオーラを深めて、
「――天星神化――」
強大な覇気を放つ化け物を前にして、センは、眉間にぐっと皺を寄せる。
(えらくカッコいい変身してくれるじゃねぇか。それがお前の、とっておきか)
(いや、とっておきと言えるレベルではないな。さっき開いたばっかりの変身やから)
(さっき?)
(どのタイミングで開いたんか、いまいちハッキリせんのやけど、気づいた時には、ワシの中で固有神化が目覚めとった。気づいたんは、お前を2800回ぐらい殺したタイミング。『あ、なんか開いとる』って感じで気づいたんや。ワシも、どうせやったら、お前みたいに、ドラマティックに覚醒したいところなんやけど、どうやら、ワシは、そういう星の下には生まれてないっぽい)
(なんだろうな なんか、すげぇ腹立つんだが。お前は、どうして、そんなにも、俺の神経を逆撫ですることにシャカリキなんだ?)
センのイライラをシカトして、
田中は、
(まだまだ全然殺す気で行くから、油断してぽっくり死んだりすなよ)
そう宣言してから飛翔する。
究極超神化3の時とはまったく別物の機動力。
明らかに、すべてが底上げされている。
それでも、まだまだ、全然本気ではなさそうに、センの目には見えた。




