99話 残機がつきた。
99話 残機がつきた。
センは、2000回殺されるまでの間に、何度も、田中に許しをこうてきた。
『マジで勘弁してくれ』と必死になって頭を下げ続けた。
良心の呵責に訴えかけ続けるという手段で、田中に、『配下を殺さないでくれ』とお願いし続けたが、しかし、田中は、一切、聞く耳をもってくれなかった。
田中の頑固さは、センエースの頑固さに匹敵した。
センは、どうしようと悩み続ける。
悩んで、悩んで、悩んで、
そんなことをしている間に、
2500回ほど死んだ。
センは、必死になって、時間をかせごうと、もがいてはいるのだが、
田中が強すぎて、全然、相手になっていない。
サクサク、サクサクと、テンポよく殺されて、
そして、
ついに、
「これで、3000回……残機はつきたな」
結局、5年たたないうちに、
センエースの残機はつきてしまった。
復活したセンは、真っ青な顔で、
(田中さん……まさか、マジで、殺したりしないよね? ね。あの、ほんと、お願いします。なんでもしますんで、どうか、許してください。お願いします……お願いします。どうか、オートマタは使わない方向で、どうか――)
這いつくばる勢いで懇願するセンを前にして、
田中は、
「……ふぅう……」
と、覚悟を決める深呼吸を繋いでから、
「――ウルティマ・オートマタ――」
無慈悲な自動人形へと変貌する。
感情を持たないキラーマシンとなり、
センエースを殺そうと襲い掛かる。
もはや、対話は無意味。
いや、もう、ずっと、シカトされていたので、
対話に関しては、最初から無意味だったのだが。
「くっ……くそぉおぉおおお!」
センは、必死になって、自動田中の猛撃をかわそうとしているのだが、
「どがぁああっ! がぁああああっ!」
ウルティマ・オートマタモードの田中は、通常時よりもはるかにスピードとパワーが増している。
通常モードにすら手も足もでないセンに、今の田中をどうにかすることは不可能。
どんどん、削られていく。
体力はとっくに0になっていて、
今は、人間失格のゾンビモードで耐えているだけの状態。
――これも、当然限界がある。
そして、限界が見えてきた。
(……殺される……死ぬ……)
ボッコボコにされて、
命の終わりがハッキリと見えた。
もう完全に終わってしまう。
死んで……復活はするけれど、
その代償として、配下が一人死ぬ……
センは、田中の目をにらみつける。
そこには、確かに、理性がなかった。
たんたんと、無感情に、センを殺そうとしているだけの機械的な瞳。
(ダメだ……こいつ、ガチで、俺を殺す気だ……)
機械的な殺気。
感情がないからこそほとばしる狂気。
死に際で、センは、
(いやいや……大丈夫、大丈夫。田中が、ゼノリカのメンツを殺すわけがない。あいつは、俺なんかとは比べ物にならないぐらい高潔な男……絶対に殺さないよ。仮に、殺されたように見えても、実は、どっかの世界で生きている、っていう、俺の手垢で一杯の手法をとってくるに決まっている……こいつは、絶対に――)




