98話 さあ、センエース。どうする?
98話 さあ、センエース。どうする?
(セン……お前の残機が切れたあとは、このモードを、『ワシが気絶するまで完全暴走』のオーダーで使うから。――わざわざ説明せんでも、言葉の意味を考えれば、そのオーダーが実行された結果どうなるか、想像つくよな?)
(……)
(ワシを倒す以外に、止める方法はない。一応、『殺す』という方法でも止められる。だから、最悪、殺してくれてもええけど、できれば、殺さん方法で頼む。そもそもの前提である『ワシが死んでも、シュブが復活せん』ってなったら、なんか、もう、色々、わけわからんようになるから。まあ、もう、お前自身がアウターゴッド級の脅威やから、別にええっちゃええんやけど……あ、ちなみに言うとくけど、配下連中の死と違って、ワシを殺しても、死銀の鍵を使えば、普通に、タイムリープ後に復活するから、そこは遠慮せんでええ。ワシも散々、お前を殺してるんやから、変に配慮とかされても、挨拶に困る。ワシを殺すんをためらったせいで、お前が無駄に死ぬ……なんて、そんなマヌケは晒してくれるなよ)
(……)
(あらためて言うとくけど、『お前の残機替わりで死んだ配下』を蘇生させる方法はない。そういう強固なアリア・ギアスを組んだから。だからこその成長率。リスクが大きいからこそリターンも大きい。というか、リスクなかったら、リターンなんかない)
(……)
(セン……泣いて喚いて媚びて慈悲を請うのは自由やけど……オートマタ状態のワシは、そんなもん気にせんと、お前を確実に、無慈悲に殺しつくす。最初は、このモードを使うつもりはなかった。暴走モードで使ったら、自力では止められへんからな。殺すにしても、理性的に、2~3人殺すだけで終わらせる予定やった。……けど、お前の態度を見て決心がついた。セン。ワシを止めんと、ゼノリカの天上が全滅するぞ。暴走モードのワシは、お前がどんだけすがりついてこようと、関係なく、お前を殺し続ける)
(……)
(さあ、センエース。どうする?)
★
田中からの『どうする?』という問いに対する答えを見つけられないまま、
センは、2000回殺された。
その事象だけでも、普通に、大問題なのだが、しかし、センは、2000回殺されたことなど、どうでもよさそうに、未来のことだけに頭を悩ませていた。
また、ザクっと、田中に殺されたが、そんなことを気にする暇はなかった。
田中に殺されることなど、今のセンにとっては、昼下がりのコーヒーブレイクとなんらかわらない、いたって平凡なもの。
――サラっと、その場で復活したセンは、
さらに、流れで殺そうとしてくる田中から距離を取りつつ、
(また一年かからずに1000回殺された……このままじゃ、間違いなく、5年もたずに3000回、削り切られる……10年は絶対に持たない……)
センは、2000回殺されるまでの間に、何度も、田中に許しをこうてきた。
『マジで勘弁してくれ』と必死になって頭を下げ続けた。
『良心の呵責に訴えかけ続ける』という手段で、田中に、『配下を殺さないでくれ』とお願いし続けたが、しかし、田中は、一切、聞く耳をもってくれなかった。
田中の頑固さは、センエースの頑固さに匹敵した。




