97話 究極の自動人形は、すべてを殺しつくすまで止まらない。
97話 究極の自動人形は、すべてを殺しつくすまで止まらない。
常に、えげつない天才ぶりをセンに魅せつける田中さん。
そんな、破格のばけものぶりを魅せつけられれば、当然、心はへし折れる。
センは、かつて、塾のテスト勝負で、田中に惨敗し、心が折れたことがあったが、今、その時の比ではない絶望に、包まれていた。
(おわった……なにもかも……)
田中からの『躊躇のないトドメ』を頂戴して、
センは、また絶命した。
まだ残機は残っているので、一応、復活はするが、
しかし、心の方は、普通にポッキリいかれていた。
(……田中さん……あの……もう、勘弁してください……ボケとかじゃなく……あの、普通に無理です……あと2年以内に終わります。10年は絶対に持ちません……お願いします……靴でもなんでも舐めますんで、マジで堪忍してつかぁさい)
プライドをかなぐり捨てて、
必死に慈悲をこうセンに、
田中は、
(――セン、ワシには、山ほど切り札があるんやけど……その中の一つ『ウルティマ・オートマタ』を披露するから、ちょっと経験してみてくれ)
(え、いや、あの、田中さん……いや、田中様? 人の話聞いてます? こっち、降参してんすよ。もう、白旗をあげているんで、尊い切り札のお披露目会は、またの機会ということに、あの、ちょっと――)
センの嘆きをシカトして、田中は、
数ある切り札の中の一つである、
『ウルティマ・オートマタ』というモードを使用する。
発動した瞬間、田中の顔面から感情が消え去った。
そして、加速する。
リミッター解除と、感情封殺と、
反射速度・パワー・スピードの向上。
意識や戦略性を棄てて、目の前の敵を殺すことだけに、命の全部を暴走特化させる、自動殺戮モード。
「どわぁあああああっ!」
センは、必死に逃げ回るが、
しかし、田中は、決して、センを逃がさない。
センの体を一瞬で八つ裂きにしてみせた。
センが死ぬことで、『ウルティマ・オートマタ』が解除されるように設定されていたらしく、センが死んだ瞬間、田中の目に、人間らしい生気が戻る。
復活したセンに対して、
田中は、
(これが、ワシの切り札の一つ。ウルティマ・オートマタ。エネルギー消費量が無駄に多すぎるんと、使用中は、『想定外の搦め手』に対する臨機応変な対応が難しくなるから、汎用性は低いんやけど、『局所的に、最大級のパワーとスピードだけを敵に押し付けたい時』とかは便利なモード)
(す、すごいっすねぇ! 超かっけぇ切り札じゃないっすか! いやぁ、さすが、田中さんだ! 俺にできないことを平然とやってのける! そこに痺れる。憧れる。よっ、大統領。あんたが大将。正当なる銀河の支配者! ゼノリカの王! それほどの存在が、俺ごときをイジメ続けるなんてコトあるワケない! というわけで、そろそろ、勘弁していただく方向で、一つ、どうにか――)
(セン……お前の残機が切れたあとは、このモードを、『ワシが気絶するまで完全暴走』のオーダーで使うから。――わざわざ説明せんでも、言葉の意味を考えれば、そのオーダーが実行された結果どうなるか、想像つくよな?)




