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94話 九分九厘100%だろう。


 94話 九分九厘100%だろう。


(ワシ自身は、自分のことを高潔やと思ったことは一度もないが、まあ、しかし、実際のところ、好き好んで、人を殺そうとは思ってない。でも、よっぽどの事情があったら話は別。そして、今は、そのよっぽどの状況や。なんせ、うまいこといかんかったら、世界が終わるからな)


(……)


(ワシは世界を終わらせるわけにはいかんのや。ワシには、守るべきものがあるからのう。『他の何を捨ててでも守らないかんもん』がある男の覚悟を、あんまりナメん方がええで。もちろん、ワシは結局のところ、ビビって、お前の配下を殺さんかもしれん。それも事実や。可能性としては十分ある。けど、一応、宣言しとく。ワシはビビらずに、お前を殺し続け、最悪でもお前の配下を2~3人は殺すつもりでおる。べつに、配下全員を殺さんでも、おどれに最大の危機感を抱かせることはできる)


(……)


(セン、『下手したら、この世に存在する全員が死ぬかもしれん状況』で『2~3人を仕方なく殺すこと』は、ワシの中で合理的にアリな選択肢。ワシとお前は違う。ワシには『たった1人の絶対に失うわけにはいかん存在』がおるが、お前はそうやない。その差をあんまり甘く見るな)


 そう言ってから、田中は、センに、最初のトドメを刺した。

 田中はセンとテレパシーで会話している間もずっと、センを削り続けていた。

 とことん削り切った上でのトドメなので、センは争うことができず、そのまま綺麗に死んでしまう。


 もちろん、残機はまだまだ残っているので、すぐさま復活するセン。

 配下たちの火力では、なかなか殺しきれないゾンビセンだが、田中がその気になれば、流石にそこそこの短時間で処理できる。


(ヤベェ……田中の強さが尋常じゃねぇ。この感じだと、5~6時間に1回ぐらいのペースで殺される)


 と、内心で、やばいと思っていると、

 その思考にねじ込むようにして、田中が、


(セン、ワシがゼノリカの面々を全滅させることは、確かに多分ない。しかし、2~3人をる覚悟ならできとる! 嘘やと思うなら、黙って死に続けろ。癒えない後悔を刻んだる)


「……くそったれが……」


 センは、ギリっと奥歯を噛み締めて、


(田中みたいな、『高潔バカ』が、ゼノリカのメンツを殺せるとは思えねぇ が、しかし、100%じゃねぇ。限りなく100%に近い……と言うか九分九厘100%だろうが 可能性はゼロじゃない)


 『パーセンテージの意味が理解できていない』としか思えない、狂った方程式で田中の可能性を導き出すセン。


 センは、田中に、『自分と似た異常性』を感じている。

 田中に対し、常に『強い嫌悪感』を感じている理由は、強烈な同族嫌悪にある。


 だからこそ、『田中なら殺さないだろう』という歪んだ確信を抱いているわけだが、しかし、田中が言うように、センと田中では『恋人がいるかいないか』という凶悪に大きな違いがある。


 この差があるが故に、

 『九分九厘100%だが、可能性はゼロじゃない』

 という、あまりにも意味不明がすぎる『数字という概念全体を舐め腐ったような、ワケの分からん戯言』が飛び出すハメになる。


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