93話 田中ぁあああああああああああ!
93話 田中ぁあああああああああああ!
「お前ら、この一年、よく頑張った! ここからは、ワシが中心のフォーメーションでいく! ワシの本気を見せてやる! 瞠目するがいい! 究極超神化3!!」
オーラを解放させる。輝く光に包まれている田中は、ここにいる誰よりも激しい煌めきをはなっていた。
頭の左右から、よくわからん角みたいなのが生えて、片腕にオプションが搭載された、ずいぶんと奇抜な姿。
究極超神化3は、究極超神化のナンバリングの中でも、かなりの完成度を誇る、良質で高水準な変身。
その姿を目の当たりにしたゼノリカ配下の面々は、
マヌケに口を開けて呆けることしか出来ない。
正直な話、彼・彼女らは、全員、『田中を超えた』と思っていた。
『自分達の異次元な覚醒は、田中を置き去りにした』――と、勘違いしていたのだが、しかし、その拙い誤りを、田中は、ガツンとワンパンでブチ壊してきた。
田中シャインピースという天才は、
彼・彼女らの想像を超越した高みにいた。
配下連中の中でも、比較的、小物感が強いヒッキが、
おののきながら、震えながら、田中に、
「……え、ちょっ、田中……きみ、究極超神化できたの? いや、できたどころじゃないな。……何、究極超神化3って? ……この究極超神化って変身には、そんな未来があったの?」
「ワシはお前らの想像を遥かに超えた天才やった。それだけの話。てか、細かい疑問は後にせぇ。まずはセンを黙らせる!」
そう叫び、田中はセンをぶっ飛ばす。
現時点でのハスターは、まだ究極超神化が限界なので、究極超神化3という『出力がハンパなく上がっている形態』を使われるとボコボコになるほかない
「田中ぁあああああ!!」
叫びながら、センは田中に殴りかかった。
演技の類は一切介入していない、純粋な怒りだけの特攻。
センは拳をブン回しながらも、田中にテレパシーを繋げて、
(どういうつもりだ、テメェ、ゴラァああ!)
と、ゴリゴリに詰め寄っていく。
そんなセンに、田中は、通常時の冷静さをわずかも崩さず、
(本来、『ワシ自身の投入』は『5億回目から』の予定やったんやけど、だいぶ停滞しとるようやから、もう、この段階でぶちかまさせてもらう)
(ああんっ?!)
(ぬるい経験値の39等分やと、いつまで経っても、配下たちは、次のステージに進めんからのう)
(……)
(センエース。ワシはこれから、本気でお前を殺しにかかる。お前の残機が切れても殺し続ける。それがどういうことか、賢くないお前でもわかるな?)
それは、すなわち、
『センの配下を殺す』と言っているのと同義。
そこで、センはいったん冷静になった。
田中の想いが理解できてしまったから。
センエースは、田中が言う通り、賢くないが、しかし、何もわからないバカではない。
(田中。やりたいことはわかるが、お前にはできねぇ。お前はあいつらを殺せねぇ。なぜなら、お前は俺なんかよりもよっぽど高潔な器の持ち主だから)
これは、高次の信頼。
なんだかんだ言って、センエースは、この世界で、最高クラスに、田中を信頼している。
――『だから、それは、脅しとして成立しない』と言いたげなセンに、
田中は、
(ワシ自身は、自分のことを高潔やと思ったことは一度もないが、まあ、しかし、実際のところ、好き好んで、人を殺そうとは思ってない。でも、よっぽどの事情があったら話は別。そして、今は、そのよっぽどの状況や。なんせ、うまいこといかんかったら、世界が終わるからな)




