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92話 異常天才サイコ拷問官。


 92話 異常天才サイコ拷問官。


「……っ……」


 意識を取り戻した時、センは、自室で、ゲ〇ムボーイ片手に、

 ムーア最終の作成に取り組んでいた。


「……ずいぶんと……遠いところまできたな……よく頑張っているよ……俺……本当に……」


 ボソっと、そうつぶやいたセン。


 と、そこで、

 呼んでもいないのに、ヨグナイフが、勝手に、センの目の前に顕現して、


「ボーナスタイムだ。今回獲得した経験値を割り振っていけ」


 その言葉に、センは、


「……ああ」


 特に、特別な言葉を返すことなく、普通に受け入れた。

 もくもくと、たんたんと、経験値を振っていくセン。

 

 その途中で、いつも通り、

 ハスターが、背後から近づいてきて、


「……センエース、契約の時間だ」


 と、前置きもなく、そう言った。


 ずっと、耳にし続けた彼らの定型文は、もはや、センにとって、環境音に等しい。

 ゆえに、特別な反応は、もはや、一切しめさない。

 ただ、もくもくと、全てを機械的にこなしていく。


 そんなことをしていると、

 これまたいつも通り、

 天才がひょっこりと顔を出して、


「タイムリープ、どうやった? うまいこと、いけた? いい感じに殺された?」


 と、軽やかな言葉を投げかけてきた。

 そんなトウシの問いかけに対し、

 センは、


「今回で2億8953万7785回目だ」


 と、数字だけを口にする。

 もう、それだけで、田中が察することは理解できている。


 田中は、


「おお、なかなかの数字やな。よう頑張った」


 と、普通に、まっすぐな『ねぎらいの言葉』を投げかけてから、


「ところで、配下の連中、今、どういう変身ができる状態? 究極超神化3にはなれとる?」


「3どころか、究極超神化2になれている者すら、一人もいない」


「……おやぁ……」


「なんだ?」


「いや……3億近くループしたら……何人か『3』になるかなぁ、とか思っとったんやけど……まだ、2にもなってへんというのは……ちょっと問題やな……どえらい停滞しとるやん」


「そんなこと言われても、知らんがな、としか言いようがない。俺も、あいつらも精一杯やっている」


「んー……そうやなぁ……よし、わかった。しゃーない」


「なにがだ?」


「……」


「何がだって聞いてんだ、答えろ、異常天才サイコ拷問官」


 尋ねても、田中は、黙ったまま、ニタニタと笑っているだけだった。



 ★



 その日も、センは、配下たちとの死闘にあけくれていた。

 基本的に、あるていど闘ったところで、センのHPはサクっと0になる。

 本番は、いつだって、そこから。

 『なぜか死なないセン』を、どうにか殺そうと必死の面々。

 そんなことを、今回のループの中で『1年』ほどやったところで、


「よっしゃぁああ! 呪縛、解除ぉ! ついに、やったったぞ、ぼけぇええ!」


「っ?!!」


 田中が、これまでの流れとはまったく異なることを、やりはじめた。


「お前ら、この一年、よぉ頑張った! ここからは、ワシが中心のフォーメーションでいく!」


 そう叫んでから、


「ワシの本気を見せてやる! 瞠目するがいい! 究極超神化3!!」


 オーラを解放させる。

 輝く光に包まれている田中は、

 ここにいる誰よりも激しい煌めきをはなっていた。


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