85話 復活するたびに、体力が減ってるぅううう……っ!
本日は、コミカライズ版センエース、
11話、配信記念として、
一日10話投稿を行います!
本日の8話目!
85話 復活するたびに、体力が減ってるぅううう……っ!
「や、やった……ようやく、倒した! よっしゃぁあああ! いやぁ、長かった……削り切るまで、めちゃくちゃかかったな……ハスターのやつ……強さと、生命力がハンパじゃなかった…………へ?」
解放感から一転、目を丸くするヒッキ。
秒で復活したセンエースは、一度、首をゴキゴキっと鳴らしてから、
「センエースは滅びぬ! 何度でも蘇るさ! センエースの力こそ人類の夢だからだ!」
と、不条理を叫ぶ。
「さあ、どうする?! 不死身で最強の俺を相手に、まだ牙をむき続けるか?! それはおすすめできないなぁ。潔く諦めた方がいいぞ。その方が、賢い――」
と、全力で諦観をオススメするセン。
そんなセンの顔面に、
「ぶげほぉっ!!」
カンツが、握りしめた拳を叩きつけながら、
「がはははははは! 復活するとは、大した生命力だ!! 貴様の強さにも、そのバイタリティにも、心底から驚嘆する! 貴様はとんでもない化け物だ! しかし、そんなものは、諦める理由にならんなぁ!!」
そこで、中衛での支援を担当していたドナが、全員に向かって、
「無限に復活するわけではないはず! 彼は、ここまで、確実に、『死なないように、慎重に立ち回って』いた! もし、復活回数が無限なら、あそこまで、丁寧に立ち回ることはない!」
そんなドナの発言にかぶせるようにして、
センが、
「ははは! ドナの言う通り、無限じゃねぇ! しかし、俺は、復活回数を、あと2回も残している。その意味がわかるな?」
そんな事を口にする。
その発言は、もちろん嘘。
センの残機は3000。
一回死んだから、残り2999。
だが、そんなことを正直に言ったら、十席の中の何名かが折れてしまうかもしれない。
折れずに戦うかもしれないが、折れてしまう可能性は十分にある。
そう判断したセンは、『万里の長城』方式を採用した。
ようするに『手が届く身近なゴール』を設定することで、配下たちの心を支えようとした。
『月まで走ってこい』という命令は、『無理です』で終わり。
だが、『100キロ走れ』という命令なら、恐ろしくしんどいが、不可能ではない。
その『不可能ではない難題』を3800回ほどこなせば、月まで届く。
――二週間死ぬ気で闘って、ようやく倒した化け物を、あと2回も、倒さないといけない。
そう考えると、とんでもない苦行だが、しかし、ここにいる者たちの精神力は化け物じじみているので、わずかも折れることなく、センを殺す作業に没頭した。
探り探りだった初回の殺し合いとは違い、二回目の殺し合いでは、センの武にも慣れてきた模様で、センを削っていく速度が明確に上がっていた。
初回は二週間かかったが、
二回目の殺害は、
「ぐふっ……」
5日で達成された。
かなりのスピードアップ。
完全に絶命したセン……
だが、すぐに、また復活する。
「はい、また完全復活ぅ! もう、おまえらも、そろそろ体力的に限界が見えてきていることだろう! だが、俺は新品に戻った! 体力も気力も魔力も充実している! 終わったな! 無駄な努力、ごくろうさん!」




