82話 1億。
本日は、コミカライズ版センエース、
11話、配信記念として、
一日10話投稿を行います!
本日の5話目!
82話 1億。
(ガチの地獄は俺が積む……『お前らに殺される』という絶望を『温室育ちの肥料』とは呼ばせねぇ。俺は命の王。つまり、お前ら全員の保護者。王として、保護者として、出来る全部を積んでやる)
奥歯をかみしめて、
覚悟を背負い続ける命の王。
――『38人が究極超神化して襲ってくる』という、神界の深層でもありえない地獄の底で、センエースは殺され続ける。
ちなみに、『平熱マンが究極超神化を果たした段階』で、ハスターも、呼応するかのように究極超神化を果たしている。
だから、問題なく対応できている。
ゼノリカの面々を追い込むことも、上手に殺されることも、完璧に出来ている。
究極超神級の力を持った彼・彼女らの相手をするのは、おそろしく大変で、センの現状は、高難度の死にゲーを延々にやり続けているみたいなもの。
精神も肉体も、どんどん削れていく。
とっくの昔に限界は超えている。
なんで耐えられているのか分からない『限界の向こう側』で、センエースは、ひたすらに舞い続ける。
そして、センは、ついに、
大台である1億回目に到達する。
★
「――……」
意識を取り戻した時、センは、自室で、ゲ〇ムボーイ片手に、
ムーア最終の作成に取り組んでいた。
「……」
一度、目を閉じて、深呼吸をする。
「ふぅうう」
深い瞑想の中で、
自分の命を整えていく。
自分の奥へと、精神を落としている途中で、
ヨグナイフが、センの眼前に顕現して、
「さあ、ボーナスタイムだ。今回獲得した経験値を割り振っていけ」
と、言い放つ。
毎回、毎回、律儀に、同じことを言い続けるヨグ。
最初の方は、センも、『もう言わんでいい』とか『ゲームキャラか、お前は』などとツッコミを入れていたのだが、さすがに、1億回目ともなると、反応を返すこともなくなる。
黙って、ただ受け入れる。
言葉もなく、淡々と、経験値を振っていく。
その途中で、
ハスターが、背後から近づいてきて、
「……センエース、契約の時間だ」
と、前置きもなく、そう言った。
「……」
センが視線をおくると、
ハスターは、たんたんと、
「どうやら、タイムリープは問題なく成功したようだな。今回は何回目だ? 私の存在値が、激烈に上がっているところからさっするに……1億回目ぐらいか?」
「……ああ」
「ん? まさか、ドンピシャか?」
「……ぁあ」
「なるほど。では、ここからが本番だな」
「……らしいな……ウワサだけは聞いているよ。詳細は教えてもらっていないが」
「もう教えてくれると思うから、田中に聞くといい。……ただ、覚悟だけはしておけ。ここからが真の……いや、ネタバレはやめておこう」
「……随分と、ビビらせてくれるじゃねぇか」
などと対話をしている途中で、
センさんの宿敵である天才が、ひょっこりと顔を出して、
「タイムリープ、どうやった? うまいこと、いけた? いい感じに殺された?」
と、軽やかな言葉を投げかけてきた。
そんな田中の問いかけに対し、
センは、
「1億回ボーナスについての詳細を、手短に聞かせろ」
まっすぐな目でそう問いかけた。
「……お、1億回目に到達したんか。それやのに、メンタルの方は、まったく死んでない感じ。さすがやな。頭おかしい」




