81話 温室育ちが何だってんだ。
本日は、コミカライズ版センエース、
11話、配信記念として、
一日10話投稿を行います!
本日の4話目!
81話 温室育ちが何だってんだ。
――3000万回に到達する頃には、全員が、『上位超神化』を果たした。
全員が上位超神になったからって、センの旅は終わらない。加速して、大いに膨らんだが、その分、次のステージに進むための経験値が膨大になった。
必要経験値を稼ぐため、センは、必死になって繰り返した。
ひたすらに、延々に、
阿呆のように、
無様に、惨めに、みっともなく、
センエースは、
己の死と向き合い続ける。
★
繰り返す。
★
繰り返す。
★
繰り返す。
★
――そして、たどり着いた5000万回目。
ついに、
平熱マンが、
究極超神化をマスターした。
「まさか、ボクが、これほどの領域にまでたどり着けるとは……いや、いずれは、届きたいと思っていたのですが……まさか、こんなにも早く……」
そんな平熱マンの感想を耳にしたセンは、
心の中で、
(お前の才能や潜在能力を考えれば遅いくらいだよ……俺を殺す経験値は、数値の底上げとしては優秀だが、覚醒を促す『キッカケ』としては、そこまで爆裂なボーナスじゃねぇからなぁ……)
『センエースに揉まれる』という鍛錬は積んでいるが、
現状のゼノリカは、やはり『温室育ち』な感が否めない。
『身内に甘すぎるという悪癖を持つセンエース』が相手である以上、『本物の絶望』には届かない。
だが、その分を、『センエースの覚悟』と『マジでちゃんときつい鍛錬』という二つで補っている。
このしんどさを茶番とは呼ばせない。
これを茶番扱いしてしまったら、
この世の全てが空虚なレプリカになってしまう。
(ガチの地獄は俺が積む……『お前らに殺される』という絶望を『温室育ちの肥料』とは呼ばせねぇ。俺は命の王。つまり、お前ら全員の保護者。王として、保護者として、出来る全部を積んでやる)
奥歯をかみしめて、
覚悟を背負い続ける命の王。
誰よりも重たく辛い責務を背負い続ける覚悟。
その覚悟と向き合うことだけが、王を名乗れる、たった一つの資格。
王の仕事は、ふんぞり返ることではない。
権利を貪り、権威に溺れるなど、言語道断で笑止千万。
コミュニティ内で、最もしんどい思いをするのが、『王』の仕事。
逆ピラミッドの一番下。
『学級委員長のハイエンド』というダルすぎるパシリ。
センエースには、その地獄と向き合う覚悟がある。
だから、ゼノリカの面々は輝くことができる。
ぶっちゃけ、ゼノリカの面々は、温室育ちである。
そこは否定しない。
ゼノリカの面々は、大事に育てられている『ビニールハウス内のトマト』みたいなもの。
だが、それを育てている生産者の苦労は本物。
そこに半端なまがい者など存在しない。
苦しみながら、もがきながら、あえぎながら、のたうちまわりながら、
必死になって、大事に、大事に、育てている。
だから、届く。
――8900万回目に到達した頃、
グレイも究極超神化に変身することが可能となったことで、
ゼノリカの天上全員の究極超神化が果たされた。
表層能力という点で、他の面々よりもワンランク劣っているグレイだが、
しかし、『たゆまぬ努力が出来る』という資質は、ちゃんと持ち合わせているので、
時間こそかかるが、しかし、確実に前へ進むことができる。
折れずに、前へ進むことが出来るのであれば、
いつかは、高みにたどりつくことができる。
努力は裏切らない。
『ハンパな努力』は、たまに『不二子ちゃん級の大胆な裏切り』をかましてくることもあるが、
『狂気の努力』は裏切り方を知らない。




