78話 饒舌なセンエース。
本日は、コミカライズ版センエース、
11話、配信記念として、
一日10話投稿を行います!
本日の1話目!
78話 饒舌なセンエース。
「1000万回を超えとるってことは、すでに、サイコジョーカーが発動しとるよな? その割には……なんか、元気やな。想定では、廃人寸前にまで落ち込むと思っとったんやけど」
「やっぱ、『友達がずっと側にいる』ってのが大きいよね♪ フレンドがいれば、苦しい時も頑張れる! 苦しいことが半分になるから! 友情、最高♪ ウェウェウェェェェイッッ!」
「もうええって、その、カスみたいなノリ。ワシのこと、友達やとか思ってへんやろ、絶対に」
「……当たり前だろ。そんなこと、一々確認してくんな、恥ずかしい。俺とお前は、ただの知り合いだ。昔、一瞬、塾が一緒だっただけの同級生。それ以下になることは十分にあり得るが、それ以上の関係性になることは絶対にありえない。それが、俺とお前の距離感だ。心の距離感だけで言えば、お前は、冥王星よりも遠いところにいる」
と、まっすぐな本音をぶちまけてから、
センは、
「ところで、田中さんよぉ。一つ聞きたいんだが……お前、600回ループした記憶はあるのか?」
「600回……いや、ちょっと、何の数字かすらわからんな……詳しく教えてくれ」
「簡単に言えば、お前が、『自分なら、500億ぐらい楽勝っすよ。てか、それだけじゃヌルいんで、1000億ぐらい、いったりますわ』とかイキってきたから、ためしで代わってやったんだよ。そしたら、お前は600回ぐらいでギブしてな。正直、ちょっと引いたよね。俺、お前のこと、もうちょっとイケるヤツだと思ってたから。ぶっちゃけ、かなり残念だったかな。せめて、1億回ぐらいは行ってほしかったところだな。ほら、コスモゾーン界隈では、俺とお前がライバル? みたいな? 感じで言われているところが、なくもないからさぁ。抜きつ抜かれつで切磋琢磨してきたライバルが、たかが600回でギブとか……ねぇ? わかるだろ、俺の言いたいこと」
センの話を聞いた田中は、
「ああ、なるほど……だいたいわかった」
と、『含みのある納得』を口にした。
そこに、『ちょいとした違和感』を覚えたセンさんは、
「ちょっと、待て。お前が、何をどう理解したか……詳しく聞かせろ。ことと次第によっちゃあ、戦争だ。心して答えろ」
「おそらく、お前……サイコジョーカーがしんどすぎて、一回、折れたんやろ? お前、ワシが近くにおると、ワシに頼るようになって、心がちょっと弱くなるからな。で、ワシに泣きついて、一回、代わってもらったと。けど、ワシも、さすがにサイコジョーカーは無理すぎて、600回ぐらいでギブった……情けない話ではあるけど、まあ、そこはお互い様。どっちもどっち。ワシもお前も、所詮は、独りの弱い人間やったという話。ただ、お前は、折れたワシを見て、活力を取り戻した。で、それをヨグにイジられたから、さっきみたいな感じになっとったと」
バシバシと、ド直球の推察をぶちこまれて、
センは、白目でピクピクすることしか出来ない。
センが失神しかけている間も、田中の追撃は止まらない。
「……しかし、600回ぐらいで折れるってのはありえんな。おそらく、前のワシは、お前のメンタル安定を最優先にしたんやろう。ワシなら、ガチれば、50億ぐらいはいけるはず……ただ、そんな本気をだしてしまったら、本格的に、お前の心が折れてしまうと判断して、かなり早い段階で、折れたふりをしてみせた……ま、そんなところやな。ヒーローの介護も大変やで。やれやれ」




