62話 ゼノリカ召喚。
62話 ゼノリカ召喚。
「対処法なんかなくても、叫び続けるんだ! 絶対に勝てない敵を、当たり前のように殺す! それがヒーローの仕事だぁああああ!!」
全員の心が、『何がなんでもセンを倒す』という方向性でかたまる。
一致する。合致する。そうやって一つになった魂が、『可能性』を呼び寄せる。
「?! なんだ?!」
覚悟を叫んだカンツの眼前に、
宝箱が顕現した。
「また、すごいタイミングで沸いたな……っ!」
コンマ数秒だけ困惑したものの、
カンツは、宝箱を蹴り上げて、中身を確認する。
そこには、一枚の魔カードが入っていた。
「……召喚の魔カードか……ランク……1500? ……なんだ、このバカみたいなランクは……」
神化を果たしたカンツたちは、現在、ハイクオリティ&ハイランクな魔法を使いこなせるようになっているが、それでも、現時点で使えるランクは80前後が精々。
ランク1500の魔法は異常。
そんな異常な魔カードに対し、カンツは、さすがに警戒心を見せたものの、
「……無意味に恐れていても、先には進めんな……」
とてつもなく強い神気をはなっているその魔カードを手に取ると、
「ゼノリカ召喚ランク1500!!」
詠唱しながら、破り捨てる。
すると、
――十席たちの上空に、
全部で13個のジオメトリが顕現した。
そして、そのジオメトリから、
莫大な力を持った化け物たちが這い出てくる。
その化け物たちを見たカンツは、
魂が奮い立つのを感じた。
理性ではなく、本能の部分で、
現れた化け物たちが、
自分たちの味方であると理解した。
「……増援だ! 何がなんだかわからんし、『謎の奇跡』に頼るようじゃ、ヒーローとして失格だが、ここでは、この奇跡に感謝しよう! この数なら、やれる! 一気に押しつぶすぞぉお!」
カンツの号令に従って、
現れた化け物たちは、センに向かって襲い掛かった。
バケモノたちは、決して、カンツに忠誠を誓っているわけではないが、
しかし、『召喚主の号令には、一応従う』という意志を示していた。
※ 例えば、ありえない話だが、カンツが、『私利私欲のためのゲスな命令』などをした場合、化け物たちは、己を縛っている鎖に牙をむき、全力で反旗を翻してくるが、『共通の敵を殺すために協力してくれ』という号令には、黙って従う。
現れた10人以上のバケモノの中でも、
特に際立った力を持つ二人。
ゾメガ・オルゴレアム。
平熱マン。
二人は、
敵である『センエース』をロックオンすると、
「――\/\ 【エニグマ・ミーティア】 /\/――」
「閃光・平熱マンスラッシュ」
全力で攻撃を仕掛けていく。
ゾメガと平の心境は、少々、朦朧としており、
『敵を前にしている』という感覚しかない。
まるで、知性を持たない獣が『天敵』を前にした時のように、
『殺さなければいけない』という強い本能に突き動かされている。
膨大な攻撃をその身に受けたセンは、
(……『本気の殺気』がこもった攻撃だな……は、はは……なんというか、もう……)
心の中で、無意味に嘆く。
闘う前からわかっていたことではあったが、
しかし、ゾメガと平熱マンから、マジの殺気を向けられたことに、
ちゃんと、普通のショックを受けるセン。




